インバウンドコラム

3回 おいしいJAPANレポートをひも解く!

前回は情報発信より共感を得ることや相手国の文化理解について解説しました。今回はその後編ともいえるテーマです。具体例として「おいしいJAPAN」レポートを軸にひも解きます。

目次:
海外展示会出展の際の心構え
そもそも海外はバックグラウンドが違う

 

海外展示会出展の際の心構え

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日本の魅力を海外にアピールするのに欠かせないのが海外でのプロモーションであるが、10月17~19日にシンガポールにて、最大規模の日本食プロモーション“おいしいJAPAN”が開催されたので、そのレポートをお届けしたい。
前回のテーマである、「共感」と「相手の文化理解」を軸に、課題をお伝えしよう。

今年で3回目となる同イベントは、現地の日本食ブームに比例して、年々、活性化しており、今年は日本全国から企業・自治体など266団体が出展した。

JNTOのデータでもお分かりのように、外国人観光客の訪日目的は食がもっとも高いことを見ると、シンガポールに限らず海外での日本食プロモーションはインバウンド政策との関係性は高い。

弊社ではこのような日本食関連の海外プロモーションに、多数関わってきたが、いつも課題に思うのは、出展する側の勉強不足である。

「試食してもらえれば、おいしさがわかるはずだから、買ってもらえる。」という思い込みと、「どこかいい業者がうちの商品を見つけてくれて、シンガポールで販売してくれないかな」という人任せの待ちの姿勢が見える。
img02-15中には、有力なバイヤーが声をかけてきても、現地でのそのバイヤーの実績や実力を理解していないため名刺交換しただけで満足したり、商談中は通訳を介して何とかアピールできたが、日本に戻ってから、言語対応ができないためその後の商談が頓挫したり。

これでは、何のためにわざわざ高いお金をかけて海外まで出展したのか、出展の理由すらわからない。

食の販促に限らないが、日本側の一方的な思い込みや押し付けだけでアピールしようとしても、現地での販路は広がるわけがない。

「食べてもらえれば、わかる」という姿勢で海外に紹介するだけでは、共感を得ることができない。「わかってもらえる」というのは日本人同士だからこそ。

 

そもそも海外はバックグラウンドが違う

日本人は、食材の産地や季節、名前、どうやって作られたのか、生産者はどのように気持ちを込めて作ったのかという話しを聞くだけで、ある程度はそれがどんなものか、どれほど価値があるのか、想像がつくため、歴史的、知識的なバックグラウンドがあり、それが「美味しいはずだ」という思考につながる。

目、鼻、耳、舌のほか、知識や経験で味を楽しむことができるが、外国人はこの(日本の)知識や経験がないので、「素材そのものの味」という食材を試食してもらっても、日本人のような感動は得られないのは当然だ。

以前、弊社で、日本産米の広告をシンガポール人向けに作成した時に、「他には何もいらない」という日本のキャッチコピーを、意味合いそのままに英語のコピーにしてもらおうとスタッフに依頼したら、「意味が分からない、貧乏くさい」と反対された。

そこで、なぜ、何もいらないくらい美味しいのかという理由を、産地のバックグラウンド、その地域の水の美味しさ、米産地としての歴史などを細かく説明したところ、理解はしてくれたが、広告のコピーは、結局はそういうことをしっかりと説明して、「だからこそ、美味しい」という意味のキャッチコピーに落ち着いた。

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食材を販促したいのなら、ただ一方的に押し付けるだけではなく、その歴史や、その作物が作られている地域、風や水や温度を感じてもらい、どういう人たちが、どういう風に作っているのか、実際に来てもらって、体感してもらうことが、より深い理解(共感)を得られ、「他には何もいらない」という境地を理解してもらえるのではないか。

最近、農業体験や酒蔵めぐりが外国人旅行者の間でブームになりつつあるが、そういう地道な努力を重ねて、ファンを増やし、それが日本食材の世界の販促につながるのだと感じている。

また、最近は、和牛を海外に積極的に販路開拓を行っている地方が増えているが、おいしいJAPANでも、各地方がそれぞれブース出展し、それぞれの自慢の和牛を紹介している。

しかし申し上げにくいが、シンガポールの消費者からすると、どこの産地であるかの違いはほとんどわからない。日本人でもわかる人はほとんどいないだろう。このままだと、金額勝負になってしまい、日本国内で足の引っ張り合いになってしまうと危惧している。

どれも美味しいのはわかっている。必要なのはなぜ美味しいのかを理解してもらい、その産地の和牛のファンになってもらう努力ではないだろうか。

味わってもらうだけではなく、しっかりと説明する。そして、説明するためのわかりやすい(日本人ではなく、現地の人が理解しやすい)、“共感”してもらえるツールを用意する。

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できれば、その産地に行ってみたい!と思わせるようなものがベストだ。

このような意味からも、地域プロモーション(インバウンド)と食のプロモーションはセットでやっていくべきだと確信しているが、日本は食と観光のプロモーションを分けて行うことが多いので、その点は大変残念である。

※すべての写真は当日のイベントの画像ですが、本文の内容と直接的には関係ありません。

 

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