インバウンドコラム

第4回オーストラリアのベビーブーマー(団塊の世代)の 心を掴むために 〜その2〜

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隠密剣士の主演男優である大瀬康一が、オーストラリア訪問をしたときには、メルボルン空港にビートルズを上回る7千人が、侍の格好をして待ち受けたという伝説も。ベビーブーマーは、少年のころ強烈なサムライ文化と出会っていた。
ベビーブーマーが求めるものをいかに提供できるのか、検証しよう。

目次:
●ボランティア活動にベビーブーマーを呼び込んでみる
●日本の国技『SUMO』はベビーブーマーを呼び込める
●SAMURAI関連で呼び込もう
●オーストラリアのベビーブーマーを呼び込むためには。調査とクリエィティブシンキング!

 

ボランティア活動にベビーブーマーを呼び込んでみる

面白い記事があった。
オーストラリアのベビーブーマーの趣味は、ボランティアとコンプレイン(文句をいう事)だと。

ベビーブーマー達は、学歴が高い。
ベビーブーマー達は“男女平等”、“人種差別禁止”、“ヒッピー”などの影響を受けた自由主義の文化をシェアし、さらに“ケネディー大統領の台頭と暗殺”、“ベトナム戦争”、“ボートピープル”、“ソビエトの崩壊”などの世界的な事件を共に経験している。

その彼らが、一旦リタイアするとどうなるのか? 何をするのだろうか?

オーストラリアでもそれについての議論が盛んだ。それで冒頭の面白い言葉が出てくる。

彼らは、何か世の中に役立つことをしたいと考えている。
自分たちが、何か社会に還元できるものはないかと考えている。
だから、ボランティアはますます盛んになるのだが、その実施方法が悪かったりすると、途端に彼らはコンプレインするというのだ。

以前の記事でも述べたが、ベビーブーマーはチョイスを好む。したがって、彼らにコンプレインさせないためには、実施方法やオーガナイズの方法等、またそれについての説明等を確かなものにして、チョイスのある方法で呼んでみることが必要である。

例えば、外人用の『ボラバス』を作ったらどうだろう。
通称『ボラバス』といわれる、東日本大震災の被災地にバスで行くボランティアパッケージをオーストラリア人、および外国人のために作る。
その日数等は1日、2日、3日と、いくつかのパターンを作る。2日以上は、宿泊施設が必要なので、その場所の確保や準備を十分に行う。

 

img01-4前後に、被害を受けていない観光地訪問を加える。あるいは、被害を受けたが立ち直った観光地も加える。オーストラリアおよび外国人が被災者と交流できる場所を作る。

例えば、オーストラリア人ならBBQが得意なので、“オージーBBQデー”等を作ると、よりボランティア体験が色濃くなる。
オーストラリア側からだけでなく、被災者からも何か音楽やダンス等の披露があったりすれば、なお交流の意味が深まるのではないだろうか。

日本人のための『ボラバス』では、農地の後片付けの手伝いがあったが、60歳を過ぎているベビーブーマー用には、身体に厳しくないボランティアのタスクを探す必要がある。
事故の発生やコンプレインを避けるために……。

日本人用に宮城県山元町に行くバスでは、何とか生き残った農家が震災後イチゴの生産を開始し、参加者たちがそのイチゴを頂き大感激したというおまけがついたらしい。このような企画は、ボランティアに来てもらった感謝の気持ちを表すのに有効な手段だ。

 

日本の国技『SUMO』はベビーブーマーを呼び込める

何年前のことか、ちょっと忘れているが、ベビーブーマーの私の主人とその姉夫妻を日本に連れて行ったことがある。そのとき、友人に相撲に連れて行ってもらった。さらに相撲部屋にも行き、ちゃんこ鍋をご馳走になった。

うちの主人はSUMOの本を手に入れて以来、私よりずっと詳しい(というか、私はほとんど知らないのだが)SUMO評論家?になってしまった。

img02-4主人の姉夫妻も、あれから何年も経っているにも関わらず、繰り返しそのときの話をする。

実はオーストラリア発のファストフードにSUMOサラダがある。SUMOサラダ? つまり「でっかい」サラダのことをいう。大型カップにサラダをたっぷり入れてテイクアウト。

昔であれば、オーストラリアでは、SUMOってなんだか分からない人たちが多かったのものだが、今ではSUMOっていうと、「大きな人たちがする格闘技」であるとの認識がある。このSUMOは、ベビーブーマーには大変魅力あるスポーツだ。

うちの主人をみるといい。
なぜ、相撲取りは四股を踏むのか?
なぜ、行司は軍配を持つのか?
いつ、軍配がひっくり返されるのか?
などなど、詳しく説明すればするほど、ベビーブーマーたちの関心は高くなる。

 

img03-4ただ、観戦させるだけでは面白くない。彼らが知らないことを「教える」ことが必要だ。
そう、彼らが後で“うんちく”を披露できるようにである。

さらに、相撲部屋見学が実現すればもっといい。多少高い値段を取っても、相撲観戦の後の相撲部屋訪問は、さらに彼らの満足度を上げることだろう。稽古やちゃんこ鍋試食、そして写真撮影。ベビーブーマーたちはオーストラリアに戻り、大いなる宣伝をしてくれるはずだ。

 

SAMURAI関連で呼び込もう

日本の若い人たちに「『隠密剣士』を知っているか?」と聞いてみた。
答えはほとんどがNOだった。40代でも『隠密剣士』を知っている人はいなかった。

img04-3オーストラリア人のベビーブーマーに聞いてみよう。
彼らはほとんど『隠密剣士』を知っている。つまり、『The Samurai』を知っているのである。

『The Samurai』は『隠密剣士』の英語のタイトルだ。

『隠密剣士』は、1962年に日本のTBSで放送された。その4年後にオーストラリア、ニュージーランド、フィリピンで放送されたが、他の外国には紹介されなかった。

そしてオーストラリアでは、後の日豪関係をも変える大きなセンセーションとなったのであった。
子供たちは、NINJA遊びを小学校ではじめ、小学校の塀から飛び降りたり、手裏剣遊びをしてケガ人も出たのだという。中にはSAMURAIやNINJA遊びを禁じた学校もあった。

オーストラリアは、第二次世界大戦中に日本から攻撃を受けた。つまり日本はオーストラリアを攻撃した最初で唯一の国となった。またニューギニアで日本軍と戦い、さらに日本軍の潜水艦までオーストラリアにやってきた「敵国」なのである。
ベビーブーマー以前の世代は、その日本軍と戦ってきたという経験がある。

しかしベビーブーマーは、日本との戦争を経験しないばかりか、実はこの『The Samurai』という番組によって日本文化への関心を募らせた。

日本、日本人。侍文化。『隠密剣士』の主演男優である、大瀬康一がオーストラリア訪問をしたときには、メルボルン空港にビートルズを上回る7千人が、侍の格好をして待ち受けたという伝説もできた。

さて、この『The Samurai』文化を経験したオーストラリアのベビーブーマーに向けて、日光の江戸村はウケるだろうし、日本各地に点在する“SAMURAI”文化を感じられる寺院や仏閣、宿泊施設は関心を呼ぶだろう。

img05-2当然ながら、NINIJAの里は大人気になるに違いない。
『隠密剣士』には“IGA(伊賀)”と“KOGA(甲賀)”のNINJAが出ていて、オーストラリアのベビーブーマーは、このNINJAに大変詳しい!

だから、オーストラリアのベビーブーマーたちの訪問地として、三重県の「伊賀流忍者博物館」や滋賀県の「甲賀流忍術屋敷」などもウケるはずだ。日本の他の場所でも、似たような場所があるとすれば(日本人なのに、知らない!)、それもまた訪問地の候補に上るであろう。

 

オーストラリアのベビーブーマーを呼び込むためには。調査とクリエィティブシンキング!

オーストラリアのベビーブーマーを呼び込むためには、既存の観光地をPRするだけでは無理がある。
美しいとかいうだけでは、彼らにとってはあまり魅力がない。

前にも述べたように、オーストラリアのベビーブーマーの好きなことを調べて、それについてのいろいろな工夫が必要となる。そして、その工夫は大きな実りある結果となって現れる。

テレビでも取り上げれば、ベビーブーマーだけでなく他の年代のビジターを呼ぶ切っ掛けにもなるだろう。

さて、相変わらずの円安が続く。
オーストラリア人にとっては、日本の物価は安い。
そして多くのスキー客が来る日本に、オーストラリアのベビーブーマーを呼ぶ事は、ほんのちょっとのマーケティング努力で困難なことではない。

実際、スキーに来たオーストラリア人たちからリピーターも増えはじめている。私が新幹線で会ったブリスベンから来た60歳代のご夫婦は、3度目の日本訪問だと答えた。ニセコ、白馬、そして今度は高野山。

img06-1オーストラリアからのインバウンド。とりわけ、金と暇ができたベビーブーマーのためのスペシャル企画を、ぜひ皆さんと一緒に考えてみたい。

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