インバウンドコラム

第9回 爆買いは本当に終息したのか?

2015年連日のようにテレビや新聞で外国人旅行客の増加、特に中国人旅行者の伸びと彼らの買い物額の大きさが話題にされていました。今年に入ると一転、主要百貨店の売上が減少に転じたことにより今度は爆買いの終焉、モノ消費からコト消費へのシフトが叫ばれるようになりました。では実際のところ、中国人旅行者の旺盛な買い物意欲は本当に無くなったのでしょうか。

◆なぜに、爆買の終結報道となった?

実はこの問題は商品カテゴリによって事情が大きく異なり、一概に結論付けることは出来ません。
中国人旅行者によるインバウンド消費の全体で見ると、2015年1−6月期の買い物額が3812億円であったことに対して16年1−6月期は4210億円と10%以上の伸びが見られました。
客単価は落ちているものの、それ以上に旅行者が増えており全体としてはインバウンド消費は増加傾向にあります。

ではなぜ連日、爆買いは終息した、と報道されるのでしょうか。
実は中国人旅行者の旅行方法の変化が大きく影響しています。

2015年、中国人旅行者の内個人旅行客は4割程度でした。2016年1−3月期には この状況が大きく変わり、6割を超える人が個人旅行で日本を訪れるようになりました。

つまり、2015年までは基本的なツアーが組まれ、宿泊先、買い物先がある程度制限される団体旅行客が大半でした。その結果、銀座、新宿、心斎橋といった団体旅行客を囲い込んだエリアがインバウンド消費の恩恵を大きく受けていました。

一方、2016年に入り個人旅行客が増えた結果、今まで大きな恩恵を受けていたエリアの売上が落ち込み、今まで大きな恩恵を受けることの無かったエリア、渋谷、有楽町、梅田、名古屋などのエリアでインバウンド消費が伸び続ける、という現象が起きています。

また、商品カテゴリによっても明暗がハッキリしてきました。

今までインバウンドエリアの商業施設の売上を大きく牽引していた外資系の高級ブランドが為替の影響もあり軒並み大幅に落ち込みました。
連日話題になっていた炊飯器や温水便座といった家電商品もすぐに買い替えを行う商品ではない為、需要の一巡とともに売上が減少傾向にあります。

一方これらの商品とは対照的に引き続き好調なのがトイレタリー・化粧品関連の商品です。

 

商業施設の化粧品コーナーではインバウンド消費が引き続き堅調に推移しており、ドラッグストア関連の商品も全般的に好調です。
酵素や青汁のように一時のブームに比べて売上が落ち込んだ商品もありますが、全般的に見ると好調の商品が多く、また、インバウンドの恩恵を受ける商品の種類にも広がりが見られています。

これらの商品は消耗品であり、一度気に入ると繰り返し購入し続ける傾向にあることが背景としてあります。

2015年、中国の中産階級は1億900万人に到達し、アメリカの8700万人を超えて世界一位になりました。この方々を中心として世界中に旅行し、現地の消費を盛り上げています。
中国経済の成長率は減速しているものの中産階級の方はこれからも毎年増え続けます。これからはマスコミの情報に一喜一憂せず、向こう3年〜5年を見据えて行動を起こしていくことが大事になっていきます。

次回は中国人消費者の購買においてインバウンド以上に大きな成長を見せる、越境EC市場の現状についてお話します。

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