インタビュー

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2016.08.03

株式会社昭文社 グローバル事業本部 ディレクター 鶴岡優子氏

外国人目線で日本のディープな情報を発信!

訪日外国人観光客向けに情報を発信するウェブサイト「DiGJAPAN!」は、2014年から始まったサービス。もともと日本人の旅行者向けにガイドブックを出版している昭文社が、インバウンドに本格参入した。デジタルに特化し、外国人視点を大切にして情報発信している。さらに新しいサービスも次々打ち出しているのだ。

目次:
DiGJAPAN!スタートの経緯
DiGJAPAN!WEBサイトやアプリのサービス内容とコンテンツについて
SNSとの連携に注力
外国人目線からのコンテンツ
今後の展望や抱負

1:DiGJAPAN!スタートの経緯を教えてください

弊社は、地図やガイドブックの出版社として実績があります。
インバウンドに本格的に力を入れ始めたタイミングは、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催が決定したときです。2013年の秋です。

それまでは、まさに広報の一環という位置づけで、試験的に台湾向けにフェイスブックページで日本の旅行情報を発信していました。台湾の若い女性は日本好きでリピーターも多く、名所やグルメを紹介するだけでは満足していただけないことが想定されたので、例えばコンビニのキャラクター中華マンの情報やコンビニスイーツの新商品情報など、定番の旅行情報に交えて日本の最新情報も日々発信していました。これは2012年から始まったサービスですが、すでにあるコンテンツを翻訳したわけではなく、台湾向けにコンテンツを作りなおしていました。

その2013年秋からインバウンド事業本格稼働ということで、外国人観光客に重要なポイントとなるクチコミ対策としてフェイスブックページを充実しました。台湾以外の国に向けたフェイスブックページを徐々に増やし、現在は、台湾、タイ、韓国、シンガポール、インドネシア、英語圏全般と、国内のインバウンド事業者向けにノウハウを情報提供する日本語ページも含めて、7つのアカウントを運営しています。

さらに外国人向けに特化した専用アプリの開発を進めることになりました。ブレストをして多くの意見が持ちあがったのですが、流行やニーズの変化の激しい外国人旅行者向けには紙媒体よりも臨機応変にコンテンツを制作できるデジタルの普及が重要ということが結論となりました。
デジタルファーストでサービスを提供するということは私たちにとっては、たいへんチャレンジングなことでした。もともとは、地図やガイドブックなど紙媒体をメインとしてやってきていたので、WEBやアプリなどのデジタルサービスは紙媒体の利便性を更にアップさせるという役割が多かったのです。

そして「DiGJAPAN!」のアプリは、2014年11月にリリースとなりました。

名前の由来として、“DiG”には掘り起こすという意味があり、さらにたくさんの情報からお気に入りを見つけるという意味もあるのです。日本の良いものを深堀りしてお届けしたいという想いと、その中から自分だけのお気に入りを見つけて欲しい、という想いをこめています。

2:DiGJAPAN!WEBサイトやアプリのサービス内容とコンテンツについて教えてください

DiGJAPAN!WEBサイトは、6言語で情報を発信しています。英語、中国語(簡体、繁体)、韓国語、タイ語、日本語があります。各国のニーズにあわせて、記事によっては言語ごとに内容が異なるコンテンツを提供しています。国によって旅行者のニーズが違うのは当り前であり、ですから情報も変えているのです。
WEBサイトの言語選択を切り替えると、ご覧いただけるコンテンツも変わります。つまり単純に多言語に翻訳をしているのではないのです。

各言語の担当者は、ネイティブのスタッフを揃えており、国ごとに作りたいものを尊重します。
編集会議では、いろいろなアイディアが持ち上がります。訪日旅行のトレンド、ニーズの高さ、予算や実現性も考慮して企画が最終確定され、それぞれ取材に行ってもらいます。
一方、紅葉特集や桜特集など、どの国の人にもニーズが高い共通のネタについては、一緒に取材してもらいます。

しかし、同じ記事であっても、アップのタイミングは異なります。それは、旅行のコースを検討するタイミングが異なるからです。ビザの手続きなどが比較的容易な台湾や韓国では出発直前に欲しい情報であっても、半年ほど前から旅行の計画を立てるタイでは、早めの情報発信が喜ばれます。

DiGJAPAN!のアプリは、全世界で約60万ダウンロードされています。国別では、台湾やタイ、中国、韓国などが多いです。

旅行の計画段階から活用いただけるアプリなので、出発前の現地でダウンロードしていただくことを想定しています。そのためのプロモーションとしては、旅のきっかけとなる情報を発信しているフェイスブックページの活用が一つ、そして、現地でのリアルなアプローチがもう一つです。現地では、エアラインとの提携、機内誌に掲載、チケットの裏に告知、現地旅行代理店へのお知らせ、Wi-Fiを借りる際に発信機と一緒にリーフレットを封入するなど、日本へ旅行することが決定している人にアプローチしています。

3:SNSとの連携に注力されているようですが?

SNSとの連携については立ち上げ当初から重視しているところです。アジアでのソーシャルの影響力は日本よりも大きいと認識しています。
言語別に6つのアカウントを設けたのもそのためです。それぞれ1年間、毎日365日、情報をアップしています。

さらに新しい取り組みとして、ブロガーさんとのコラボ企画をこの夏、始めました。
海外には、パワーブロガーというフォロワー数が多く、影響力の高いブロガーさんがいますが、そういったブロガーさんとコラボした地域誘客プロモーションという手法があります。しかし、ブロガーさんの書きたいことと、誘客したい日本サイドのニーズに合わないというケースも少なくありません。それは、ブロガーさんとのコミュニケーション不足が原因ではないかと考えています。

そこで、私たちは、ブロガーさんと企画を一緒に練り、各国のネイティブスタッフが編集をするようにしたのです。

先日、台湾と日本で30万人以上のファンがいる「茂木家」というパワーブロガーさんとコラボをした記事を発表しました。日本人の旦那さんと台湾出身の奥さんとそのお子さんで、一日鎌倉を楽しむという旅行プランを紹介しています。「茂木家」のおしゃれで可愛らしい空気感はそのままに、台湾の方に人気の鎌倉を効率よく旅行するプランを紹介できたので、「茂木家」のファンにも、DiGJAPAN!WEBサイトのファンにも喜ばれる記事になりました。

また記事の拡散にあたっては、DiGJAPAN!からだけでなく、パワーブロガー「茂木家」のサイトやフェイスブックからも発信することができ、リーチ(記事や動画を見た人の数)は公開から5日で120万を超えました。

4:外国人目線からのコンテンツについて

私たちの考え方として、外国人スタッフなら誰でも良いという訳ではありません。
メディアに携わる素養が必要です。面白いものを探し出す能力、どう表現すれば伝わるのかを考える力を持っていることが要求されます。

また縁の下の力持ちとして、日本人スタッフの存在もあり、やはり情報力や取材の交渉という点で言えば、日本人が慣れています。つまり、外国人と日本人がチームとして機能したとき、良いコンテンツができあがるのです。

外国人スタッフの採用の基準は、インバウンドまたはマーケティングの経験がある人を採用します。
その国では、何が好まれ、何が人気になりつつあるのかを踏まえ、客観的な目を持っていることが重要なのです。
自国の状況もどんどん変化してしまいますから、そのあたりも常にアップデートしてもらっています。そうではないと情報のミスマッチが起こるでしょう。

最近人気のあった記事は、ホテルのミニオンルームに関するものです。ユニバーサル・スタジオ・ジャパン®のオフィシャルホテル、ホテル ユニバーサル ポートでは、10周年を記念して、パークで大人気のミニオンがホテルをジャックしていました。その体験レポートが、120万コンテンツビューとなったのです。

5:今後の展望など、抱負も含めて教えてください

DiGJAPAN!は外国人旅行者をターゲットとするBtoCで、広告によるビジネスモデルとなっています。

先日、業界向けのBtoBのインバウンド専門のサイトも立ち上げました。
広告営業で、地域や施設にうかがうと、相談ごとも多く、コンサルティングとしてのニーズが高いのです。さらに外国人スタッフも同席しますと、その場でいろいろなアイディアが出ることもあり、クライアントさんにたいへん喜ばれます。そこにもビジネスチャンスがあると考えています。リサーチ、グループインタビューなども商品化し、さらに、データの販売、ソリューションの提供、商品テストなど、DiGJAPAN!を中心に広がりを見せています。

BtoCのサイト運営によるノウハウが蓄積されおり、インバウンドに関する総合的なご提案ができるようになっているのです。

今後は、地方にも力を入れ、個人が、地域の体験に興味がいくような流れが構築していきたいですね。DiGJAPAN!のWEBサイトにて、この夏、自治体・法人の方に活用していただける「エリア特集ページ」を新たに開設しました。メディアを情報発信の場とするだけでなく、DiGJAPAN!と地元の方とで現地のフィールドワークや、グループワークなども取り入れ、一緒にコンテンツを作る仕組みも強化していきます。

一方、DiGJAPAN!のアプリを活用して、台湾の現地パートナーと提携して台湾のインバウンドを盛り上げるDiGTAIWAN!という取り組みも始まっています。日本のインバウンドだけでなく、アジアや世界中の国のインバウンドにDiGJAPAN!の仕組を広げていきたいと考えています。

昭文社では、今後もDiGJAPAN!をベースに、グローバルな旅行ビジネスを幅広く拡大していきたいと思います。

取材後記:
ガイドブックの出版というノウハウを活かしつつ、新しいネタを外国人スタッフが取材・編集に携わっている。単純に翻訳しているわけではないのだ。やはり国ごとにニーズが違い、それにあったコンテンツを提供している。この記事を読んで日本ファンになる外国人が増えることだろう。個人的にも楽しみだ。

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