インタビュー

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2015.04.01

株式会社資生堂 日本事業本部プレステージブランド事業本部 プレステージブランドスタッフ室 参事 武井紀幸氏、金塚京子氏

外国人にも自信を持っておすすめしたい!

昨年2014年の10月の免税枠拡大によって、化粧品販売が大幅に伸びたという。業界のリーディングカンパニーである資生堂に、インバウンドの現状や考えをうかがった。

目次:
資生堂におけるインバウンドの経緯
外国人に人気の化粧品
免税枠拡大を受けて
今後の業界を含めた展望

資生堂におけるインバウンドの経緯を教えてください

2009年当時、銀座を中心に外国人観光客が増加傾向となっており、弊社でもインバウンド対応が必要という声があがりました。

 

弊社は、幸いにも中国には、30年以上前の1981年に販売を開始していたので、認知度が高かったのです。
そこでまずデパート部門で対策をスタートしました。

それは、デパートカウンターに誘因するための「動員策」と店頭に来られた外国人に対して、満足してお買いもの頂くよう「販促策」の立案です。

具体的には、代理店と協力して、現地の旅行会社に日本ツアーを申し込んだ方へのサービスとして、化粧品とデパートの紹介を明記したリーフレットを配布していただきました。

また、上海旅行博などで日本百貨店協会のブースにご一緒させてもらい、化粧品のサンプリングや日本に行くとノベルティを受け取れるクーポンなども同封し、訪日時のデパートへの誘因を積極的に図ってまいりました。

販促策では、ノベルティを企画しました。その中でもサンリオさんとコラボ企画したハローキティミラーは、大変喜んでいただきました。

また、中国のお客さまは、ギフト用として商品を購入する方が多いことから、当社のロゴ入りの「赤いセット函」を作成しました。この函は、真っ赤なパッケージに白い文字で「SHISEIDO  GINZA  TOKYO」と印刷されています。まさに資生堂の発祥の地、日本でしか扱っていない函にプレミアム感を持っていただいており大変好評です。

またこの函は、その場ですぐに組み立てられ、お客さまをお待たせしない配慮もしています。

さらに、最高級ブランド「クレ・ド・ポー ボーテ」も同様に専用の函をつくり、喜んでいただいております。 ラグジュアリーブランドとしてアジアでの認知度が高く、非常に良い化粧品として浸透しており、高価ではありますが、品質を気に入っていただき、購入される方が増加しております。

このブランドは、訪日外国人の売上シェアが、5年前は約30%ほどでしたが、ここ最近は約70%のシェアにまで伸びています。

5年前、銀座では、中国の団体旅行客がほとんどでしたが、ここ最近の傾向としますと、個人旅行(FIT)の増加と台湾、香港、タイをはじめとする東南アジアからの旅行客が伸びています。

また、より詳しい情報を求める方が増加していることから、デパートに中国語対応のカウンセリングブックを用意し、指差し会話集として活用しておりましたが、現在は、
中国語(繁体字・簡体字)、英語、タイ語の4言語に対応したiPadを導入しています。
使い方は、お客さまにタブレットを見せながら操作致します。
まずは、購入目的として「自分用」か「プレゼント用」かをボタンで選択。
次に「ファンデーション」や「クリーム」などどんな化粧品かを選択し、 最終的に、おすすめの商品が表示されます。

このアプリが大変役立っており、昨年の10月、免税枠拡大のタイミングで、拠点10数店でスタートしましたが、2015年2月、春節の時期に合わせ、全店に導入し、約2000名のBC(ビューティー・コンサルタント)が使用しています。

当社は、全国230店のデパートにカウンターを設置しています。インバウンド売上の約8割が東京と大阪に集中しており、東京は銀座・新宿、大阪は心斎橋・なんばエリアです。しかし最近は、渋谷や札幌、福岡などを中心に全国に拡大かつ拡散しております。

また最今は、国慶節か春節のみならず、1年を通じて賑わいを見せていることから2015年からは、インバウンド対策を通年での対応に切り替えています。

外国人に人気の化粧品は何でしょうか?

化粧品を大別しますと、スキンケア、メーキャップの2つですが、特にスキンケア売上のウェートが高いです。

現在は、昨年秋発売の「資生堂 アルティミューン パワライジング コンセント レート」(美容液) が大変好評です。

メーキャップでは、特にファンデーションが人気で、クレ・ド・ポー ボーテの「タンフリュイドエクラ <ファンデーション> リキッドタイプ」や「ヴォワールコレクチュール <プレメーキャップ> 」が人気です。

免税枠拡大を受けて、どのように変化しましたか

当初はそこそこの売上伸長を予想しておりましたが、免税枠拡大から一挙に約5倍~7倍の伸びを見せており、我々自身大変驚いております。

今後は、資生堂として「面」を更に増やし、外国人観光客がお求めやすい環境を整えていきたいと思います。その一環として、インバウンド専用カウンターを大丸心斎橋店北館に設置しました。このデパートは、大阪で、外国人売上が一番高い店舗です。

 

今後の業界を含めた展望を教えてください

2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催にむけて、更に拡大が期待できるインバウンド市場における我々の果たすミッションはとても大きいと思っています。

2016年以降、市中免税店の出店など、国内のインバウンド環境も大きな変化が予想され、我々のデパート部門だけでなく、今後はオール資生堂として対策が必要になってきます。

ただ、言えることは、世界中の観光客が日本のデパートのカウンターで接客を受けていただければ、資生堂の「おもてなし」の心を感じて頂くことが出来ます。その結果、資生堂商品を国に帰っても使い続けていただき、世界中に「資生堂ファン」が増え続けることを、この取組みを通じて実現したいです。

 

取材後記:
日本のキラーコンテンツともいえる化粧品。すでに海外展開していることで、ブランディングが確立されている。だからこそ本場の日本で購入することに意味があるのだろう。インバウンドとクールジャパンの両輪としての好例である。

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