インタビュー

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2010.12.10

アパグループ代表 

インバウンド需要増を確信したNo.1ホテルの”次なる一手”

プロフィール

アパグループの代表を務め、日本最高層50階建ての東京ベイ幕張を始めとして建築・設計中を含め全国で32000室を超えるホテルを運営の他、これまでに建設・運用・管理するビル、マンション等は400棟を超える。地上44階建東雲キャナルコートや、地上46階建淀屋橋事業、地上30階建て仙台駅五橋事業などを全国で展開、2010年4月より「頂上戦略」として千代田・中央・港の都心三区に積極的に事業展開を開始。また、活字で得た知識を世界75カ国への遊学経験で検証した歴史観、世界観、国家観、そして鋭い感性は、CMプロデューサー、プランナー、デザイナーとしても遺憾なく発揮。
またエッセイストとしての筆致も鋭く、自ら編集長を務める月刊誌「アップルタウン」に、世界の著名な人との対談BIG TALKを始め、20年にわたり藤誠志のペンネームで社会時評エッセイを執筆。2008年に「報道されない近現代史」出版を記念して真の近現代史観懸賞論文制度を創設し「誇れる国日本の再興を目指す」運動を展開している。2010年には「報道されない近現代史」の続編とも言える歴史研究書「誰も言えない国家論」を上梓。
2011年、誇れる国日本を再興し、日本の将来を背負って立つ人材を育成すべく「勝兵塾」を発足。同時に「座右の銘が語る 藤誠志の行き様」を出版。2012年には「誇れる祖国、日本」を出版し、勝兵塾金沢支部を発足、現在大阪支部も計画中。
主な出版物は、「事業はロマン」、「アパ 快進撃の経営戦略」、「快刀乱麻」、「報道されない近現代史」、「誰も言えない国家論」、「誇れる祖国、日本」、「月刊APPLE TOWN」ほか

 

“頂上戦略”によって加速する出店で圧倒的な強さを持つホテルチェーンに

村山

まずは、御社の近況からお聞かせいただけますでしょうか。

元谷

今から41年前に石川県小松市にて創業した弊社ですが、東京に本社を移してから今年で10年目という節目を迎えました。さらに2年半前からスタートしている“中期5ヵ年計画”の折り返しの年でもあります。この計画において当社が打ち出している方針は、“頂上戦略”と呼ぶもので、東京都心部においてホテル所有数No.1、マンション供給数No.1と、少々大きめな目標を掲げ、それに向かって事業を進めているところです。また、現在490万人いらっしゃる会員様を800万人にまでアップさせようとも考えており、クオリティの高いサービスをご提供し、集客と同時にリピーターづくりにも注力していかなくてはならないと考えているのです。

村山

現時点において、それらの目標に対する進捗状況はいかがですか。

元谷
インバウンドに関連しての具体的な数値目標として、この5年の間に東京の都心部で新たに50軒のホテルを建築しようと考えています。先日、新宿歌舞伎町に23軒目となるホテル用地の取得を済ませたばかりです。さらに、この秋だけで4軒のホテルオープンを予定しているので、数字的にみても順調に推移していることがお分かりになると思います。

村山
まさに破竹の勢いといったところですね。

元谷
東京エリアにおいては、すでにNo.1の部屋数を有するホテルチェーンとなってはいるのですが、私たちが目指すのは圧倒的な強さです。都内の一等地にて新都市型ホテルの新築を進める一方で、地方都市においても、昨年の2月から取り組みを始めたパートナーホテル制度やFC店も展開。経営不振に陥っていたホテルの立て直しに協力しているところです。

村山

アパさんの進出は、地元の方にとってもメリットは大きいのでしょうね。

元谷

アパの看板に付け替え、当社のサービスシステムを導入してもらえば、そのホテルの競争力は格段にアップします。料金を控えめに設定した稼働重視の経営スタイルですからね。大手のホテルとも互角に戦えるようになるのです。また、私どものホテルの方針としては、朝食は提供しますが、夕食はおつけしていません。したがって、宿泊客の方は自然と地元の飲食店に流れていき、地域活性化に繋がっていきます。この取り組みは、弊社のみならず、ホテルのオーナーや地元の方々の誰もがメリットを享受できる、一種の社会貢献だと考えています。おかげさまで、現在、チェーン全体において、年間宿泊数が600万人を超える状況までになっています。

空港からアクセスの良い幕張のホテルを拡大、さらにLCC就航で需要が高まる札幌にも期待

村山

昨今の外国人観光客によるホテルの利用状況はいかがでしょうか。

元谷

震災後は激減したものの、ここのところ急速に増加し、震災前の一定水準を超えるまでに至りました。このペースでいけば、あっという間に現在の4倍程度の需要が生まれるであろうと予測しています。外国人観光客の方々は、私たちがイギリスに行ったらロンドンに、フランスに行ったらパリを訪れるように、まずは東京にいらっしゃいます。現在、東京エリアにおいてホテル建設を急ピッチに進めているのも、実はこういった需要を見込んでのことでもあるのです。

村山

特別に外国人向けにご用意されたホテルはあるのでしょうか。

元谷

私どものホテルのメインユーザーは、490万人の会員様であり、その大半がビジネスユースなので、特別に外国人観光客向けの施設を用意しているわけではありません。
しかし、ビジネスユースはどうしても平日利用が中心となってしまうので、週末を中心とした観光需要を戦略的に狙っているところではあります。

弊社では千葉県の幕張エリアに1000室規模の大型ホテルを用意しているのですが、成田、羽田両空港からのアクセスが良いということで、外国人観光客のご利用が多い。現在500室の増築を計画しているのもその観光需要戦略のひとつです。日本独自の文化として外国人の方から評判の高い大浴場も新設し、3000人収容可能な規模のホテルへとさらなる拡大を図ります。もちろん、幕張に限ったことではないのですが、外国の方々に不便を感じさせないよう、英語が話せる従業員を配置していますし、翻訳端末も設置。言葉の問題で支障をきたすことはありません。

村山
外国人観光客に対するアピールとして、どのような手段を講じていらっしゃるのでしょうか。

元谷

海外の旅行サイトとの連携を強化したため、ダイレクトに予約を入れて下さる個人客の利用が増えています。以前に海外エージェントを通じていらっしゃった団体客の方々に比べてもご利用単価が高く、当社にとっての優良顧客であるため、今後も個人利用客の拡大を図っていきたいと考えています。また、国内LCC(ローコストキャリア)の就航によって、東京からの移動費用が格安となった札幌エリアにも期待を寄せています。外国人観光客が、何度も日本にやってくれば、東京の次に京都や北海道など、他の地域へ足を延ばしたくなるものですからね。現在、札幌周辺に4物件を保有していますが、需要の増加を睨み、新たに3軒の買収を進めているところです。

日本の魅力を日本人自身が理解し、“人”だけでなく親切な“国”であるべき

村山

日本の観光政策やインバウンドを取り巻く環境は、決して楽観視できるものではないといわれていますが、元谷代表はどのような点に問題が存在していると思われますか。


元谷
日本の素晴らしさを、日本人自身がしっかり理解していないことが最大の問題でしょう。多くの外国人の方がよっぽど正しく評価し理解をしていると思います。治安の良さはもちろんのこと、
インドやアジア諸国に比べても、飲食店や宿泊施設が各段に清潔で衛生状態が良いし、しかも四季があり風光明媚で、歴史もある。さらに、日本人は外国人に対しておしなべて親切であり、あらゆる意味において日本は素晴らしい観光資源を有する国といえますよね。にも拘わらす、国民が良さを理解しなければ、アピールなどできるわけがありません。

村山

おっしゃる通りです。もっと自信を持って、外国人の方々をお迎えすべきなのでしょうね。

元谷

近隣諸国の所得水準もアップしており、いわゆる“離陸期”を迎えているので、今後一気に海外旅行熱が高まっていくでしょう。その昔の日本もそうでしたよね。最初は団体旅行が中心でしたが、どんどん個人旅行へとシフトしていきました。この絶好の機会を逃すべきではないということです。例えば、東京にオリンピックを誘致するのもひとつの手だと思います。私は、36年前からすべてのオリンピックの開閉会式を見てきましたが、その国の魅力を理解するのに絶好の機会だったと実感していますよ。

村山
東京へのオリンピック誘致に反対する声も聞かれますよね。
元谷
反対する方がおかしいでしょう(笑)。税金を投入することに抵抗を感じている方が多いのかもしれませんが、間違いなく収益の方が多くなり、トータルではプラスになりますよ。施設だってすでにあるものを利用すれば良いのですから、莫大な予算を掛けて一新する必要もない。国民の多くが偏った情報に踊らされているようで、残念でなりませんね。オリンピックに合わせて、海外からの観光客は大挙して訪れてくれるわけですし、さまざまな整備が進めば、その後インフラも整っていくのですから。とにかく、国が一丸となり大きな目標を持って、前に進んでいくことも必要だということです。


村山
課題はありませんでしょうか。

元谷
人間は親切なのに、制度や仕組みについては親切心に欠けています。例えば、道路標識。外国人の方がレンタカーを使って移動ができるように英語表記にするなど、わかりやすくする必要があるでしょう。みなさんが楽しい思いをして帰ってもらえるような、そんな思いやりのある国になっていく必要があると思うのです。

村山
本日はありがとうございました。

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