インバウンドコラム

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第11回  ヨーロッパから九州へ。KLMオランダ航空直行便に寄せる熱烈な期待

本年4月4日に福岡-オランダを結ぶKLMオランダ航空が就航。長くヨーロッパからのフライトを熱望していた福岡・九州のみならず、日本各地のインバウンド関連におけるトピックスになるほど、期待が集まっている。
ヨーロッパ市場において新たな地平が開けるのか?
九州からのアウトバウンドの現状も参考にしながら、ツーウェイツーリズムの将来を考察してみたい。

目次
1.将来はヨーロッパからの送客を40%に
2.オランダ人は九州がお気に入り!?
3.福岡・九州の華やかなプロモーションはお手本に
4.福岡・九州側での環境整備

 

1.将来はヨーロッパからの送客を40%に

4月4日、福岡空港国際線では、4月3日に現地オランダ・スキポール空港を発ったKLMオランダ航空便を迎えて、華々しい歓迎セレモニーが行われた。
小川福岡県知事、高島福岡市長、麻生渡福岡空港ビルディング社長(前福岡県知事)は各々「古来より縁の深かったヨーロッパと九州の本格的交流のスタート」と祝った。ヨーロッパ直行便の就航は、福岡・九州の長年の悲願でもあったのだ。
成田、関空についで日本で第3の寄港地となり、週3便が運航する。
スキポール空港のハブ機能を利用することで、ヨーロッパ主要都市へのアクセスが便利になり、同日乗り継ぎも可能になる。

「ロードファクター80~85%を目標としており、年間8万人の利用者を目指したい」とピーター・エルバース代表取締役兼最高執行責任者。記者会見でインとアウトの比率をきくと「60%が九州からの送り出し、40%がオランダおよびヨーロッパからというバランスを目標にしたい」と、インバウンドに対して意欲的な姿勢を見せた。
「例えば福岡インで他都市を周り、大阪アウトなど今までにない人気のコースを作ることができる。大きなポテンシャルを秘めている」とも語った。
JNTOはじめ各都市のインバウンド関連の今年のトピックスに挙げられるほど、注目を浴びていた今回の就航。実際の動きはどうなのか?

 

2.オランダ人は九州がお気に入り!?

KLM側の熱意を実感したのは、3月18日に開催された記者発表だった。
KLMオランダ航空、九州運輸局、九州観光推進機構、福岡市が協力して、KLMが顧客向けに配信している動画のメルマガ「i Fly magazine」を作成したのだ。
福岡の外国人向け情報誌「Fukuoka Now」の編集長・カナダ人のNick Szasz氏が案内。
福岡の寺社や中心部、夜は中洲や屋台を巡り「東京や大阪よりコンパクト、海や山へのアクセスもいい」と説明。柳川で川下り、長崎・出島、黒川温泉と九州の魅力を凝縮した約12分の動画は、私が見ても(Nick氏がレポーターだからか?)「九州って行ってみたいな」と思わせるほど、快適な都市と自然が程よく調和したディスティネーションに見えた。

この「i Fly magazine」は、KLMの顧客向けに、オランダ130万人を筆頭にして欧州内の合計400万人に配信されている。今回の九州版は3月18日から配信され、KLMのFacebook(ファン300万人)やtwitter(フォロワー35万人)においてもリンクが設定された。
KLMの長距離路線に使用される60機のオンデマンドで楽しめるエンターテインメントビデオでも放映されている。
特に、KLM Facebookの300万人というファンは世界の航空会社の中で、サウスウエスト航空に次いで2番目に多い。これらをすべて含めるとヨーロッパではまったく無名の「福岡・九州」の告知効果は高いと思われる。

また、航空会社は基本的に発地側がプロモーションの企画を行う。KLMの本拠地オランダでは地元のエージェントやメディアを招待してのファムツアーを計画しているとのこと。
取材班やKLMのスタッフも九州の魅力を体感して再訪を誓う人も多いらしい。特に、長崎で「東インド会社」のVOCのマークが入った資料を見学したときには400年以上前から続くオランダと九州のつながりにいたく感激したとか。

実際に九州へのインバウンドはまだ1割前後とのことだが、着実に伸びる方向にすすんでいる。

 

3.福岡・九州の華やかなプロモーションはお手本に

昨年末から3月の就航前にかけて、福岡では“ヨーロッパへ”“KLM直行便で”の広告やポスターをよく見かけた。新聞にも旅行会社のツアー広告がどんどん出ていた。

福岡で陣頭指揮にあたるKLMオランダ航空九州・沖縄地区営業部長兼福岡支店長の水元淳一郎氏に手ごたえについてお聞きした。

img02-7「今のところ、4、5月はロードファクター80%を超えており、順調です。
当支店の管轄エリアは、総人口1640万人の九州・沖縄が対象ですが、山口および広島以西のお客様の利用もあります。旅行代理店のパッケージを中心に、往復40数万円するビジネスクラスの座席販売も好調です。運航する機種では35席しかないので、ビジネス客が少ない九州でも埋めることができています。
また、4月、5月はオランダ、ベルギーのチューリップ鑑賞を入れたツアーの最盛期で、よく売れています。6月、7月と夏にかけてはスイス、北欧なども売れ筋になってくるでしょう。今後、FITのお客様にも便利な直行便を利用して行っていただきたい。
日本人向けのサービスにも力を入れ、和食、洋食とミールを充実させ、日本人客室乗務員を搭乗させています。福岡での採用も行い、6月くらいから搭乗予定です。
また、日本語のHPも拡充し、予約も簡単に。日本語のFacebookも立ち上げて、ミッフィーがいろいろ案内するような仕掛けも行っています。

 

例えば、初便でオランダから運んできたチューリップは、地元・福岡で開催されている
“花しるべ”という花のイベントでオランダ政府観光局と一緒に配布しました。
旅行代理店独自で新聞広告はもちろん、地下鉄駅の安全扉の一面ジャックなどもやっていただきました。天神ロフトのグッズフェアは、自分がマーケティング担当だったときに梅田ロフトなどで展開した経験もあって、すすめることができました。コレクターがもっている品を貸し出していただくなど協力が不可欠です」

裏を返せばこれらのプロモーションは、「福岡・九州の人にとってヨーロッパを身近に感じさせ、行きたくさせる」マーケティングのお手本のようなもの。
航空会社ならではのサービスの進化、旅行代理店とのパートナーシップ、よく知られたミッフィーを使ってのSNSでの情報発信はもちろんのこと、現地のイベントタイアップや商業施設との連携など送り出し側のアイデアと想いがないとなかなか成立しにくいことではないか。
やはり発地側での強いキーマンと協力体制が、インバウンドをすすめる際に重要だと痛感する。

 

4.福岡・九州側での環境整備

就航の話が起こった2年前くらいから「さまざまな交渉ややりとりがあった」(福岡市幹部)とのことだが、基本的には地元行政とKLM側は両想いで進行し、実現にいたった。
福岡商工会議所会頭を代表にした福岡の経済代表団は就航後すぐにヨーロッパへ。旅客以外にも電子機器や農水産物の輸送など貨物物流の活用法などについても意見交換を行った。“欧州直行便”という絶好の機会を逃してはなるものか! という決意の現れだと受け取れる。
福岡市も6月にフランスでプロモーションを行うほか、福岡の食の魅力をさらに知ってもらおうと“Fukuoka Best Dishes”というガイドブックを作成し、5月20日に発行。観光案内所などで配布している(筆者も制作にかかわった。詳細はHPでアップされる6月中旬以降に)。

「足(直行便やフライト)ができればマーケットができる」とは、旅行業界でよくいわれることだ。この好機を活かすも殺すも自分たちの努力にかかっているとオールジャンルで取り組んでいかなければならない。

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