インバウンドコラム

中国インバウンドに挑戦する経営者が知っておくべき 『2018年中国旅行市場で注目された3つの動向』

2019.01.10

外島 美紀子

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2018年、訪日外国人旅行者数は3000万人を突破しました。そのうち中国からの旅行者数が全体の四分の一となるおよそ850万人以上を占める見込みです。中国市場は見過ごすことのできない存在感のあるものとなっています。にもかかわらず、大きなビジネスチャンスが満ちる中国のインバウンド市場に参入する方法が分からない…。そんな観光事業者や旅行関係の経営者の方も多いのではないでしょうか。

今回のコラムでは中国市場の実態を正しく捉えるため、2018年の中国旅行市場における3つの大きな動向を振り返って分析してみたいと思います。

 

動向1:中国人1.6億が海外旅行へ。「テーマ型観光」が最重要成長市場に

中国アウトバウンドツーリズム研究所(COTRI)の発表によると、海外に出かけた中国人出国人口(香港除く)は2018年3Qまでですでに昨年比14%増となる1.23億人に達しており、2018年通年では1.6億人になる見込みとのことです。

2018年3月に中国中央政府で組織変更が行われ、「文化局」と「旅行局」が合併し「文化旅行部」として新たにスタートしました。中国の旅行市場の2018年の特徴としては、「文化観光」や「教育旅行」などのテーマ型観光、中国語で言うところの「遊学研学」市場が大きく躍進するとともに、「カスタマイズ旅行」市場も急成長を果たすなど、分岐点となる1年でもありました。

また、テーマパークや商業施設など建設ラッシュが起き、まさに戦国時代の様相となっています。それを勝ち抜くために、おもてなし先進国である日本から積極的にノウハウ学びたいと考える中国人経営者も非常に増えています。

 

動向2:テクノロジー生かした新しい旅行消費体験の黎明期

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ビッグデータ、人工知能(AI)、顔認証などのハイテク消費体験の実験地として知られている「杭州西渓園国家湿地公園」に、2018年12月、アリババグループ傘下旅行ブランド「Fliggy」が、近未来型無人ホテル「Fly Zoo Hotel」(菲住布渴)を開業させました。

このホテルはアリババのテクノロジーが集結。ロビーにはフロントはなく、チェックイン・アウトから、支払い、客室への案内、部屋の照明やテレビの電源を入れることまで、すべて顔認証技術を活用したロボットコンシェルジュが旅行者に対応してくれるということで、大きな話題となっています。レストラン、ジム、エレベーターなどもすべて“顔パス”。客室から出るとエレベーターが動きだし、エレベーターの前に着くタイミングに合わせ、ドアを開けて待っていてくれるのです。

飲食業界においてもすでに、火鍋の革命家と呼ばれる海底捞や杭州百年老舗五芳斎もAIで対応するスマートレストランを開業しており、EC業界大手の京東グループも「JOY’S 智慧餐厅」の開業発表をするなど、中国ではスマートレストランの開業が相次いでいます。そして、AIだけではなく、身近なハイテクの取り組みとして、中国レジャー業界の先駆者・宋城グループや、上海ディズニー、華僑城グループでは、早くもそれぞれのレジャー施設へのVR技術導入をスタートすると発表しています。

テクノロジーを駆使した新しい消費体験の提供というトレンドと合わせて、中国企業の間では、「最高のおもてなし」と「感動」の提供に取り組む意識も広まってきているのも特徴です。

 

動向3:OTA同士の競争と連携。プロモ手法ミニプログラムとショートムービーが主流に

2017年より、世界最大のOTAであるBooking.comを運営するブッキング・ホールディングス社は中国市場に積極的な投資を行っており、中国最大のOTAであるCtrip(携程)やMeituan(美団)へ投資。2018年はタクシー配車プラットフォームDiDi(滴滴出行)へも出資、旅行商品販売プラットフォームFliggy(飞猪)に旗艦店を出店するなどして、中国市場での存在感をどんどん強めていっています。

Meituanはライフサービスプラットフォームとして知られていますが、今年の「旅行業界Best20企業」にも選ばれるなど、旅行業界への異業種からの参入の成功例として目立っていました。

また、中国社会ではデジタル化が急速に進む中、旅行業界で使われるマーケティング手法もどんどん刷新されています。15秒程度の短い動画をシェアできるTikTok(ティックトック)などを中心とするショートムービーの活用や、Wechatミニプログラムによる顧客体験の革新など。よりスピーディーに、ダイレクトに顧客とコミュニケーションをとる手法が求められているのです。

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中国の古都・西安が、観光プロモーションとしてTikTokに投稿したTikTok動画によって一夜で多くの観光客が訪れる人気エリアとなり、2018年上期の観光客は前年同期比45.36%増となる約1億1471万7500人。動画で紹介された観光名所の一つ永興坊で“一年の安泰を念じながら一碗の酒をいっきに飲み干し酒杯をその場で叩きつけて割る”という摔碗酒を体験しに、遠くからも人々が訪れています。 

 

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上記は、中国版ラインとも呼ばれるWeChatの一機能であるミニプログラム(小程序)に、OTA大手各社が展開しているプロモーションの画像です。OTA各社が互いのプロモーションを競争するかのようにずらりと顔を揃え、ユーザーは少しでもいいキャンペーンを見つけては飛びつくのです。人口14億人の中国のうち10億人が利用しているWeChat内にあるため、友人同士のやり取りなどでもミニプログラムで見つけた情報をシェアしやすく、交通、宿泊、飲食、各種入場券チケットなどの検索や購入アクションが、他のアプリより高い頻度で利用されるのが特徴です。

中国市場でマーケティングする際は、「OTAへの出店」「ショートムービー」「ミニプログラム」が「新三大兵器」と呼ばれるほど不可欠な存在になってきていることを、ぜひ覚えておいてください。

 

中国旅行研究院&中国旅行協会が共同発表した、2018中国旅行グループTOP20

《2018年中国旅游集团20强名单》
中国旅游集团有限公司、华侨城集团有限公司、北京首都旅游集团有限责任公司、美团点评集团、北京东方园林环境股份有限公司、众信旅游集团股份有限公司、凯撒同盛旅行社(集团)有限公司、大连海昌集团有限公司、锦江国际(集团)有限公司、携程旅游集团、景域国际旅游运营集团、上海春秋国际旅行社(集团)有限公司、华住集团、同程旅游集团、浙江省旅游集团有限责任公司、杭州市商贸旅游集团有限公司、开元旅业集团有限公司、祥源控股集团有限责任公司、安徽省旅游集团有限责任公司、黄山旅游集团有限公司、福建省旅游发展集团有限公司、山东银座旅游集团有限公司、湖北省文化旅游投资集团有限公司、广州岭南国际企业集团有限公司、腾邦集团有限公司。

 

 

「やまとごころ中国事業について」

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