インバウンドコラム

新型コロナウイルス:【まとめ】各国の日本への渡航に関する動き—感染広がる日本へ強まる警戒

2020.02.25

外島 美紀子

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日本国内での新型コロナウイルスによる肺炎(COVID-19)の感染が広がる中、各国が日本への渡航に関して自粛勧告を出すなどの動きが出始めている。また日本を含むアジアの感染リスクの高い国からの自国への帰国者に対して、帰国後14日間は外出を控えるようにアドバイスしている国もある。

予定していた日本への旅行を取りやめるべきか迷う人も出てきているなか、2月24日現在の集められる日本渡航に関する各国の反応をまとめた。前編では訪日旅行に対する動き、後編では日本からの入国に対する動きをお届けする。
(やまとごころ編集部:外島美紀子)

 

【アメリカ】

世界が注視した、クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号への対応を発端に、新型コロナウイルスに対する日本政府の対応や日本への旅行の安全度を疑問視する声が海外から高まっている。

横浜港に到着したクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号が乗客乗員約3,700人を乗せたまま横浜港に停泊を続け、2月5日より隔離政策をとったのは周知の通りだが、国際線クルーズには日本のみならず、日本、香港、米国、カナダ、英国 、ロシア、台湾、イスラエル、韓国、ニュージーランドからのクルーズ客も乗船していた。そんなクルーズ客によるSNSの投稿や、電話インタビュー、親族のコメントなどによりダイヤモンド・プリンセスの船内の様子や日本政府の対応は各国のメディアでも連日報じられ、世界の人々が知ることとなった。

乗客だった米国人の医師アーノルド・ホップランド氏が、ウォール・ストリート・ジャーナルのインタビューで「私たちはウイルス培養皿に入れられて、感染させられているのと同じだ」とコメント。米国では、客室から外に出ることを許さない過酷な環境を長く強いたものの、日々感染者が増えていくクルーズ船の状況を生み出した日本政府の対応を不安視する声が高まり、米政府は乗船する約380人の米国民をチャーター機で帰国させる方針を決めたという背景がある。

2月22日、3段階で渡航に関する注意レベルを発信しているアメリカCDC(疾病対策センター)が、日本国内で新型コロナウイルスの感染経路が分からないケースが相次いでいることから、日本への渡航に関する注意レベルを1段階引き上げ「レベル2」とすることを発表。高齢者や持病のある人へ、渡航の延期を検討することを呼びかけた。

CDCが、不要な渡航は控えるべきとする「レベル3」としているのは、現在中国本土への渡航のみ。「レベル2」は感染者が増えている日本と韓国。キャンセルや延期を勧めるほどではないが、体調の悪い人物との接触を避けることなどの防止策を勧告する「レベル1」は、香港への渡航となっている。

また同日、国務省も外国への渡航注意情報をアップデート。これまで4段階中最低の「レベル1」で一般的な旅行の際の注意を呼びかけるのみだった日本への渡航情報を、高齢者や持病のある人は渡航を延期した方がいいとする「レベル2」に引き上げた。

 

【オーストラリア】

24日オーストラリア外務貿易省は、地域でコロナウイルスの感染が続くリスクが高まったことを理由に、日本全土への渡航情報を4段階中で下から2番目の「レベル2」高度の警戒に引き上げたことを発表した。これまでは日本への旅行は一般的な旅行の際の注意を呼びかける「レベル1」だった。

オーストラリアは、コロナウイルス感染の流行を理由に中国本土への旅行に対しては、もっとも厳しい「レベル4」の渡航禁止勧告を出しており、中国本土よりの自国民以外の入国も原則禁止している。

感染が拡大している韓国も「レベル2」とし、感染が急増している大邱市など一部地域を「レベル3」の渡航再考とした。

 

【台湾】

台湾でも22日、日本への渡航警戒を「レベル2」に引き上げることが発表された。

台湾の厚生省にあたる衛生福利部の中央感染症指揮センターは、渡航警戒レベルは3段階で表している。「レベル2」は渡航自粛要請ではなく現地での感染防止策の強化を求めるものとしているが、SNSなどで日本を旅行している写真をアップすると「日本を旅行していて大丈夫か…」と心配するコメントが寄せられる状況にあり、すでに訪日を見合わせる動きが強まっている。

「レベル3」は、渡航自粛を求める警告で現在、中国本土(香港・マカオ含む)を指定。「レベル1」は現地での一般的な予防措置の順守を呼びかけるものとなっている。

航空各社も路線の減便を始めているが、台湾は2019年も中国、韓国に次ぐ3位で489万人が訪日した親日国であるため、インバウンド業界にとっても、大きな打撃となることは避けられない。

 

【韓国】

日韓関係の政治的な問題により訪日客数が減少したとはいえ、2019年も558万人が訪日した韓国でも、新型コロナウイルスに関連して、11日保健福祉省が日本などへの渡航自粛を勧告した。保険福祉省が指定したのは中国、シンガポール、マレーシア、ベトナム、タイ、台湾への6カ国となっている。

しかしその一方で、海外渡航に関して必要に応じて4段階のレベルを設けている外交省は、保健福祉省が指定した日本など6カ国・地域は対象外となっており、渡航自粛の必要はないとしている。保健福祉省が指定するのは、「レベル3」撤収勧告の中国湖北省、「レベル2」旅行自粛勧告の中国のその他の地域(香港・マカオを含む)としている。

保健福祉省と外交省で見解が分かれているため、どのように対応していくべきか関係者には混乱が広がっている。

 

【タイ】

昨年、132万人が訪日したタイでも17日、保険省が日本とシンガポールへの不要不急の渡航を控えることを呼びかけた。これは、渡航自体を禁止するものではないのだが、「多くのタイ人が、シンガポールと日本への旅行を保険省が禁止したと受け取り行動した」と、タイ旅行代理店協会の副会長であるチャルワン・ワンガナノンはバンコク・ポストの取材に応えている。旅行会社では訪日団体旅行の予約のキャンセルが相次いでいるという。

また、保健省は23日、日本や中国、香港、マカオ、台湾、韓国、シンガポールからの帰国者に14日間は公共の場所への外出自粛を求めることを発表した。

その他、ミクロネシア、トンガ、サモア、イスラエル、キリバス、ソロモン諸島、韓国、タイ、ブータンが日本を含む感染者が所在する国、地域への渡航抑制を呼びかけている。

 

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