インバウンド特集レポート

第38回 2017.02.14

過去最高400万人超えの台湾客はいま日本で何を楽しみたいのか?(中編)

 

昨年の訪日台湾人数は416万7400人。リピーターが多く、全国各地に足を延ばす台湾客は1980年代から日本を訪れている。彼らはどのような人たちで、日本がなぜ好きなのか。前編では、台湾から多くの人たちが日本を訪れる理由について、中国のオムニバス映画『Cities in Love(恋愛する都市)』(2015)の一編として収録されている作品『Honeymoon(蜜月)』からわかる、日本でやってみたくてたまらない体験のラインナップについて紹介した。

中編では、台湾の旅行会社が催行している田舎の体験ツアーについてレポートする。

 

台湾版「田舎に泊まろう」ウルルンツアー

長崎県の島原半島の南端にある南島原市では、2013年から台湾の団体客を農家民泊させるツアーを受け入れている。ツアー名は「來去郷下住一晩(田舎に泊まろう)」。催行しているのは、台北にある名生旅行社だ。

 

「來去郷下住一晩(田舎に泊まろう)」

「來去郷下住一晩(田舎に泊まろう)」

名生旅行社:http://www.msttour.com.tw/web/major.asp

 

このツアーで、台湾客たちは民泊先の畑で地元の農産物の収穫をした後、ホスト家族と一緒に料理をし、夕食を味わう。その心温まる体験は、台湾メディアに報じられたことで人気を呼び、毎年多くの台湾客が訪れるようになった。

 

筆者が同行取材した台北在住の黄さん一家は民泊先のビニールハウスでナスやピーマンを収穫した

筆者が同行取材した台北在住の黄さん一家は民泊先のビニールハウスでナスやピーマンを収穫した

民泊先のキッチンで家族と一緒につくった夕食を楽しむ

民泊先のキッチンで家族と一緒につくった夕食を楽しむ

(参考)台湾版「田舎に泊まろう」ウルルンツアー密着レポート(長崎県南島原市)

http://inbound.exblog.jp/24747209/

 

南島原市が農家民泊事業を始めたのは2009年から。最初は長崎県の中学生から受け入れを始め、全国の中高生の修学旅行生へと広げていったという。いまでは年間約1万人の民泊を受け入れており、約160の民家が対応している。

 

民泊ツアーに参加する台湾客について、添乗員の林尚緯さんはこう話す。

「このツアーでは、福岡や壱岐島、湯布院、長崎などを訪ねます。福岡ではグランドハイアット、湯布院では有名な温泉旅館に泊まるように、決して安いツアーではない。お客さんの多くは、すでに東京や大阪、北海道などには行き尽くした、日本をよく知るリピーターです。日本が好きになって、もっと奥まで日本のことを知りたい。今回、南島原の民泊は2回目というリピーターのお客さんもいました。帰国後、アンケートを取ると、ほとんどの方が民泊がいちばん良かったと回答しています」。

 

台湾から来た8家族(33名)がそれぞれの受入先の農家に分かれて民泊した(2015年7月)

台湾から来た8家族(33名)がそれぞれの受入先の農家に分かれて民泊した(2015年7月)

 

帰り際に地元の公民館に台湾客が全員集まり、お別れの会をするのだが、感極まって涙を見せる人も多いという。一緒に過ごした1日の時間を思い出すと、お互い言葉がわからなくてもどかしいぶん、ぐっとこみ上げてくるものがあるようだ。まさにウルルンツアーなのである。

 

日本人と触れあいたいという思い

 

民泊ツアーの添乗員の林尚緯さんが言うように、台湾客は日本のリピーターが多い。一般に市場が成熟すると、団体から個人へと移行するといわれるが、台湾客は個人比率が高いものの、仲間でわいわい楽しみながら旅行をするのが好きな人たちである。日本の情報も、テレビはもちろん、ネットが普及する前の紙メディアが主流の時代から接していたという意味で、年季の入った日本ファンといえる。

そのため、彼らは日本人の好みや流行、考え方を比較的素直に受け取る傾向が強い。台北で現地情報誌の立ち上げに関わった編集者の鈴木夕未さんによると「台湾人の日本旅行の好みは、ほとんど日本人と一緒。よく外国人目線を大切にというけれど、彼らは日本人目線とそんなに変わらない。日本人がカワイイと思うもの、素敵と思うもの、行ってみたいと思うところもほぼ同じ。日本の女性誌に掲載されているような店を台湾人は好みます」という。

 

「日本が好きになって、もっと奥まで日本のことを知りたい」という台湾客の思いを理解するうえで参考になるのが…… (後編へつづく)

最新のインバウンド特集レポート

バックナンバー

2017年

2016年

2015年

2014年