セミナーレポート 第36回やまとごころ勉強会&交流会レポート

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第36回やまとごころ勉強会&交流会レポート 「観光立国スイスに学ぶインバウンドビジネス戦略」 鈴木 勝氏

観光産業の高度化については、スイスの空港にある数多くのインバウンド客対応の旅行会社を見ると、日本はもっともっと改善の余地があると思います。日本の旅行社は全体の4

~5%しかインバウンドをやっていません。日本でも、訪日外国人旅行客に対して、空港でもビジネスを展開するなど従来の営業形態を変える必要があります。

スイスではダボスなどの田舎であってもアウトバウンドのビジネスが成り立っています。日本でも地方でツーウェイツーリズムが成り立つようにすべきで、インバウンドを増やすためにはアウトバウンドを増やす必要性があります。

出国率で見ると日本は14.5%で、スイスの148.6%に比べてもまだまだ少なく、同じ島国の台湾(約44%)や英国(約90%)に比べてもはるかに低いのが現状です。これを変えていくためには、日本の旅行会社がツアー商品などの差別化を目指して創意工夫する必要があるでしょう。旅行業者としてのプロフェショナリズムが求められているのです。この点でも日本はスイスに学ぶ必要があります。

 

まとめ

日本はあらゆる交通機関や美術館などを網羅した新しいジャパンパスを創設するべきです。また、隣国の韓国や中国と連携することにより、ASEANや米国などの域外からの旅行者への対応が必要です。そのためには国境を超えたパスを創設し、国家的流れを作る必要があります。

スイスの小さいホテルでは、夜9時以降はサービスしない、朝食は2軒隣のホテルで食べるように案内していました。
これは素晴らしいことです。日本では小さい旅館でも食事を出そうとするので、外国人旅行者1400万人の現状ですら観光産業関係者は休みが取れないのです。
今後2000万人~3000万人になったらどうするのでしょうか。スイスではホテル関係者でも長期休暇をとるなど、自分達はアウトバウンドで見事にうまくやっています。

スイスは秀でた分野を更に強め、劣る部分をいかに補うかを実践しています。日本は、秀でているといわれる交通などで本当に強いのか、価格はもっと安くならないのか、劣る部分がますます弱くなっているのではないか、と指摘して話を終わりにしたい。

 

(取材後記)

1400万人の外国人観光客で休暇も取れない現状に警鐘をならした。このままでは、到底2000万人や3000万人は受け入れられないのではないかとの懸念はもっともである。春節を中心とする中国人の大挙訪日や爆買いが新聞紙上を賑わしたばかりであるが、あり難いことに訪日外国人の増加は催事や季節を超えて今や年中行事になりつつある。新しいホテルが建設されるとのニュースも一部にはあるが、大型ホテルの建設だけで3000万人の外国人旅行者を吸収できるとも思えない。そこで脚光を浴びるのが、空き家の活用とエアーB&Bの促進である。何れも地方創生とも密接に絡む課題であり、特にエアーB&Bについては、国による大胆な規制緩和が求められている。

私はスコットランドに3年ほど勤務したことがあり、休日には家族を連れてスコットランド中を旅した。その時にいつも利用したのがB&Bであった。B&Bは手軽で安いばかりが取り柄ではない。オーナーの手料理を楽しみながらのコミュニケーションも魅力である。世界的に有名なエディンバラ・フェスティバル期間中は、エディンバラの住民の多くは自宅をB&Bとして我が家を提供し、自らはアウトバウンドとして外国で休暇をエンジョイしている。まさに鈴木先生が講演で指摘された、インバウンドとアウトバウンドのバランスが保たれている好例と言えよう。オリンピック・パラリンピックを迎えて、外国人を自らもてなすばかりでなく、アウトバウンドで世界に飛び出してインバウンド客をもてなすという、観光立国として正真正銘のグローバル・スタンダードに到達できるのかもしれない。

(文責 高橋周平)

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