インタビュー

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2016.06.02

株式会社アウト・ジャパン 小泉伸太郎氏

日本のLGBTインバウンドを促進させたい!
LGBTという新しいマーケットが盛り上がりを見せている。そこに先駆的に取り組む株式会社アウト・ジャパンの小泉伸太郎氏は、海外の事情にも精通されている。日本の取り組みは遅れているそうで、お隣の台湾では、数歩先を行っていると言う。小泉氏自身の活動とLGBTの意味するところ、およびマーケットの可能性をうかがった。

目次:
アウト・ジャパンの概要と小泉さんの関わり方
LGBTの現状について
LGBTの海外の旅行事情について
LGBTの今後の展望について

1:貴社の概要と小泉さんの関わり方に教えてください

弊社、アウト・ジャパンの設立は、2015年7月で、まだ約1年というところです。
世界のLGBT市場に向けた日本発信のメディアです。

私は、もともとホテルマンで、約20年間の経験のなかでインバウンドに関わっていました。独立をして2009年にSKトラベルコンサルティングというLGBTに特化したランドオペレーター(アウトアジアトラベル)とコンサルティングをする会社を立ち上げたのです。
昨年、こちら(アウト・ジャパン)の親会社である株式会社エフネスの代表から声をかけていただき、LGBTに特化したメディアを立ち上げることになった次第です。私が中心となり、スタッフィングを行い現在6名になりました。社内専業スタッフのほか、LGBTの書籍を執筆されているなど、知見の高い外部の人材にも参画してもらい、チーム編成をしました。

日本でLGBTについての認識を深めてもらうインフラづくりを担っていると、自負しております。

海外に向けた英語のWebサイトになっており、日本のLGBT事情を発信中です。
ビジネスモデルは、広告収入が大きな柱で、ホテルなどLGBTフレンドリーな企業、また地方自治体様から、出稿をいただいております。
コンテンツは、観光情報の他、LGBT関連ニュース、ホテル情報、LGBT関連のコラム、LGBT向けのバーやレストラン情報などを掲載しています。欧米からのアクセスが多いですね。
アドレス:
http://out-japan.com/

2:LGBTの現状について教えてください

以前、仕事でロスアンゼルスのLGBTの調査に出かけた際に、大きなマーケットであることを認識しました。しかし、日本ではあまり知られていないので、これは大きなビジネスチャンスになると感じました。海外のLGBTの方々は、食事やホテルにお金をかける傾向があり、比較的富裕層に多いことがわかりました。

LGBT市場規模は、国内が約6兆円、グローバルでは、2,020億米ドル(旅行消費のみ)だと言われています。LGBTの市場規模は驚くほど大きく、特にゲイ&レズビアンのマーケットは、ピンク・マネー(英語: pink money)と呼ばれており、ゲイ&レズビアンコミュニティーの購買力を意味します。
医師・弁護士・会社経営者等の高収入の方が多い印象です。このピンク・マネーを獲得するため、海外では大体的なキャンペーンを行っている企業・観光局が多数存在します。

ところで、LGBTの意味について、おさらいしましょう。
女性同性愛者(レズビアン、Lesbian)、男性同性愛者(ゲイ、Gay)、両性愛者(バイセクシュアル、Bisexual)、性同一性障害者を含む性別越境者など(トランスジェンダー、Transgender)の人々を意味する頭字語からきています。

LGBTという言葉は、性の多様性や独自の文化に誇りを持ち、自由や平等を求めていこうとする姿勢を強調しています。本来は、別々の属性ですが、マイノリティーが集まって発言力を高めようという狙いがあります。

日本でもLGBTフレンドリー化に関する動きも活発になりつつあります。
渋谷区は2015年、同性カップルを「結婚に相当する関係」と認める「パートナーシップ証明書」を発行するようになりました。
さらに渋谷では、日本最大級のLGBTイベントが、2016年5月7日から開かれていて、8日はLGBTの当事者や支援者が渋谷の街を練り歩くパレードが行われました。
主催者によりますと、パレードには4,500人、イベント全体では70,500人が参加し、性の多様性を象徴するレインボーカラーの旗や、同性愛者であることを誇る内容のプラカードを掲げたりして、LGBTへの理解を呼びかけました。
今年は、最も多い100を超える企業や大使館などがブースを出店していて、私たちもその一つとして参加しました。

私の目算では、来場されていた人のうち、30%位は外国人ではないでしょうか。もちろん日本在住の方もいらっしゃると思いますが、このイベントを目的に訪日されるニーズが確実にあるのです。

3:LGBTの海外の旅行事情について教えてください。

LGBTのレインボーパレードですが、実はアジアでは、台北が最大級です。10月に開催され、こちらは約8万人が集まります。世界中からLGBTが集まり、その時期の宿の手配は困難になりますね。

海外でのLGBTにおける旅行事情は、特に欧米では活発です。LGBT旅行商品が増えていて、OTA(オンライン・トラベルエージェント)では、LGBT専用ページを設ける動きがあります。またLGBTのパワーブロガーも登場して、影響力を持つようになってきました。
さらに観光協会も積極的にLGBTを取り込もうというスタンスです。

海外では、スペインやメキシコが人気のデスティネーションですが、それには理由があります。その二つの国は、観光協会の訴求力が実に高い。ブースからウェルカム感が大きくみなぎっていて、楽しそうなアクティビティ商品を並べているのです。
そういう場所にいくと、市場規模の大きさを実感でき、日本はまだまだ遅れていると悔しく思います。

カナダのゲイ専門の旅行会社が着地型ツアーを催行すると、参加が世界中から集まる場合も珍しくありません。普通は、主催した国の人たちが現地で合流するかと思いますが、事情が異なりますね。だいたい10~16人の多国籍グループです。

また、大きなツアーですと2,000人から3,000人規模のゲイクルーズというのがあります。船内パーティーを通した出会いを求め、参加されます。

国内のインバウンドの動きも着々と進んでいます。ホテルグランヴィア京都が、受け入れとしては先駆的です。しっかりとしたリーダーがいらっしゃって、接客やプロモーションなど、積極的に取り組んでいます。
他に、沖縄のホテルパームロイヤルNAHAでは、専用のウチワを作っています。また裏磐梯のホテルでは3月にスキー場のレストランでLGBTパーティーを企画しました。

例えば、アジアでLGBTに人気なのが、タイや台湾ですが、そういった場所と組み合わせた日本のツアーを組むのも良いと思います。
まずは一度、日本に来てもらえれば、きっと良さが伝わり、リピートしてくれると信じています。

4:LGBTの今後の展望について教えてください

日本では、LGBTフレンドリーだと表明している企業はまだまだ少ないと思います。やはり、LGBTに偏見があるのかもしれません。
そのためにもホテルグランヴィア京都のような導入事例が増えることが望ましいのです。数が増えてくると、風向きが一気に変わり、次々と広がっていくのが、日本の良さでもあります。

理解してもらうということが大切です。そのためには従業員教育が重要であり、我々がお手伝いさせていただける領域でしょうか。

LGBTの方々の特徴のひとつに、サービス面への厳しさがあります。しかし一度、信頼を獲得できれば、リピーターになる可能性が高いのです。納得していただけるようなサービスを提供するために何をすべきかというノウハウがあり、私たちはそれを提供しているのです。

メディア以外にコンサルティングもしています。まずは強みを聞き、そのうえで、どういった訴求がいいのかをアドバイスするのです。
ある新宿のホテルさんでは、部屋の色調がLGBT向けにマッチしていて、うってつけだとアドバイス。レストランの背もたれの高いカップルシートも喜ばれると指摘しました。

私はIGLTA(国際ゲイ&レズビアン旅行協会)という国際的な組織のアジア・アンバサダーに任命されていて、アジア内でIGLTA入会希望をしているLGBTフレンドリー施設のサポートを行っております。
最近では、地方自治体や地方のホテルからも相談が増えました。

また、JNTOのニューヨークとロスアンゼルス事務所では、LGBT向けのメディア招聘や旅行会社向けのファムツアーの企画を進めています。富裕層マーケットの一環としての、LGBTへのプロモーションです。
各方面が積極的に変わりつつあり、今後に期待できるのではないでしょうか。

株式会社アウト・ジャパン
コーポレートサイト: http://www.outjapan.co.jp/

 

取材後記:
先日の渋谷のレインボーパレードでは、イベント会場がある代々木公園の野外ステージで、各国の駐日大使が激励のスピーチを行い、昨年、同性婚がすべての州で合法化されたアメリカのケネディ駐日大使も登壇された。海外では大きなうねりとなっていて、日本の対応が急がれる。

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