インバウンドコラム

【コロナの先のインバウンド業界③】大きなピンチは、新しいビジネスが生まれる時でもある—JSTO新津研一氏

2020.03.23

外島 美紀子

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世界的にも感染が広がり、世界経済にも大きな打撃を与えている新型コロナウイルス。この試練の時をどのように乗り越えていったらいいのか、インバウンド業界の各分野で活躍される方々から、“今なにをすべきか”をテーマに応援メッセージを寄せていただいています。3回目に登場いただくのは、ジャパンショッピングツーリズム協会(JSTO)の代表理事であり、マーケティングコンサルタントの新津研一氏です。


—コロナショックが与えているインパクトは?

訪日インバウンド市場のうち買物消費への影響は、既に1,000億円を超えつつあると試算しています。現時点(3月18日)では、この事態は、数週間で収束するとは考えにくいでしょう。私は、年間1.6兆円の2~5割の減少を、リスクシナリオとして想定すべきだと考えます。

企業経営としては、売上激減に対し固定費や借入金の比率の高い企業は、深刻な状況に直面します。今月末には、閉店や倒産などを目にすることになるでしょう。

外部や従業員から、経営姿勢や企業体力が赤裸々に垣間見えてしまう状況も、コロナショックのインパクトの一つでしょう。従業員の雇止めが聞かれる一方で、雇用を守り反転攻勢に備えている企業もあります。リスク対応能力、人材に対するスタンス、経営の柔軟性などが露呈しつつあります。少なくとも、この状況に対する基本スタンスが明確でない企業は、このショックを乗り越えることは難しくなるでしょう。

 

—過去のピンチを踏まえ、今回どう対応しようとしてるか?

社会リスクが発生した際に、それ自体の将来予測(今回なら“いつ収束するか?”)に関心が集まりがちです。しかし、これは重要ではありません。社会リスク自体の将来予測は、一般情報を正確に収集した上で、リスクシナリオ・メインシナリオなど複数シナリオでシミュレーションするしかありません。最も重要なのは、自社に及ぼす影響や、対応能力を正確に把握し、準備することです。

具体的には、世界的パンデミックが宣言されている今であれば、6カ月以上にわたって現状が続くことも想定した経営と実務のシミュレーションを始めます。少なくとも、2020年度上半期は、最悪の客数・売上を前提に、施策の立案をせざるを得ません。

 

—今だからこそ、やるべきことは?

一方で、大きなピンチには、新しいビジネスや、新しい価値観が生まれ、優秀な人材が市場にあふれ、行政による手厚い支援が実施されます。急回復する市場(特に国際観光市場は回復が早い)では、これまでとは違う勝者が現れます。直近では守りのスタンスをとりつつも、反転攻勢のシナリオ作りが今やるべきことです。

今回のリスクは、これまでの危機とレベル違いの規模と拡大スピードです。理論や概念だけで乗り越えることはできません。最大リスクを想定した上での辛抱強さと、反転攻勢のための柔軟で緻密な準備が必要です。そんな心づもりで念入りに対応したのにリスクが小さかった、そんなときは、笑えば良いのです。

 

新津研一氏
一般社団法人ジャパンショッピングツーリズム(JSTO)協会 代表理事。マーケティングコンサルタント
百貨店勤務後、2012年、日本初の小売業起点のインバウンドコンサルタントとして起業。「ショッピングツーリズム」の重要性を提起し、消費税免税制度改正、業界団体JSTOの設立を実現。小売と観光の両面から訪日ゲストによる新規市場創出と新たな価値創造に奔走する。民間企業支援のかたわら、観光立国推進協議会委員をはじめ、観光・小売の専門委員を務める

 

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