インタビュー

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2015.11.19

人力車えびす屋 小倉淳児氏

人力車は日本のキラーコンテンツだ!

語学対応もしっかりと、外国人を乗せた人力車が走っている。アマンリゾート東京に常駐するなど、日本のキラーコンテンツとして5つ星ホテルにも認められた。これまでの経緯と今後の展望をうかがった。

目次:
人力車の取り組みについて、その概要
外国人の受け入れについて始まりは?
最近の外国人対応で新しい試みは?
今後の展望は?

1:貴社の人力車の取り組みについて、概要を教えてください

弊社は1992年の創業です。京都の嵐山、渡月橋のあたりで、最初は3台から観光人力車として始まりました。
当時、すでに他社で人力車があったのですが、移動する乗り物でしかなく、我々は、観光人力車を目指しました。人力車を引っ張る車夫がガイドを勤めるのです。小さなエンターテイメントとして、もっと楽しく、会話で盛り上げたい。まさにパーソナルコミュニケーションという考え方です。
当時は、バブル経済がはじけ、大量生産大量消費の時代が終わろうとしていました。人の価値を再発見したいという思いがあったのです。

その後、京都も東山界隈でもスタートし、現在では、浅草、鎌倉、小樽など9カ所で営業するまでになりました。いずれも観光地として賑わっていて、レトロな街並が残っている場所です

やはり、観光地があるから我々の商売が成り立つ、だから常々、地域社会に感謝の気持ちを忘れずにいたい。人力車に乗ることを目的に観光地へやって来る人は皆無で、ついでに人力車を体験するのです。
おかげさまの気持ちで商売を続け、地域への恩返しが大事だと思っています。例えば、地元の方々への挨拶の徹底、また街の掃除を率先してやっています。掃除は車夫からの提案で、地域への恩返しとして始まったのです。

現在、弊社では、全国に人力車が250台あり、車夫は300名になりました。まじめで明るいことが決めてで採用しました。

浅草では、短いコースで12分ぐらいからあり、2人で4000円です。一般的には30分のコースがおすすめですね。観光地からはずれた路地裏に行き、下町情緒が残る雰囲気を満喫できます。なかなか足を伸ばしづらい、かつて芸者街だったところなど、穴場のスポットを紹介したいです。まさに本物の下町があるのです。

2:外国人の受け入れについて、その始まりは?

外国人受け入れは、2006年と古くからやっています。当時、台湾からの旅行会社からのオーダーで団体コースに人力車を組み込みたいという要望でした。京都から始まり、中国語で対応できるようにもしました。そのための講習会を実施しました。

京都検定やTOEICなど資格手当を設け、スタッフのモチベーションの向上をはかったのです。

ところで、2009年に私が浅草に赴任したのですが、それまで、他の地域を全部経験していました。そのときの印象は、他と比べて浅草は外国人が多いことです。利用していただける率が高いのです。京都はもちろん外国人旅行者が多いですが、利用は少ない。

何もしなくても、浅草が多いのだから、頑張ればもっといける、浅草のポテンシャルに気づいたのです。
そこで現場には、外国人旅行者に積極的に声をかけるように促しました。すでに人力車の競合他社がひしめき合っていましたが、外国人に積極的なところは皆無でした。言葉の問題があり、他はあまり踏み込んでいかない。まさにブルーオーシャンです。

東京の利用率が高い理由を私なりに考えると、日本的な体験を求めているからでしょう。FITの旅行者が多く、東京ではショッピングやグルメがメインになります。しかし、日本らしい思い出に残ることを一つぐらいしたいと望まれます。そこに人力車があったのです。

京都は、町全体がエキゾチックですから、歩くだけも日本らしさを体感されていたのではないかと。もっとも、最近は人力車の知名度もあがり京都をはじめ、各エリアでも外国人利用が伸びていますが。

もちろん受け入れ体制も整えました。
社内で外国人対応の講習会を開き、語学についても学び、またそのことがスタッフにとってインセンティブとして感じて貰えるようになしました。また、どういった点に不満を感じ、どういった点を喜んでもらったかなどのスタッフ間の共有を率先しました。

学生スタッフも多く活躍しておりますが、彼らのほとんどが超一流大学の学生ばかり。やはり、外国人とのコミュニケーションを実際に体験したいのでしょう。自分とお客さんだけの1対1になり、いかに喜んで頂くか学ぶ機会になります。将来を見据えた良い経験になるでしょう。

3:最近の外国人の対応で新しい試みは何でしょうか?

2013年から、浅草だけではなくすべての拠点で、インバウンドについて取り組むようになりました。

ハッピの背中には、地域ごとにデザインが異なり、地元の名称が描かれています。我々は、観光大使だという心意気で取り組んでいます。ちょうど観光地の入り口あたりに人力車乗り場があり、玄関口に立っているという自負からです。最初に挨拶してウエルカム感を出したいのです。

世界の休日カレンダーを把握して、各国ごとのピークを把握するようになりました。例えば、春節やソンクランなど時期によって外国人旅行者の顔ぶれが変りますから。

WEBサイトも多言語対応になっていて、英語、中国語(繁体字)、韓国語です。
トリップアドバイザーに登録したので、レビューも増えました。参考になっていると思いますよ。

2011年に営業企画課が発足してランドオペレーターなど、エージェント向けの営業を開始しました。
2013年にはJCA(日本コンシェルジュ協会)にプレゼンする機会をいただき、人力車の価値を理解してもらいました。そしてアマンリゾート東京からお声がけがあり、人力車を常駐することになったのです。日本橋界隈、銀座、丸の内、皇居など希望に応じてまわっていくのです。
2015年からAISO(アジアインバウンド観光振興会)に賛助会員として参加することで、一気にランドオペレーターとの関係が広がりました。それまで営業先探しに苦労していました。

4:今後の展望について教えてください

地域との連携を強化していきたいと考えています。

冒頭で申し上げたように観光地があってこその我々の商売。そこに貢献できることは、もっとお客さんの笑顔を増やしリピーターをつくることであると思うのです。
我々だけでやるよりも、どこかと一緒に連携させて頂く事で感動が何倍にもなる可能性があります。
例えば着物のレンタル会社との連携が始まっています。着物での人力車は、よりエキゾチックな体験をもたらします。
他にお寿司屋さんとの連携。また鎌倉では江の電とのコラボを進めています。

人力車+アルファを考えていきたい。ぜひ、興味ある企業さんはお声掛けください。

 

取材後記:
担当の小倉さんは、現場のたたき上げという迫力があった。黒々と日焼けした顔の笑顔が素敵だった。ところで、インドのリキシャのルーツは人力車だそうだ。なるほど日本のキラーコンテンツだ。

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