インタビュー

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2017.05.09

TOURISM TORONTO(カナダ トロント観光局)Japan, Korea & Emerging Market Development Manager 鈴木 正城氏

カナダ在住でトロント観光局は5年目の鈴木正城氏。日本・韓国を中心としたアジアのMarket Development Managerとして活躍されています。

トロント観光局入局前はカナダでホテルや旅行会社など、旅行業界に長くいらした鈴木氏に、カナダにおけるインバウンド対策についてお伺いしました

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日本のインバウンド受入についての印象はどう感じますか?

日本には仕事で年に1-2回帰国しますが、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催が決まってから、多言語対応などが増えたのではないでしょうか。特に公共機関などでは英語や数字の番号を利用するなど、旅行者にとっては本当にわかりやすくて良いと思います。

 

 カナダの人は日本に何を求めて訪れているのでしょうか?

多様な人種が生活しているトロントであっても、やはり“アジアはミステリー”で異文化体験を求めている人が多いと思います。あと、日本はアジアの中でも“安全”のイメージが強いのも良いですね。

 

トロント観光局におけるヨーロッパからの集客のアプローチは?

トロント観光局の中でもレジャー部門の担当者は、ヨーロッパで開催されるトラベルショーへの出展、各国の旅行会社へのセールス・コールなどを通じたトロントの街の紹介が中心になります。その他にも、MICE、コンベンション、マーケティングなど、複数部門に担当が分かれて、ビジネスや観光での誘致活動を行っています。

 カナダの中でも東カナダに位置するトロントは、ヨーロッパは距離的に近いため飛行機の便数も多く、人種や文化などの歴史的なバックグラウンドもあり、ヨーロッパからの観光者にはとけこみ易い街なのかもしれません。

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アジアへの集客アプローチは?

日本・韓国を担当している私は、マーケティングに基づいてアプローチするよりは、自分で街を歩き、面白いイベントや街の興味深いストーリーを発掘してモデルコースをつくり、新しい街の素材として旅行会社へ紹介しています。データとしてマーケティングに上がってくる情報ももちろん大切ですが、並行して“日本の旅行のトレンドを追いかけるのではなく、トレンドを作る側としてトロントを紹介していきたい!”という思いがあります。

そのため、とにかく街のイベントや面白そうな動きにアンテナをたてており、自分が実際に参加して楽しかったイベントは、絶対にツアープランに繋げられると信じて旅行会社の方々に提案しています。具体的には、プライド・トロント(Pride Toronto)と呼ばれるトロント最大級のLGBT(性的少数者:Lesbian・Gay・Bisexual・Transgender)のお祭りパレードへの参加、世界屋内最大級の農業祭やトロント近郊の農場視察、気軽に参加できるミュージカル観賞、「赤毛のアン」の作者が半生を過ごしたトロントゆかりの地めぐり、鉄道ファン必見の蒸気機関車の乗車体験、メジャーなスポーツ・イベント観戦など。トロントの街の「宝探し」をする感じで、これまでに提案したコースは多岐に渡ります。

これら全ての情報は旅行会社へ提供し、そこから観光要素としての新しい旅行商品が生まれるまでのプロセスがとても興味深いです。

 

トロントの魅力発信のために行っている具体的な取り組みは?

トロントは、時代の流れで世界的に数が減っており地球全体の環境にも影響を及ぼしかねないミツバチを保護するため「Canada’s First Bee City(カナダのミツバチの街第一号)」とかかげてダウンタウンのど真ん中の屋上でミツバチの養蜂活動をしています。

その活動に賛同している大学、ホテル、アトラクション施設では、ミツバチ保護のために、花々、野菜、ハーブなどを植え受粉を促し、そこでとれたハチミツをホテルのレストランで提供したり、あるいは地元のビール会社と提携してその年に収穫したハチミツを使って「ここのバーでしか飲めない限定ビール」を提供したり。はたまた、期間限定でホテルの屋上でガーデン・ツアーを開催したりしています。

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ハチの格好をして、トロントはミツバチ・フレンドリー・シティー・アピール中

 

また、年に一度カナダのバンクーバーで、カナダ旅行業界のネットワーク・イベントがあり、街をアピールする機会があります。毎年テーマは違いますが、その時の街のトレンドを紹介しつつ自分も楽しんでいます。

先住民族がつけた「トロント」の語源に、「出会いの場」という意味があります。私もトロントにきて、いろいろな素材を追及する中で、その道の専門の方々にお会いさせていただく機会が多く、観光という仕事を通して違った分野の勉強もしています。

 

トロントを訪れた方に楽しんでもらうよう、実施していることは?

 先ほど、観光という仕事を通して違った分野の勉強もしているとお話ししましたが、そのような中で、アウトジャパンの小泉さんとの出会いを通して実現したコースもあります。プライド・トロントという大きなLGBTのイベントを絡めての集客を考えた時、一般的な旅行会社に紹介してもハードルが高いと断られた中、LGBTへのサービスを提供する小泉さんに話をしたところ、興味を持っていただき一気に話が進みました。

 プランを作成して終わりではなく、そのプランを活用して実際に訪れていただいたお客様に楽しんでもらえるよう積極的に活動しています。例えばLGBTパレード(Pride Toronto)のときは、そのパレードを歩いている知り合いに交渉してツアーのお客様も一緒に歩くことができるように調整するなど、地元の人との交流のパイプ役となるよう努めています。

 1度トロントを訪れたら終わり!ではなく、何度も訪れていただけるような関係性をつくるように努力しています。

 

街が抱える課題への対応策は?

トロントは他のカナダの地域や北米、南米へのゲートウェイで街にステイしずらいという課題がありました。世界的な観光地「ナイアガラの滝」が近くにあり、宿泊はどうしてもナイアガラにとられてしまいがちです。しかしながら観光地が近いことも強みと捉え、ニッチ・マーケットなどトロントでしかない魅力のある商品をまだまだ開拓できると考えております。

例えば今までのツアーでは、「ナイアガラに宿泊・トロントは半日のオプション観光」というツアーを「トロント宿泊・ナイアガラは半日のオプション観光」へ変えてしまうなど。一般的なツアーでは難しくても、実際に小泉さんに作っていただいたツアーは、あくまでもトロントが主役でナイアガラがオプションでしたから、そういうマーケットもあるという事が証明されたと捉えています。

 

取材後記:

外国におけるインバウンド対策の一例を知ることができて、とても興味深かった。「日々まるで”宝探し”をしているようだ」というお話がとても心に響いた。やはり観光局など地域を紹介する人は、その地域をいかに愛し、新鮮な気持ちで地域の面白い取組、イベントごとなどに参加し、まずは自分が楽しみ共感していくことが大切ということを感じた。

 

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