
7月6日、日本文化体験交流塾では、第5回、鎌倉探訪を実施した。これは、9月以降、独自のウオーキングツアー作るための研究会活動の一環である。第2回の水野聡先生の茶道、庭園、禅の講義、第3回の建長寺での座禅体験についで、とても深い内容となった。グルメにたとえると、午前中に会席料理を食べて、午後も中華のフルコースを食べたような、超満腹感。一日の講座としては、内容がありすぎて、メモを整理するのが大変との声も多かった。
私としては、日本刀の名刀を手に持った感触が素晴らしかった。

講座の会場は、鎌倉市の生涯学習会館、きららの和室である。建物の隣に、「おんめ様」の大巧寺がある。あまり有名ではない寺だが、いつ来ても美しい花が咲いている。花の種類がとても多く、手入れも行き届いているので、鎌倉に来るたびに訪れて、とても心が癒される。

今回の講師は、本阿弥光次氏。日本刀の「鑑定」は室町時代末期頃の豊臣秀吉に仕えた本阿弥光徳の鑑識から始まったとも言われる。以来、刀を鑑定することができるのは、本阿弥家の本家と11の分家のみであった。本阿弥家の一族でも、研ぎ師、鑑定師の家を継げないものは、松田姓となる。本阿弥光悦も分家の一人である。

本阿弥家の鑑定がなければ、日本刀は高い価値をもてない。室町時代以来、鑑定書付きの日本刀は、大名からの授かり物として、きわめて高い価値や名誉があった。
刀の鑑定にまつわり、現在、日本で普通に使われている言葉は、多い。
刀を鑑定し、証紙に証明を発行する。「証紙証明」がのちに「正真正銘」という言葉になった。
また、この証紙は、折りたたんでいる。「折り紙つき」は、刀の鑑定書付きという言葉から生まれた。
この折り紙の裏に豊臣秀吉からいただいた判子がある。これを「太閤判」といい、「太鼓判」と間違って使われている。この太閤判を今も所有しているのが、本阿弥光次氏である。
鑑定書をつけるほどの刀でない場合、小札をつけるのみとなる。評価の低いという意味となり、現代では「札付き」という言葉となった。

日本刀は、鎌倉時代以前は、「太刀」が主流で馬上の戦いに使用された。太刀は、刃を下に向けて差し、軽く長い。馬の足を切るために使う。落馬した武士を小刀で刺し殺す。
小刀で、上と下両方に鋼が付いている物を「諸刃の剣(もろはのけん)」という。
しかし、室町時代以降は、二本差が主流となり、「日本刀」となる。刀の形も違う。

日本刀は、真鉄の回りに刃金(鋼)が覆う。外国の刀は、剣先以外に鋼はない。包丁は、鋼が軸で、真鉄が上を覆う。構造が逆である。
墨で高熱に焼いて、焼きを入れることで刃金を作るのである。これを「焼きを入れる」という。
焼きがうまくいかないときに、「焼きが回る」「焼きが鈍る」などという。
駄目な刀の先だけに、焼きを入れてごまかすことを「付け焼刃」という。
刃金が薄くなって、地金の真鉄が出てしまうことを「地金が出る」という。
「鍛えなおし」、「身から出た錆」「合い槌を打つ」なども、刀づくりから出た言葉である。

刀をきちんと鞘に収めることは、難しい。
違う鞘に入れようすると入らないので、「そりが合わない」。「抜き、差しならない」
きちんと入ると「元の鞘に収まった」
このほか、「鎬(しのぎ)を削る」「切羽(せっぱ)詰まる」「鍔(つば)ぜりあい」「め抜き」「太刀打ちできない」「上段に振りかぶる」「すけ太刀」「伝家の宝刀」「後家ざや」「うらづけ」など、多数。
本阿弥光次氏は、居合いの達人でもある。居合いは、動禅ともいう。居合いは、抜けば人を切る。だから、抜かないのが極意という。これを「鞘の内」といい、最も好きなむ言葉だという。

午後は、建築士鈴木亘先生の講義を受けながら、円覚寺を訪問した。この門の奥は、通常入れない。

今回は、特別拝観を許可していただき、国宝舎利殿を視察した。室町時代の建築で、鈴木先生の講義と質疑が1時間も続いた。このあと、方丈、書院、山門と視察と講義が続き、終了は16時30分。本当に皆様、お疲れ様でした。

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理事長がブログで表現されていらっしゃる通り、第5回鎌倉探訪は午前、午後ともに内容が濃く、沢山の貴重な知識を得ることが出来ました。日本を学びながら感じることは、どの分野においても、日本人は「技法や機能性などを探求しながら、美を極める」という日本人の繊細な感性や美意識に深い感銘を受けます。
先人から私達に与えられているもの重んじ、受け継いでいくことの大切さをあらためて感じています。刀をご講義頂きました本阿弥光次様、円覚寺、舎利殿を御案内して下さいました鈴木亘様に心から御礼申し上げます。これからも日本の素晴らしさを探求しながら「担い手」として精進していきたいと思います。
投稿者 事務局長より : 2009.07.08 水 09:50
事務局長様。 忍者だけでなく、剣士の素養もありそうですね。
補足しますが、弓道は、立禅というそうです。武士、剣、禅の繋ながりを改めて、感じました。
投稿者 米原亮三 : 2009.07.08 水 10:13
素晴らしい会ですね。
私のような者も参加することが出来るのでしょうか?
宜しくお願い致します。
投稿者
仙堂新太郎 : 2009.07.08 水 10:46
コメントありがとうございます。ご興味あるでしたらどなたでも御参加いただけますが、限定募集の企画は当会の会員様が優先となっています。定期的に活動説明会を行っていますので、ご都合がよろしければ御参加ください。http://www.ijcee.com/taiken/taiken_bosyu.html
投稿者 事務局長 : 2009.07.08 水 20:26
仙堂新太郎様。和の文化について、様々な活動をしてらっしゃいますね。ご質問ありがとうございます。
私たちの活動の参加方式について、説明いたします。
まち歩き、講座、体験等の私たちの事業は、ホームページ「日本文化体験交流塾」http://www.ijcee.com/でお知らせしています。あわせて、随時、メールニュースを発行していますので、ニースを希望の方は、info@ijcee.comまで、お申し込みください。
ただ、今回の鎌倉探訪や前回の向島の芸者のように、人気の高い研修会は、一般公募枠がほとんどないときがあります。私たちの会員が100人あまりいて、会員だけの事前募集で枠がほぼ、満員となるからです。
私たちの研修会は、その道のトップに話を聞くことを原則としているので、あまりたくさんの人を募集できないことも多いので、その点は、ご了承くださいね。
投稿者
米原亮三 : 2009.07.09 木 05:23
いつもニュース配信をありがとうございます。
今回の研修レポートを拝見し、その洗練された内容に思わずため息~!
また、刀剣にまつわる様々な表現もためになりました。
外国からのお客様に日本文化を紹介する機会が偶にありますが、どこをどう見せたらよいのか、どの程度までご説明したらよいのか迷うことばかりです。
もちろん、お客様からのフィードバックを通して経験の中から分かって行く部分も多いでしょうが、
切り口を明確にして、外国の方に一般的によく知られていることや外国の文化(今回は西洋刀剣)と比較してあげたりということで、分かりやすく、楽しいガイドになるわけですね。そのための作業に手間を惜しんではいけないということを教えていただきました。
ありがとうございました。
投稿者
アルプスの(元)少女!? : 2009.07.09 木 12:02
アルプスの少女さん、コメントありがとうございます。
御案内する状況は相手の興味、お国柄、時間、等々その時によって様々だと思います。大切なことは、与えられた状況の中で「何をどのように伝えるか」ということだと思います。おっしゃる通り「わかりやすく&楽しく」も大切だと思います。
お料理の世界で言うと、ひとつの食材をどのように味付けして盛り付けるか・・・同じ食材を使って表現は何通りでもあります。
何でも学べることは楽しいですね。発見は喜びです。学んだことを、自分で味付けして美味しいお料理に仕上げてお伝え出来たら嬉しいですね☆ Where there is a will, there is a way ! Let's enjoy each process!
「アルプスの少女ハイジ」が大好きな事務局長より
投稿者
事務局長 : 2009.07.19 日 12:15
刀は、使う人により時代により、使う理由も目的も違うけれど、使った結果は一つ。人の死ということだけです。その背後には多くの悲しみがあったことでしょう。刀を美術品として鑑賞するには想像力がいるようです。
投稿者 ねこのめくるくる : 2009.07.21 火 18:28
事務局長様、
ありがとうございます。
お料理の素敵な演出!おっしゃるとおり、多分それがガイドの一番の醍醐味でしょうね~。私なんかはなかなかそこまでいかず、いつも素材集めの段階で時間切れということも多いのです。
それでも、そんな未熟ガイドゆえ、どう料理してお客さんに提供しようかな~っていつもわくわくした気持ちでいられるのは幸せなことです。自分の味付けといえるものができるまで、多分一生修行中です。
ねこのめくるくる様、
そこまで思い至ってこそ、本当のガイドができるのですね。
新鮮な驚きを感じる心、純粋な目が曇ってきていたことに気づかせていただきました。
ありがとうございます。
投稿者 アルプスの少女 : 2009.07.27 月 10:48
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プロフィール
米原亮三(よねはらりょうぞ う)
NPO日本文化体験交流塾
理事長
東京大学経済学部卒業後、都庁へ勤務。知事室で鈴木都知事の秘書を務める。
自治体国際化協会ニューヨーク事務所次長として、米国の地方自治・NPOの状況を調査、30余州を訪問。帰国後、国際化施策担当課長として国際交流・協力団体との連携を推進。
東京ビッグサイト総務部長、産業労働局参事(観光まちづくり担当)として、観光・コンベンション行政、観光人材育成を推進。
2008年3月に都庁を早期に退職したが、都庁に対しては様々な機会を与えてくれたことに感謝。
8月、NPOの設立により、理事長に就任。
日本国際観光学会
プロフィール詳細はこちら
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