インバウンドコラム

第40回 海外ネット通販、税金新政策で業界再編か

海外ネット通販の輸入に対する税金の新政策が実施。新政策の中核となる変化は海外ネット通販の輸入に個人持込・郵送税方式で課税するのをやめることだ。業界では、新政策が実施されると、コストが増大し、海外ネット通販のガバナンスモデルが一層規範化され、業界全体が新たな再編期を迎えるとの見方が広がる。

目次:
税制改革の上限を調整
新税制の影響
実体店舗の小売を保護

税制改革の上限を調整

2014年5月、商務部は海外ネット通販に税金優遇政策を適用すると発表し、海外ネット通販ルートで海外商品を購入した場合、個人持込・郵送税を徴収するのみとし、一般の輸入貿易では課される「関税+増値税(付加価値税)+消費財」が免除された。現在もモデル都市では海外ネット通販の輸入に、個人持込・郵送税だけが課されている。

ルイスマーケティングの中国人爆買いの真相を探る 第40回 海外ネット通販、税金新政策で業界再編か海外ネット通販の輸入に対する税金の新政策が4月8日に施行。天猫国際(Tmallグローバル)の劉鵬総経理は、「国の部や委員会は天猫国際をはじめとする複数の海外ネット通販プラットフォームについて調査研究を進めている」と話す。

業界ではこのたびの政策調整が早くから予想されていた。

中国国際貿易促進委員会海外ネット通販水準テスト委員会の李鵬博副委員長は、「保税輸入と直接郵送での輸入を対象とした税制改革の変化には主に次の2点がある。

1つ目は上限で、取引1件あたりの金額の上限を1000元(約1万7344円)から2000元(約3万4688円)に引き上げ、個人の年間取引額の上限を2万元(約34万6900円)に引き上げる。
2つ目は税率の調整で、個人持込・郵送税は海外ネット通販ルートへの適用をやめ、海外ネット通販輸入総合税モデルに改め、関税、増値税、消費税を徴収する。つまり、新税制では個人持込・郵送税を関税や増値税に置き換えなくなるということだ」と話す。

新税制による改革が行われた後、取引金額上限(2000元)内であれば、海外ネット通販の関税率を暫定的に0%とする。上限を超えた場合は、超えた部分について一般貿易モデルの関税を適用する。分割できない1つの商品の価格が上限の2000元を超えた場合は(ぜいたく品を代表とする)、一般貿易の貨物輸入に課される税金が100%適用される。

新税制の影響

李副委員長は、「現在の個人持込・郵送税は商品の種類によって、税率を10%、20%、30%、50%の4段階に設定する。第1段階は粉ミルク、お菓子、健康用品などが対象で、第2段階にはデジタル製品、衣類など、第3段階には高級腕時計、ゴルフボールなど、第4段階にはシャンプー、歯磨き粉、化粧品などが並ぶ。現在、消費者がどのような商品を購入するかに関わりなく、税額が50元(約867円)を超えなければ、免税優遇政策を受けられる」と話す。

調整後の税率は、商品によって上がるものも下がるものもある。

化粧品の場合、増値税率は30%カットされて11.9%となり、消費税率も30%カットされて21%になる。新税制が施行されると、税率はこれまでの個人持込・郵送税の50%よりも低くなる。

だが食品、マタニティ・ベビー用品の税率は高くなる。
現在の個人持込・郵送税による計算方法では、50元(約867円)の免税限度額があり、50元(約867円)以下の商品であれば基本的に税金は支払わなくてよい。だが100元(約1734円)以上する化粧品では、50%の個人持込・郵送税を収めなくてはならなかったのが、新政策施行後は50%を下回り、消費者が負担する税金のコストが実際には低下することになる。
一連の単価が2000元(約3万4688円)以上する商品の場合は不利になる。こうした商品は一般貿易の徴税モデルでは減免優遇がなく、ぜいたく品などは税金コストが増大することになる。

李副委員長は、「税率の引き上げにともない、生じる影響は3つある。1つ目は業界全体でコストが増加し、増加幅が少なくとも11.9%に達するということだ。2つ目は新政策は単価が高い商品や消費税の徴収が必要な商品には大きくマイナスだということだ。

ぜいたく品がその代表だ。よってぜいたく品を扱うネット通販業者は引き続き海外ネット通販の恩恵を受けることが難しい。3つ目はマタニティ・ベビー用品などの大衆が利用する消費財については、税収コストは上昇するが、影響は限定的だということだ」と話す。

実体店舗の小売を保護

公開データをみると、現在、各種の海外プラットフォームを扱う中国企業は5000社を超え、プラットフォームで海外ネット通販を手がける企業は20万社に達する。

16年の中国の海外ネット通販の取引規模は08年の8000億元(約13兆8755億円)から6兆5000億元(約112兆7400億円)に増え、対外貿易に占める割合が19%に達し、年平均増加率は30%になった。

海外ネット通販の輸入が急速に伸びていることから、個人持込・郵送税を関税と増値税に置き換えることに疑問の声が上がり、今でも声は続いている。

業界関係者は、「個人持込・郵送税は税率が低く、モデル都市と非モデル都市との間に不公平を生み出しただけでなく、海外ネット通販と一般貿易との間の税負担の不公平ももたらした」と話す。

ネット通販の魯振旺アナリストは、「新税制は海外ネット通販の改革の方向性に合致する」とした上で、「個人持込・郵送税しか徴収しなければ、関税優遇政策の幅が広すぎ、海外ネット通販で買った商品を実店舗に持っていって売る人が出る可能性もある。よって、低税率制度の下での海外ネット通販は実店舗の小売事業に大きな打撃を与えることになる。中国経済はまだ実体経済を中心としており、新税制で海外ネット通販ルートを通じた脱税行為を調整し取り締まることが必要だ」と話す。

改革後、海外ネット通販はコストが増大し、これまでのような大きな優位性はなくなるが、一般的な小売産業に比べると、それ自体に価格面での優位性がある。

最も重要なことは、一部の人が海外通販を利用して実店舗に商品を横流しするのを阻止できるようになるということだ。

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