インバウンドコラム

【コロナの先のインバウンド業界④】失ってはいけないものを明確に意識することで、円滑なリカバリーへ—エクスポート・ジャパン 高岡謙二氏

2020.03.26

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世界を震撼させている新型コロナウイルスに、どのように対峙していったらいいのか。今回は、東日本大震災の際の落ち込みを乗り越えてこられた、海外向けWebマーケティングを実施されているエクスポート・ジャパンの高岡謙二氏からのメッセージをご紹介します。

 

—コロナウィルスはどんなインパクトを与えているか

コロナウィルスは、この一世紀の間に急速にグローバル化した世界全体に、大きな反動をもたらしています。
インバウンドを含めた観光産業は言うまでも無く平和産業で、国と国との交流が活発になり、人の行き来や集まる機会が増えることがビジネスの根幹になっています。
今回の出来事では国や地域が分断され、人の移動や交流が停止する中で、インバウンド業界の全ての分野にマイナスの影響が生じてます。そして、それは日本だけでなく、世界全体が同時に影響を受けているので、個人や一国だけの努力では、どうにもならない環境を作り出しています。

 

—過去のピンチを元に、今回どう対応しようとしているか

2000年に設立した弊社は、2011年の東日本大震災の際には、同じタイミングで大きな意思決定の失敗も重なり、私自身も最悪の結果を覚悟しました。
そんな時、トーマス・コーラさんという一人のスイス人が、震災後の日本を徒歩で縦断しているという話を耳にします。彼は、当時スイスの旅行会社に務め、日本旅行を専門に扱っていましたが、福島原発の事故を境に日本への旅行申込みがほぼ無くなり、失業した直後でした。
しかし、彼は大好きだった日本の為に何か恩返しをしたいと考え、北海道から鹿児島まで日本列島を徒歩で縦断しながら、被災した地域以外の日本は安全であるという事をブログで訴えて続けてくれたのです。
私自身は、ジャパンガイドのステファンを経由してその事を知り、その活動を支援する中で、様々ないい出会いに恵まれました。彼自身もその後、スイスで自分で旅行会社を起こし、以前よりもたくさんの訪日客を扱う立場になりました。日本全体でも、自分が予測したよりインバウンドは急激な回復を見せ、その後の空前とも言えるインバウンドブームにつながっていきます。
限られた自分自身の経験で言えば、本当にピンチの時にどう対処すべきかについての明確な処方箋はありません。
しかし、自分の中で失ってはいけないものを明確に意識しておくことで、心の安定を保ち、外部の環境が立ち直った時により円滑なリカバリーが出来るようになるのではないかと思います。

 

—今だからこそ、やるべきこと

世界的に今回のパニックが一巡し、平静を取り戻す時が遠からずやってきます。その時に備えて、今はより長期的な視点を持って活動しましょう。
歴史を振り返ると、今回のように経済を直撃する広範囲な危機が起こった時、各国が自国中心主義になって、より不幸な結果を招いた事がありました。それぞれの国のリーダーは、みんなしっかり歴史を学んでいるので(少なくともそう信じたいので)、同じような間違いは起こさないでしょう。
こういった危機が起こると、世界全体が観光や貿易によって、どれだけ相互依存性を高めていたのががよく分かります。それは悪い事では無く、むしろ当たり前だと思っていた大事な事に気付かせてくれる機会になりました。
コロナウィルスによる熱が冷めた後に、どのような世界が待っているのかは、まさにひとりひとりの今現在の行動によって決まるのです。

 

高岡謙二氏
エクスポート・ジャパン株式会社代表取締役
2000年にエクスポート・ジャパン株式会社を起業。9カ国の社員が働き、政府機関や自治体、公共交通機関を主なクライアントとして海外向けのWebプロモーション事業を展開。現在、同社の代表取締役を務めながら、世界有数の訪日メディアであるジャパンガイドの取締役、QR Translatorを運営する株式会社PIJINの代表取締役を兼任。インバウンド・デジタルマーケティング協議会理事長。著書に「海外Webマーケティングの教科書」

 

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