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【セミナーレポート】第57回やまとごころ勉強会x INBOUND LABO by UDS

2017.08.07

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2017年7月に、第57回やまとごころ勉強会 x INBOUND LABO by UDS「外国人インバウンド人材を定着・活躍させる秘訣」を開催しました。

今回はゲストにNIPPONおもてなし専門学校の高山浩貴氏、NIPPONおもてなし専門学校卒業生で、創業140年の老舗旅館に就職を果たしたネパール人のライムスカン氏。さらに株式会社やまとごころ コンサルタント 木島英治を迎え、問題山積といわれるインバウンド人材育成・雇用のポイントや成功事例、マインドセットなどについて先駆者ならではの驚きの経験談と情報満載の講演、さらに参加者を交えて活発なディスカッションが行われました。

そんな今回の勉強会は、インバウンド人材育成・雇用のプロフェッショナル、そして現場の生の声に触れる貴重な機会となりました。

 

インバウンド人材が、群馬に集う、群馬で育つ

ゲストスピーカー・NIPPONおもてなし専門学校の高山浩貴氏いわく、「唯一目立つ大きな建物が群馬県庁だ」という群馬、前橋市。

しかし、その前橋市にあるNIPPONおもてなし専門学校キャンパスに、2017年次でなんと世界11か国から、1学年300名以上もの若者が集い、日本のおもてなしを学ぶという環境が出来上がっています。

なぜ前橋市にこれだけの外国人が殺到しているのか。また、インバウンド人材の教育、そして雇用の実際はどうなっているのか。

現在も連日教壇に立ち、未来のインバウンド人材教育の最前線で活躍している高山氏からその実績や秘訣が語られました。

 

なぜ、海外事業所で日本での留学経験を持つ人材が重宝されるようになったのか?

今、日本企業の海外事業所でも、国内事業所と同様に深刻な人手不足に悩んでいるという現状があります。

そんな中、過去優先的に雇用されてきた海外有名大学卒の人材を積極的には雇用しなくなる企業が増加。その理由は、離職率の高さから、数年の派遣のはずだった日本人指導者がいつまでも帰国できないという悲劇が多数発生し、その対策に本気で取り組まざるを得なくなっているからだそうです。

海外の超有名大学を卒業してきた人材よりも、日本で数年間留学体験を積み、アルバイトを経験した若者のほうが良いインバウンド人材として育ってくれる。それは、日本ならではの外国人からすれば理不尽とも思えるいろいろな出来事を、あらかじめ実体験として積んできてくれているからです

高山氏自身の経験から得た、インバウンド人材の高い離職率の実態に関する、具体例をいくつも挙げた濃いトークが展開されました。

 

勝利の秘訣は日本を深く紹介し、そして他国への関心を持つこと

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こうした現状を踏まえた上で、インバウンド人材育成の結果を出すためにどのような具体的取り組みが行われているかが惜しみなく、隅々まで語られました。

NIPPONおもてなし専門学校では、生徒が卒業までに「日本人の若者よりも少し日本に詳しくなること」を目標として教育を行っているそうです。

座学での学習、提携する群馬ロイヤルホテル(天皇陛下御宿泊)での実技講習はもちろん。なんと座禅実習や、書道、握り寿司講習まで取り入れ、身体全体で日本を知ってもらおうとする授業内容が豊富な動画や画像とともに語られると、参加者からは何度も感嘆の声が上がりました。

「有名大学卒の人材よりも、わが校出身のインバウンド人材が重宝されるのには理由があります」
高山氏は言います。

なぜなら彼らは日本の文化を知るきっかけを持つことで、日本人の精神やマナーに積極的に興味を持ち、それを身に着ける努力をするからなのです。皆さんもインバウンド人材育成の意識をもって彼らと共に居酒屋へ出かけたり、地域のお祭りを一緒に体験したりする機会を是非持って頂きたいです」
参加者からは大いに納得の声が上がりました。

そして皆さんの側も、ほんのA4一枚分の資料でいいんです。雇用したインバウンド人材の故郷に関する文化などの情報を、全員が共有できる形にして配布してあげてください。相互関心、相互理解。私はこれがカギだと考えています

生徒の不安や不満に対し、自身自らが窓口となってとことん話を聞いてあげる日々だという高山氏のトークに、参加者からは感嘆と拍手が沸く講演となりました。

 

村山と木島、そしてライムスカン氏を交えた後半のトークセッションでは「現場・現状」の話題へ

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インバウンド人材について更に理解を深めるべくトークセッションが行われました。

村山「外国人におもてなしの概念を理解してもらうのは、実際大変な苦労でしょうね」

日本語学校を卒業して、少し日本語を話せるようになったが、就職までにもう少し学生を経験しておきたい、という気持ちから専門学校に入学する生徒が多いという高山氏。

高山氏「そんな生徒の意識を変化させるには、やはり文章や話だけではなく、画像や動画、音楽などの力を借りることが非常に効果があると感じています。私などは、生徒にいつもYouTubeばかり見せているので、あぁ、あのYouTube先生ね、なんて呼ばれることもありますよ」

木島「やはり文化への理解が重要なんですね」

高山氏「そうですね、外国人はどこの国の人も、日本人よりも“楽しむこと”に関心が高い性格の人が多いのです。そういう部分をぜひ理解してあげて、日本のお祭りに一緒に出掛けるとか、そういう努力が成果を上げるのではないかと思います」

ライムスカン氏からは、創業140年の老舗旅館への就職についての経験談も。

ライムスカン氏「外国人の中には、真面目ではない人もいる、でも、真面目に日本で働きたいと一生懸命な人材もたくさんいることを是非理解して頂きたいです

故郷ネパールの温泉を盛り立てていきたい、というライムスカン氏の将来の夢が語られた際には、参加者全員から温かな応援の拍手が沸く一幕もありました。

参加者からは「就労ビザ取得は難しいと思うが、卒業生はどうやってビザを取得しているのか?」や、「どの国出身のインバウンド人材が、最も日本になじみやすいか?」などの、エキスパートである氏に是非訊いておきたいという質問が多数飛び交いました。

このように盛会のうちに幕を閉じた、第57回やまとごころ勉強会となりました。 ゲストスピーカーの皆さま、貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。

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【ゲストスピーカー】

学校法人NIPPON ACADEMY NIPPONおもてなし専門学校 高山浩貴 氏

群馬県吾妻郡中之条町生まれ。専門学校在学中からツアーコンダクターになり国内47都道府県、海外30ヶ国を添乗。その後、創業350年「四万温泉やまぐち館」のフロント、外国人技能研修生のコンサルティング会社を経て学校法人NIPPON ACADEMY入社。NIPPONおもてなし専門学校設立から学生募集を担当。現在、同校チームリーダー、学生募集責任者、「おもてなし検定」講師。その他、国際学生援護会 事務次長を兼務。

 

【開催概要】

2017年7月27日(木)18:30〜21:30
第57回やまとごころ勉強会 x INBOUND LABO by UDS
「外国人インバウンド人材を定着・活躍させる秘訣」

 


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