インタビュー

2015.01.14

The Okura Group 営業統括部 国際営業部 営業副支配人 小川雅行氏

世界の賓客をお迎えしてきた日本ならではのおもてなしを世界に広める

2014年は訪日外客数が、1300万人を超えるなど、一昨年より約500万人も伸びた。オークラグループのフラッグシップホテルであるホテルオークラ東京は、1964年開催の東京オリンピックを見据えて開業したインバウンドの老舗といえる。その後も世界のVIPを迎え、インバウンドのノウハウを培ってきた。最近は、インバウンドに注目が高まっているが、オークラグループにはホテルオークラ東京の開業以来の変わらない理念がある。

目次:
これまでのオークラグループのインバウンド事業の取組み
現在のインバウンドの受入体制について、およびグループ全体の動きについて
ホテルオークラ東京本館の建て替え工事の経緯と詳細
インバウンド全体への提言や要望など

これまでのオークラグループのインバウンド事業の取組みをお聞かせください

まさに、前回の東京オリンピックの開催を前にしたタイミング、ホテルオークラ東京は、1962年に開業。海外の模倣ではなく、世界に通じる日本独自のホスピタリティとサービスを提供することを目的に、海外の賓客を迎えて参りました。
レーガン大統領やクリントン大統領、英国のダイアナ妃など、時代を代表する世界のVIPがいらっしゃいました。
1964年のIMF総会の会場としてご利用いただいた後、1975年のIUMI(国際海上保険連合)総会や1977年のIMC(国際通貨会議)など国際会議の開催会場として、実績を重ねてまいりました。

ホテルオークラ東京は開業時より、国際的な一流ホテルを目指し、私共が何よりも大切にしておりますのは、お客様お一人おひとりへの「親切と和」の精神に根ざしたおもてなしの心です。その実現のために「Best A.C.S.」の理念があります。
「A.C.S」とは、Accommodation(宿泊施設)、Cuisine(料理)、Service(サービス)であり、最高の施設、最高の料理、最高のサービスを提供するよう、心掛けております。

グループのメンバーホテルでは、その理念に基づき、日本のお客様のみならず、海外からのお客様にも、日本ならではのおもてなしの心に根ざした接客をしております。

今までは、グループのホテルがそれぞれ海外マーケットに対するインバウンド営業をすることが多かったのですが、2010年にJALホテルズがグループに加わり、チェーン営業の機能も統合されましたので、それ以後は、スケールメリットを活かしたインバウンドセールスの取組みを行なうようになりました。

 

現在のインバウンドの受入体制について、およびグループ全体の動きについて教えてください

グループにおけるインバウンド営業として、海外でのワークショップやイベントを実施しております。昨年は、バンコク、台北、クアラルンプール、ジャカルタで、ワークショップやイベントを行い、現地の旅行会社にグループホテルを認知してもらうことと、および各ホテルの営業担当者との関係強化を深めております。 本年は4カ国に加え、中国での開催も予定しております。また、それだけでは、訪日のお客様の取り込みはできないので、日本で海外団体客の旅程の段取りや手配をしているランドオペレーターの方々を集めた商談会を2年に1度の隔年で開催しています。全国のインバウンド担当者が直接、旅行会社へセールスできる機会です。今年は9月に東京ワークショップを開催の予定です。

一方、外国人のお申し込みは、エクスペディア、アゴダなど、OTA(Online Travel Agent)から増えており、OTAは重要な販売チャネルとなっております。欧米からの申し込みを中心に近年韓国やシンガポールからのお客様も増えております。また、現在はインドネシアに力を入れ始めていて、フィリピンは今後の推移も期待しております。

我々のグループ全体で、外国人に人気のホテルは,首都圏、関西、北海道です。全体の7割が5大都市に集中している状況です。札幌にはホテルオークラ札幌、JRタワーホテル日航札幌の2つのホテルがあり、いずれも好調です。

受け入れ体制におきまして、英語での館内の案内表示やレストランメニューは当り前のこととして、空港ホテルなどは多言語対応しているところもあります。また、昨今はWIFI等の環境も非常に大切で、ほぼすべてのグループホテルでそのような対応をしています。また、イスラム圏からのお客様の増加に伴い、例えば、ホテル日航関西空港では、ムスリム対応として、全客室にメッカの方向を示すキブラを天井に設置し、お祈りをできる環境を整えるなど、各ホテルが、需要に合わせた対応を取っています。

インバウンド向けの特別サービスとして、ホテルごとに特別プランを作っているところもあります。宿泊だけではなくレストランへの誘致策として、ホテルJALシティ田町 東京では、レストランの特別料金を設定しております。
つくばでは、成田空港からのバス代片道を、行政が負担する補助事業があり、それを旅行会社に案内し、ホテルのプランとして商品化につながりました。新潟も同様の補助事業があり、旅行会社に現在、商品化の提案をしております。

ホテルオークラ東京本館の建て替え工事の経緯と詳細を教えてください

ホテルオークラ東京は1964年の東京オリンピックを見据えて開業しました。そしてこの度2020年の東京オリンピックの開催が決定し、再び世界のお客様におもてなししたいとの思いのもと、本館の建替えに至りました。新本館は2019年春にオープンします。

今年の8月に本館の営業を休止し、その後は2019年春までの期間、1973年に開業した別館のみでの営業いたします。

新本館は地下2階地上42階建て高層棟(高さ195メートル)と地下2階地上17階建ての低層棟(高さ85メートル)の2棟になり、客室数としては約 550 室を配置します。
高層棟は約400室の客室やレストランなどのホテル機施設のほか、オフィス施設が入ります。低層棟は約150室のホテル客室です。両棟は地下でつなげ、宴会場などを併設します。「日本の伝統美」を継承しつつ、設備面においては最新の機能を装備していきます。今後の訪日外国人客を中心に宿泊需要の伸びが期待できると考えております。

 

インバウンド全体への提言や要望などありましたら教えてください

昨年2014年の訪日外客数が、私共としましても、非常に喜ばしい限りです。私たちのグループが少しでも貢献できていればと思っております。しかし、その急激な増加も首都圏に集中する傾向があり、まだ、地方はその恩恵を十分に享受できていないというのが実感です。地方にもこのインバウンドの波が遍くいきわたるには、やはり、地方へのダイレクト便を増やして欲しいと思っています。

また、現在の訪日客の増加は、アジアからの団体のお客様の増加が牽引しておりますが、これを地方に波及させるためには、このグループのお客様に加え、個人のお客様が、2回、3回と複数回来日して、地方にも足を伸ばしていただくことも必要かと思っています。その為には、やはり、ビザの緩和であったり、来日しやすい環境の整備が重要かと思っております。

今後、オークラグループは、日本発の国際ラグジュアリーチェーンを目指し、海外展開を更に進めてまいります。昔から「食のオークラ」と言われている様に、海外でも直営レストランを展開してまいりました。和食レストラン「山里」は、アムステルダムをはじめ、バンコク、台北と運営しております。昨今、和食が世界遺産に登録され、さらに注目が集まる中、海外でも本場の味をお楽しみいただける様、ホテルオークラ東京で経験を積んだ料理人を派遣し、それぞれの国と日本の食文化の架け橋となっております。日本の味が縁となり、結果として、訪日意欲が高まることも期待しております。

 

<取材後記>
世界のラグジュアリーホテルとしては、インバウンドは当り前ということなのだろう。「Best A.C.S.」が指針として各人持っている。重要なポイントは日本人向けも外国人向けも変わらないのだろう。
インタビューでは、日本らしさの追求というキーワードを何度か耳にした。そのあたりにインバウンドのヒントがあるかもしれない。

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