インタビュー

2016.09.02

株式会社ジャーマン・インターナショナルCEO ルース・マリー・ジャーマン氏

グローバル層に向け、日本の魅力を効果的に発信!

 

在日歴28年。現在はNHK「しごとの基礎英語」などにも出演しながら、自身の会社である株式会社ジャーマン・インターナショナルのCEOとして、日本と世界をつなげるために活躍されているルース・マリー・ジャーマンさん。通称ルーシーさんが考える訪日外国人客のキーワードは「世界を舞台に活躍する富裕総・グローバル層とつながるインバウンド」。著書『日本人が世界に誇れる33の事』『やっぱりすごいよ、日本人』もあるルーシーさんにお話しを伺った。


『やっぱりすごいよ、日本人』


『日本人が世界に誇れる33のこと』

 

1:現在行っている現場主義インバウンド対策とは

弊社では経営コンサルタントとして、グローバルな常識・マナーを持ち合わせた富裕層「グローバル層」とつながるための、外国人マーケティング戦略へのアドバイスを行っています。そのための3つのポイントは、①興味を持ってもらうための“情報の発信方法”、②誘致=動線のつなげ方、③受入れ体制について。日本に住んでいて日本が大好きな外国人のプロフェッショナル・モニターのネットワークを活かしながら、神奈川県江ノ島にあるスパ施設“エノスパ”やJTBさんと一緒に草津温泉などへのコンサルタントを行っています。

グローバル層という言葉は私の造語なのですが、年収1500万円以上で、英語に通じていてインターナショナルな環境で働き、グローバルな常識を持ち、他の人達に配慮できる富裕層を「グローバル層」と呼んでいます。欧米人、中国人など人種は関係ありません。「グローバル層にどうコンタクトを取り、どう呼び込むか」。現場主義インバウンド対策をテーマに、多くの案件のコンサルを行うのではなく、限られた数の案件にじっくり取り組んでいます。

2:日本に住み始めたきっかけ

1988年、リクルートに入社したことがきっかけでした。当時私は、アメリカ東海岸にある大学の国際関係学部の学生。日本の大学で半年間日本語の勉強をして、アメリカに戻ったばかりでした。ある時、大学新聞を読んでると平仮名で「これをよむことができたら、せつめいかいにきてください。かぶしきかいしゃりくるーと」と書いてあって、読めたんですね(笑)。説明会へ行くと、入社2年目の女性がいて。こんな若い女性を、しかもその国の言葉ができなくとも海外へ行かせてくれる会社、これこそ最先端だなと入社することに決めました。

リクルートには4年間いて総務部で働く傍ら、チア部も創設しチアリーダーとして8000人の前で応援をしたりしていました。リクルート退社後は、世界のエイズとHIV国際会議の事務局をしたり、芸能界にも少しいて「徹子の部屋」に出たこともあるんですよ。

3:グローバル層とつながるための手段を模索した12年間

ある時、リクルート創業者の江副さんから「ルーシー、仕事を手伝ってよ」と電話がきました。江副さんは、これから日本には外国の人がもっと来るようになるので、泊まれる場所が足りなくなることを見越してサービスアパートメントを始めるアイデアを持っていました。2000年のことです。今でこそ、単身赴任の外国人が3、4ヶ月泊まれる家具付きの部屋は数多くありますが、当時はホテルに長期滞在するか、月100万円以上する超高級アパートメントしかなくて……。江副さんと共に株式会社スペースデザインという会社を立ち上げ、37室からスタートした事業は12年間で1200室・18棟までに増えました。

その間は営業本部長として、毎年3000人以上、合計で4万人以上の外国人のプロフェッショナルな方々と接する機会がありました。スペースデザインの家賃の平均は月23万円、高い部屋だと85万円。日本に滞在する際の部屋を紹介するには、彼らがまだ自国にいる間にアプローチする必要がある。海外の様々な媒体に広告やプレスリリースを打ったり、実際に会いに行ったり。グローバル層の人々とコンタクトを持つための有効な手段について12年間必死に考え、試行錯誤を繰り返しました。その経験、ノウハウ、ネットワークのすべてが今のビジネスに活きています。

4:外国人からみた訪日客、今後の展望

スペースデザインで日本に滞在した人々は、「こんな素晴らしい国はない」と家族や友人にも良さを伝え、皆さんリピーターになってくれました。この流れは止まらないと私は見ています。
日本政府は2020年には訪日客数を4000万人にするという目標数字を掲げていますが、もしかしたら5000万人、2030年にはディービッド・アトキンソンさんも言っているように8000万人を越すかもしれません。それは決して非現実的な話ではありません。私は観光で成り立っているハワイ出身なので、その辺の感覚がわかります。ハワイは150万人の人口で、毎年800万人の観光客を誘致しています。日本にはポテンシャルがあります。

ただし、良いものさえ提供していれば対価を出しに向こうから来てくれる時代は終わりました。今は選択肢がたくさんある中で、どう優れているかをうまく発信して、対価を出してもらう時代です。値段を下げるから来てくれる人ではなく、定価を喜んで払ってくれるグローバル層とつながる。日本がハワイのように観光でやっていくには、そこが大切だと思っています。

日本人は、自分達が持っている価値に気づいていません。電車やバスの中で平気で爆睡できる国は、世界中探してもどこにもありません。何を食べても食あたりにもならない。安心、安全。こんな国は他にないんです。日本人は本当に素晴らしい人達だし、文化もある。ただ、日本人はアピールすることが苦手だから、培ったいろんな手段を使って海外と日本をつなげる役割を担う!
同じような気持ちを持った日本に住む外国人の仲間と共に実行していくのが、私の使命だと感じています。そのためにも、日本の企業や日本人の皆さんへ、いろいろお伝えしていきたいと思っています。

取材後記:
実はルーシーさんは元同僚。直接の面識はなかったが、ルーシーさんはチアリーダーなど常に目立つ有名人だった。今回、お話を直接伺う事ができ、感じたことは「日本への熱い思いをもっている日本人以上に日本人らしい面をもった真面目な人」。在日歴28年、日本に住む外国人ならではのネットワークと視点を兼ね備えた彼女からは、日本が観光立国となるために教えてもらいたい事が山のようにある。

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