インタビュー

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2015.06.01

成田国際空港株式会社  経営計画部 阿部 克 氏

訪日外国人が、日本らしさを感じる空港に!

成田空港にとって、この春は、大きく変貌を遂げた時期だった。第3ターミナルの開設、第1や第2ターミナル施設の一部もリニューアルし外国人が楽しんでもらえる施設になった。さらに4月の国際線航空利用者数は、はじめて外国人利用者が日本人利用者を上回るなど、これまでの延長では済まないからだ。また世界的に進む航空機材の中小型化へのシフトは、成田空港のビジネスモデルを大きく変えている。

目次:
第3ターミナルについて
成田空港のおける出入国の状況
最近の成田空港のリニューアル
今後の展望

新しくできた第3ターミナルについて教えてください

成田空港第3ターミナルは、4月8日にオープンしました。ここ最近台頭しているLCC(格安航空会社)の受け皿として活用いただいています。

場所は、第2ターミナルから500メートル北側に位置し、既存の貨物施設の一部を撤去してその跡地にできました。
基本的に第2ターミナルからの徒歩移動を前提としており、分かりやすい動線となっています。アクセス通路は、陸上トラックをイメージし第3ターミナル方面(出発)を青、第2ターミナル方面(到着)を茶とするクッション性のある床面で、第2ターミナル1階カーブサイドから第3ターミナルまでを結びます。時折、陸上選手のように走っている方もお見かけしますね(笑)。もちろん、シャトルバスもございます。

コストをかけないことを目標に必要最小限のつくりにしました。その分、航空会社の負担は安く抑えていると思います。

例えば、壁の装飾や天井の仕上げは基本行わずにシンプルに。搭乗ゲートと機内を結ぶボーディングブリッジは使わず、一旦外に出て機内に乗り込みます。

ターミナル内には、最低限の施設のみとしいわゆるラウンジ、宅配やレンタカーのカウンターは省き、第2ビルをご利用いただく形となります。

一方、座席数約500席のフードコートや、免税店など、バラエティ豊かな店舗ラインナップで、お待ちになる時間を楽しめるようにしました。さらに、ムスリム対応の礼拝所を整備し、今後増加が予想される需要に対して配慮しております。

このターミナルには、現在、ジェットスター・ジャパン、バニラエア、春秋航空日本の成田を拠点とする本邦LCC会社に加え、ジェットスター航空とチェジュ航空の外国航空会社が利用いただいています。

 

ここ最近の成田空港のおける出入国の状況を教えてください

2015年4月の国際線旅客数は前年比7.1%増の250万人です。

注目すべき点は、日本人利用と外国人利用の比率です。日本人旅客数は6.0%減の87万人とやや落ち込んでいる一方で外国人旅客数は26.5%増の125万人と好調であり、開港以来はじめて日本人旅客数を外国人旅客数が上回りました。

やはり、お花見シーズンと円安効果が大きく働いていますね。

日本人利用が伸び悩むなか、ここ最近の傾向としては、観光立国としてのインバウンドのお客様が非常に多いです。

またエアラインの乗り入れも増えています。

4月時点で35か国3地域の100都市と路線が結ばれています。エチオピアのアディスアベバや天津、トロントなど成田と結ばれる都市が新たに増えています。さらに国内には17都市に就航しており、まさに豊富なネットワークが成田空港の強みです

この流れは、「オープンスカイ」が、大きく押し上げる要因になっています。

オープンスカイとは2国間での政府間協議を経ずに、航空会社の意思で自由に路線の設定・撤退を行える制度であり現在、成田空港におけるオープンスカイの適用は23カ国・3地域にのぼります。

さらに成田空港の路線の特徴としては、北米路線が多いことです。

路線全体の16%のシェアがあり、韓国の仁川は7%、香港は5%、上海(浦東)は3%となっていて、いかに多いかがわかります。成田空港が多い理由は地の利が挙げられますね。アジアでは、アメリカに一番近い場所ですから。

かつて成田空港は、ジャンボジェットに代表される大型機が圧倒的に就航していましたが、現在は中・小型機が増える傾向にあり、特に最新鋭のボーイング787型機は、軽量化して燃費効率もあがって各社で導入が進んでいます。もちろん、大型機であるオール2階建てのA380型機も就航しています。

空港の大きな収入源はいわゆる着陸料ですが、これは1トンあたりで価格設定となっています。ですので中・小型機の増加により収益構造が変化しています。あわせて、インバウンド増加によるショッピングの売り上げなどが好転しており、企業としての成田空港は経営的にも安定していると言ってもいいかと思います。

ここ最近の成田空港の設備がリニューアルしていますが?

訪日外客数の増加もあり、外国人に日本文化を知ってもらうことをテーマに、施設をリニューアルしています。

4月には、第2ターミナルの連絡通路に「NARITA SKY LOUNGE 和」を新規にオープンしました。かつて本館とサテライトを連結する黄色のシャトルシステムがあったところを改修して寛ぎの空間として整備したものです。

オープンにあわせ、初の試みとしてとなる人力車の搭乗体験イベントや4月には春のイメージにピッタリの「舞妓さん」が搭乗エリアを散歩。さらに、外国人にも人気の盆栽を展示したり、着付体験や書道や折り紙の体験などの日本伝統文化のワークショップ、和装でのコンサートも開催するなど、和の文化に触れることのできるスペースです。

さらに、日本が世界に誇る温水洗浄便座を体験できる最新鋭のトイレ空間も話題になってます。

一方、第1ターミナルには、「Kabuki Gate」が3月にオープンしました。出国手続き後のエリアに歌舞伎をテーマにしたギャラリーとショップがあります。

歌舞伎の舞台で実際に使われる衣裳やかつらを展示し、ショップに並ぶのはさまざまな歌舞伎関連グッズです。菓子やハンカチといった小物から、Tシャツやバッグなどファッションアイテム、歌舞伎役者の日本人形まで揃います。

カブキゲート限定アプリで、自分の顔に隈取(くまどり)ができるフォトブースもあります。

 

今後の展望を教えてください

国際競争力強化のため、成田空港の豊富なネットワークをさらに充実させること、そしてこのネットワークを活かした乗継需要に的確に応えていくことが重要です。そのためのネットワーク強化に向けた路線誘致はこれからも続けていきます。

加えて、北米路線は殆どが夕方出発のため、乗り継ぎで半日ほど成田空港に滞在する方もいますので、そういった方々にもっと日本文化を体験し、魅力を知ってもらいたい。近い将来には、日本に行きたいという需要喚起につながるものと期待しています。

そのための施策として、「Narita Transit Program」をスタートさせました。

当社に加え、国や自治体、航空会社などで構成する「トランジット旅客の訪日観光促進協議会」が企画し、5つのコースを提供しています。

➀成田市:成田山新勝寺と成田山表参道で日本文化体験

②芝山町:航空科学の歴史発見と航空機操縦体験

③多古町:日本人のふるさとの原風景“里山体験”

【ボランティア同行型(全行程において、ボランティアガイドが同行)】

④イオンモール成田:イオンモール成田でショッピング&わくわくの「WA」体験

⑤酒々井プレミアム・アウトレット:ショッピングバスツアー

【セルフツアー型(ボランティアガイドは同行しないが、参加特典などを付与)】

参加費は無料ですが、交通費は参加者の負担となります。

今のところ、スタート間もないこともあり、まだ規模は少ないですが、参加者からは、短い時間で日本文化を体験できたと非常に好評です。

町の見どころや「おもてなし」などを地域の方々にも考えてもらいながら、多くの外国人のお客様に参加いただけるようなPRができればと思います。

また、このプログラムもそうですが、地域の接点が増えてきました。やはり、地域の方々に遊びに立ち寄る場所にしたいですね。2015年の3月から空港入場時の検問がなくなり気軽に入れるようになりました。

地域に愛され、外国人利用者には日本を感じてもらえる施設にして行きたいと思います。

 

取材後記:
時代の流れをみて、的確な開発を進めているという印象だった。国際空港はその国の顔であり、訪日観光客が飛躍的に伸びているからこそ見合った変化をしてきたのだろう。

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