インバウンド特集レポート


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第16回 2015.08.26

躍進するOTA(オンライン・トラベル・エージェント)と「旅館」の相性は?

~「旅館」から「RYOKAN」へ、世界のキラーコンテンツに躍り出る~

特集レポート

世界の旅行の申し込み方法は、オンラインによるシェアが高まっている。海外では半数、国内でも急速に伸びている。そこに「旅館」というアナログ的な宿泊施設が対応できるのだろうか。OTA(オンライン・トラベル・エージェント)から見える世界に向けた旅館の魅力と課題を追った。

目次:
旅館は日本文化が体験できる宝庫
OTAホテル予約の新しい潮流
ホテル専門のOTAでは世界ナンバーワンがbooking.com
旅館へは幅広いニーズが存在している
OTAからの予約を増やすコツがある
エクスペディアは旅館をカテゴリーとして打ち出す
地域と連携したOTA活用が効果的だ
OTAにはメリットとデメリットが存在する
小野氏がすすめるOTAとの賢い付き合い方はこれだ

旅館は日本文化が体験できる宝庫

旅館は外国人にとって日本文化が体験できる施設だ。
庭は純和風、なかには古い木造建築も残り、エキゾチックにうつる。女将さんは和服姿で出迎え、部屋では浴衣を着る経験もできる。裸で温泉に浸かり、晩の料理は和食三昧とくる。
現代的なライフスタイルになった日本にあって、旅館は和テーストが色濃く残る空間だ。伝統的な和文化に触れられるということで、海外のOTA(オンライン・トラベル・エージェント)は旅館に注目しているという。

 

例えば、高野山の「宿坊」(宿泊施設を備えた寺)も広い意味での旅館にカテゴライズされていて、外国人の人気ランキングで上位になる。外国人の比率でいうと、1位がフランス人、2位がアメリカ人、3位がオーストラリア・ニュージーランド人と、圧倒的に欧米人に人気となっている。 受け入れを強化すべく、52ある宿坊のうち、英語が通じる宿坊は約10カ所に増えている。

純和風の屋内には、高級な調度品が並び、絵師によって手書きで描かれている襖。螺鈿細工のテーブル。床の間には書画の掛け軸が飾られている。庭園には枯山水だ。
そして食事は小僧さんが精進料理を部屋に持ってくる。
ある宿坊では、毎朝6時から7時15分まで朝の勤行を行っていて、般若心経を一緒に唱える。護摩を焚く宿坊もあり、外国人の参加率も高い。

 

まさに宿坊に泊まることが、高野山の歴史・文化に触れると共に日本文化体験そのものになっている。ホテルでは経験できない旅の醍醐味が凝縮されているのだ。

 

高野山の宿坊への予約は、OTAと呼ばれるオンライン・トラベル・エージェント経由が多いという。

 

 

OTAホテル予約の新しい潮流

そのOTAについて説明しよう。
日本では、国内向けにあるホテル予約サイト「じゃらん」や「楽天トラベル」といえばピーンと来るだろう。
インバウンドで頭角を出してきているのが、エクスペディア (Expedia)、ホテルズ・ドットコム (Hotels.com)、ブッキング・ドットコム(Booking.com)、アゴダ (Agoda)等だ。ちなみに、エクスペディアとホテルズ・ドットコムは兄弟会社で、同じエクスペディアグループだ。Booking.comとアゴダも同じプライスライン (Priceline)グループなので、実質的には、エクスペディア連合とプライスライン連合の戦いという図式に世界のOTA業界が動いている。

 

ところでOTAとは、店舗を持って営業活動を行っている従来型の旅行会社に対し、インターネット上だけで取引を行う旅行会社のことだ。特徴は、24時間いつでも膨大な数の商品を閲覧・検索でき、店舗へ出向く必要がない。
この利便性が消費者の支持を得て、ここ10数年で急速に伸びている業種だ。
投資額が少ないことから事業者の数も増え、また、旅行業以外からの参入も多く見られる。
エクスペディアはMicrosoftの旅行部門からスタートした経緯を持つ。

 

6月に東京で開催された「WIT JAPAN & NORTH ASIA 2015」(※1)で発表されたデータによると、オンラインとリアル店舗での販売比率は、米国が43%、欧州が42%と半数に迫る勢いだ。一方で、日本においては、2010年の27%から毎年2~3%数値を伸ばし、2014年は38%となっている。今年2015年は確実にそれを超える勢いだ。

 

※1:旅行業界のオンライン分野に特化した国際会議

 

日本における2013年度のオンライン旅行市場規模は、2兆9千億円と2011年度と比較すると23%増加。
市場拡大の主な要因として、
既存の旅行会社がオンライン販売強化をしていること、ダイナミック・パッケージ販売の増加、エクスペディアやアゴダ、Booking.comなどを中心とする海外OTAサイトの影響があげられている。

宿泊施設側のオンライン販売比率は32%で、オンライン旅行市場全体における販売額シェアは41%とトップである。
しかし、宿泊施設の業態によってオンライン比率は大きく異なり、ビジネスホテルが60%、リゾートホテル、シティーホテルなどは3割以下、そして旅館は18%となっている。つまり旅館については、取引が進んでいないというのが現状だ。今後を見据えたテコ入れにOTAは動いている。

ホテル専門のOTAでは世界ナンバーワンがbooking.com

7月7日、都内の高級ホテルで、Booking.com Japan は、2014 年度中に格別のパフォーマンスを上げられた宿泊施設を招待し、『Booking.com 感謝の夕べ』を開催した。
今回は、関東甲信越+静岡地区でのイベントで、営業所ごとに、札幌、大阪、京都、福岡と各地でも開催。

 

 

Booking.comとしては、今年は取扱いを加速させるため、このようなイベントを開催して、宿泊施設との関係強化を図りたいと担当者。

 

各部門の表彰があり、ホテル部門、リゾート部門、ゲストハウスその他部門、チェーン部門、そして旅館部門と分かれている。
旅館部門では、「河口湖温泉寺 露天風呂の宿 夢殿」、「ホテル仙景」の2施設が表彰された。旅館というものを明確に一つのジャンルとして位置づけているのだ。

このBooking.comは、ホテルだけに特化したOTAで、この部門では世界シェア率1位で2位以下を大きく引き離している。
1996年にオランダで設立されたオンライン宿泊予約サイトだ。

 

現在では、42か国語に対応しており、215 の国と地域の70万軒以上におよぶ宿泊施設を予約することができる。
60か国に展開する170以上のオフィスには、9,300 人の社員が働いている(2015 年 7 月現在)。日本市場においては、 2009年に日本オフィスを開設し、現在では5つの事業所(表参道、渋谷、大阪、福岡、札幌)において、約200名の従業員が在籍する。
利用者の旅行スタイルやニーズに合った宿泊施設を、最安値保証かつ予約手数料無料で提供している。
日本オフィスを立ち上げて以来、初の広告キャンペーンを始動するなど、2015年の後半から取り組みを加速させている。来年には、スタッフの大幅増員も視野に入れ、アクセルを踏み込む勢いだ。

 

日本地区統括リージョナル・マネージャーの勝瀬博則氏に、旅館についての可能性をうかがった。

 

「前提として、Booking.comが目指しているのは宿泊予約について、ウィキペディア的なあらゆる情報が載っているサイト。欲しい情報、予約を入れるなど、検索したいときに見つかるのがbooking.comでありたいのです。当然、旅館についても幅広く扱いたいジャンルです。」

 

 

旅館へは幅広いニーズが存在している

ここ最近の旅館については、ニーズが高くなっているのだろうか?

 

「アクセス解析を集計した結果、要望があがっているのは確かです。どの旅館タイプが希望かは、実に幅が広いですね。」
小さな町屋タイプから超高級旅館などさまざまだという。

 

やはり「旅館」の認知度が海外からあがってきたのが背景にあると勝瀬氏はみている。

 

口コミで、「旅館」というキーワードが書かれていれば、知らない人は、すぐにインターネットで調べる。英語や他のいろいろな言語で紹介されているので、ユーザーはすぐに理解可能だ。
まさにインターネット時代だからこそ、急加速で認知度が高まる。

 

そういった追い風の状況で、まずは掲載してもらうのが、重要だと勝瀬氏。
ユーザーが欲している幅広いニーズに応えるべく、様々な施設を掲載したいと意気込む。
掲載は無料で、出来高制でコミッションとして一定のパーセンテージを支払う仕組みだ。
初期投資がかからず、気軽に始められる。

 

またBooking.comの強みは、電話でのオペレーションセンターの充実にある。カスタマーサービスで重要なのは、トラブル対応だ。ユーザーへの対応を迅速にできる。例えばフランス人が旅館に泊まって手違いがあれば、オペレーションセンターでフランス語対応のスタッフが、旅館との間に立って解決へと導く。

 

 

OTAからの予約を増やすコツがある

ところで、掲載をしたからといって、すぐに予約が入るわけではないと勝瀬氏。ポイントをいくつか披露してもらった。

 

「重要なのは、掲載する写真です。
言葉で文字を書いても、ユーザーになかなか読んでもらえません。データによると、1ページの滞在時間の平均が、0.5秒です。まさに一瞬です。ですから直感に訴える写真が重要なのです。
新規の場合は、まず見て知ってもらうことが先決です。その際に写真でその旅館のイメージを伝えるかにかかっています。」

 

 

「次に重要なのは、価格設定の統一です。
自社サイト、他社のOTAなどで、もし値段が違いますと、ユーザー心理としては、安いのを探します。検索の際に他に目移りして機会を損失することも珍しくありません。
例えばアップル製品ならどこで買っても同じ値段となっていて、ユーザーはどこで購入するか迷うことはありません。webで重要なのは価格の整合性なのです。
価格については、シンプルにすべきで、初めて日本に来る人にはわからないことが多いのです。つまりプランがたくさんあることは、かえって混乱するでしょう。
食事、一部屋に何人泊まれるかなど、はっきり透明性のある価格設定が大事です。」

 

「3つめは、できるだけ先の予約を受け入れることです。
欧米からは2〜3週間の旅行をする方が多く、予約するという行為は、半年から9ヶ月前にします。日本人は直前予約が多いですが。
つまり先の料金設定の掲載がないと、予約ができないのですね。
初期段階では、バンコクと東京を比較するなど、場所がまだ決まっていない場合が多くあります。せいぜい、アジアのどこか程度で。
その段階で、もし日本の予約受付がなければ、ビジネスチャンスを失ってしまうでしょう。
日本人は1年前から予約することは珍しいですが、欧米のお客さんは当たり前のことです。
海外のお客さんに合わせて値段出しをすることが重要です。」

エクスペディアは旅館をカテゴリーとして打ち出す

さて、もう一つのOTAの代表格といえば、エクスペディア(Expedia)だ。こちらは、ホテルのほか、航空券、パッケージツアー、レンタカーなど、総合力が強みといえる。マイクロソフトの旅行部門から発展したという経緯があり、ITの強みを生かしている。

 

現在は30ヵ国以上に販売拠点を持ち、利用者は北米、欧州、アジアなど全世界に広がり、さらにバックパッカーから高所得者まで幅広い層を獲得している。2005年に日本法人を設立して以来、ここ数年で日本市場の売り上げが急成長している。

 

日本の宿泊施設へのニーズは、ここ1、2年で伸びているとエクスペディアの日本・ミクロネシア地区統括本部長の明石匡史氏。
「シェア別ですと、1位が香港、2位が韓国、3位がアメリカ、4位が台湾、5位がオーストラリアの順番になっています。」

 

アコモデーションタイプに「RYOKANリョカン」というカテゴリーを2年前に設けたそうだ。やはり旅館に対して理解が深まりつつあることを感じるという。

 

ニーズは幅が広く、ラグジュアリーなタイプからリーズナブルなタイプまで、どこかに偏るということもない。

 

以前、キャンペーンページで、カプセルホテルを特集したところ、それ以降、認知度があがり、今では定番の人気施設になっている。
今度は、香港向けのキャンペーンとして旅館特集を組みたいという現地のスタッフからオファーがあった。旅館について知ってもらうには良い機会となるとキャンペーンに期待を寄せる。

 

外国人は、シンプルな設定を好み、素泊まりプランを旅館サイドに検討してもらうようすすめている。
「外国人は連泊するケースが多いです。1泊目は旅館体験の一部としての懐石料理を、2泊目は近隣の街に繰り出し外食したいというニーズがあります。」

実際、旅館には、いろいろなプランもあり、星のランクではわからない部分も多い。説明しきれない部分については、口コミを参考にしてもらっていると明石氏。

 

「口コミで、隣の宿と10万円違うのは、どういう理由なのかをユーザーは理解しています。
ある京都の旅館では、51人のコメントがあり、ほとんどがおすすめのコメントで、中には細かいコメントで説明している方も。
一方、悪いコメントは改善点の材料になり、今後につながると、旅館さんは前向きにとらえてもらっていて、改善提案をしています。」

 

 

地域と連携したOTA活用が効果的だ

OTAの取り組み方としては、地元の自治体や観光協会との連携が大切だと明石氏。
「すでに知名度の高い京都や飛騨高山でしたら、エリアから検索されますが、そうではない地域は、まずは地域名を売ることが先決でしょう。」

 

「例えば、沖縄県ではインバウンドに力を入れようとしていたタイミングに、我々とキャンペーンを仕掛けたところ、一気に地域ブランディングに成功しました。町としてウェルカムという姿勢がアピールポイントになるのです。」
以後、沖縄は人気エリアになり、今後、支店を置くことも視野にいれているようだ。

 

このように観光協会やコンベンションビューローとの連携も効果を生み、さらに同業他社との情報交換も可能になる。
単純にOTAに掲載すれば効果が出るのではなく、前段階の取り組みも忘れてはならない。

 

登録に慎重過ぎる施設について、共通の不安に思っている点があると明石氏。
1つは、言語の問題だ。
しかし、外国人旅行者は、地方の旅館で完璧な英語の対応を期待していない。
もちろん基本的な受け答えは必要だ。あとは食事のアレルギーの問題や近くの観光スポットなどの情報提供ができれば十分。まずはカタコトながら使ってみる。2年後にはかなりしゃべれるようになったという話も聞くそうだ。スタッフも使わないと語学が身に付かないのだろう。
取り組みの結果、7割が外国人旅行者という施設もあるとか。

 

もう一つの懸念されることは、部屋数が少ないことだと明石氏。
オーバーブッキングへの心配から登録が及び腰になっている。しかし、部屋の在庫管理ツールを使う施設も増え、このあたりは解消しつつある。

OTAにはメリットとデメリットが存在する

一方で、OTAの台頭について、旅館サイドにリスクが増大すると指摘する声もある。ホテル・旅館向けのインバウンドコンサルタントとして活躍されている株式会社インバウンドにっぽんの代表、小野秀一郎氏だ。
地方の旅館からは、インバウンドについての信頼が厚く、相談をうけることも多い。最近はOTAについて議題にあがることも。
普及が伸びている現状について、問題点についてうかがった。

 

「やはり、客単価の低下、稼働率の低下、平日の対策に旅館は悩んでいます。
背景には、少子高齢化、デフレの長期化、修学旅行や合宿の低迷があります。
そこで外国人向けOTAの導入は、現状の課題に対して手っ取り早く集客が見込めるのです。」

 

もちろんOTAの導入についてメリットも多いという。

 

1つは、初期費用がかからないことだ。
OTAのプラットフォームに掲載するために、旅館ホテルはルーム在庫と紹介文と写真を提供するだけ。デザインやSEO対策も自前でやる必要がない。発生ベースのコミッションの支払いのみで、費用的にリスクはない。

 

 

2つ目は認知度が高まること。
OTAの紹介により、世界中の旅行者が知る機会を得る。たとえ予約成立に至らなくても、次に行くときは、ここに泊まろうと覚えてもらえるなど、潜在需要を押し上げる。複数のOTAに登録していると認知度のほかに信頼度も増す場合も。

 

3つ目は、多言語対応が即実現。
自社サイトだと多言語に対応しようとするとページ制作や翻訳の費用がかかる。OTAは翻訳のサポートがある。30か国(OTAにより異なり、Booking.comは 40 言語)の言語圏にリーチするため、思いもしないところからの申し込みがある。例えば北米など英語圏からの集客を期待したつもりが南米から予約が入ったりする。まさにワールドワイドだ。

 

4つ目は、海外のOTAに予約ページがあると海外のGoogleの自然検索で上位表示されることも期待できる。さらに最近では地元の旅館組合や観光協会、温泉組合のwebページにリンクが貼られることもあり、販売チャンネルが増す。

 

一方、デメリットもあると指摘する。

 

1つ目は、価格競争になる危険だ。
OTAは比較検討サイトである。だから競合他社の加盟が増えると、当然、価格競争に巻き込まれるリスクがある。レビューを増やしたい旅館ホテルでは宿泊者をできるだけ多く獲得しようと価格を安いほうへ動かしがちになる。
もっとも現在は、宿泊施設の供給不足から、このリスクは目立たないが、今後、供給過剰や需要減退になると価格競争に陥るだろう。

 

 

2つ目は、コミッションを払い続ける。
初期投資がかからないメリットはあるものの、ブッキングによりコミッションを払い続けなければならない。予約件数が増えるとグロスでの支払い額が肥大化し、広告、宣伝などの販促を行った費用よりも大きくなることがある。
予約が多い大規模ホテルでは、月間あたりに数十万円になる場合も。
もし価格競争で値下げした場合、稼働率はあがっても利益率が低い。財務状況と照らし合わせて戦略を練る必要がある。

 

3つ目は、特に温泉旅館やリゾートホテルに言えるが、外国人にその良さを伝えきれない。
海外の各OTAは管理の効率化を図るため一定の様式の中で宿泊施設を掲載している。
特に旅館はホテルと違って、特徴や品格など細かいこだわりがあり、定型の文面では伝えきれない価値がある。
その対策として自社の外国語サイトの充実が必要だ。

 

4つ目は、OTAの担当スタッフの問題だ。
外国人向けにいかに対応するか海外経験のあるOTAのスタッフが相談にのり、助かったと旅館からは好意的な声がある。しかし、OTAは自社のことをよく分かってもらうまでに異動・離職のため担当者が変わってしまうことも多いという現場の意見も。

 

5つ目は、部屋を何者かに仮で押さえられてしまうリスクだ。
キャンセルを宿泊直前まで無料としているOTAで起こりがちだという。
例えばアジアの中小の旅行代理店の担当者名で、OTA経由で仮予約が入り、部屋を押さえられてしまい、繁忙期にもかかわらず直前に10ルーム以上をまとめてキャンセルされた、というケースもあった。これではビジネスチャンスを逸してしまうので、あるOTAの利用をやめたという話もある。

 

 

小野氏がすすめるOTAとの賢い付き合い方はこれだ

そこで小野氏がすすめるOTAとの付き合い方としては、ほどほどの距離感を持ち、リスクを分散化することだという。
一つのOTAからの予約に頼り過ぎるのは、危険。

 

上述のようにルームを押さえるのにただ利用されてしまうケースもあり、またサーバーがダウンしてしまうと予約が止まってしまう可能性も否定できない。いくつかのOTAに登録すれば、リスク分散をしながら異なる客層をも獲得できる。
例えばホステルワールドなどバックパッカー向けのサイトは、最近開業ラッシュが続く1泊3000円前後の相部屋ゲストハウスだけでなく、素泊まりで1名7,000円~8,000円までの小さな旅館やホテルにも向いている。基本的にレジャー専用サイトなので旅好きの客層が多く、大らかで対応しやすいとの情報もよく聞く。
また今後は自社の外国語サイトからの取り込みも、一定数は確保しておきたい。
さらに現地の旅行会社や国内市場などいくつかのリスク回避のためのパイプは持っておくべきだ。

 

海外からのOTAを利用した旅館に対するニーズは今後ますます高くなる可能性がある。先述のメリット、デメリットをふまえて上手い付き合い方を自社なりに考えて、集客に活用してもらいたいと小野氏。

 

デメリットはあるもののOTAと旅館の相性は悪くはない。良くするための方法を考えながら進めれば、心強いツールになることは間違いないようだ。今後、登録件数が増えていくことを願う。

 

Text:此松武彦

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