インバウンドコラム

【コロナ:世界の動きまとめ】ロックダウン緩和の動きもある中、海外旅行規制は2021年まで長引く可能性も

2020.04.17

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世界では、ロックダウン緩和の動きも出始める

日本では、新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく緊急事態宣言が全国へと拡大されたが、世界ではロックダウン(都市封鎖)を緩和する動きも出始めている。新型コロナウイルスの感染を比較的少なく抑えられているオーストラリアのスコット・モリソン首相は、このままの状況が継続できるようであれば、4週間ほどでロックダウンを緩和する方向を4月16日提案、議会も同意した。

タイでもバンコクに隣接する州で水曜日のみ携帯電話と関連サービスの小売業者が営業を開始することを許可。別の州でも、土曜日のみ制限を緩和することを目指し動きはじめている。

 

オーストラリア「海外旅行規制は2021年まで長引く可能性」を示す

しかし、いずれも海外旅行に関しては厳しい見解を示しており、オーストラリアのサイモン・バーミンガム観光大臣は「感染リスクの高い活動である海外への渡航規制への解除は最後になる」と発言。ニュース番組にも出演し、海外への渡航制限が解除できる時期の見通しは立っていないこと、クリスマス休暇に海外旅行に行けるようになっていると予測することは難しく、さらに長引く可能性も示唆。昨年の大規模な山火事の発生で、大きなダメージを受けている国内の観光産業をサポートするためにも、まずは国内各地へ旅行することをテレビを通じて提案した。

タイでも4月18日までとされていた、旅客機の到着の禁止の措置を4月30日まで延長することを航空局が発表している。

欧州でもロックダウン緩和に向け動き出している国がある。ドイツは、アパレルなど専門店での営業再開を公共交通機関や店舗内でのマスク着用を条件に20日から認める。スペインは、3月末以降禁止していた「不要不急の経済活動」の一部を再開。製造業や建設業が再開できるようになった。欧州では、すでに一部の規制緩和をはじめているオーストリア、デンマークに続いての措置となる。

その一方で、3月23日からロックダウン状態に入っているイギリスでは、さらに少なくとも3週間延長することを発表。フランスも外出制限措置を少なくとも5月11日まで延長するなど、欧州内でも国により対応は分かれている。

 

イギリスでは、ホテルや旅行会社が医療従事者へ、無償でホリデーを提供

そんなイギリスでも観光業は厳しい状況に直面している。イベント業界フォーラム(EIF)とビジネス・ビジット・イベント・パートナーシップ(BVEP)が実施したオンライン調査によると、政府からさらにサポートを受けない限り、イギリスのイベント業界のサプライヤーベースの60%が3カ月以内に崩壊の危機に直面してるという。

このように苦しい状況下の観光業ではあるが、新型コロナウイルスのパンデミックと戦う医療機関のスタッフへの感謝と労いを示すため、旅行制限が解除されたら医療従事者に無料の休憩を提供することをインスタグラムで#treatournhsのハッシュタグと共に表明する動きが広がっている。すでにイギリス全土で100社を超える宿泊施設や旅行会社が賛同しており、この動きはさらに広がっていきそうだ。

 

アメリカ政府、航空会社へ250億ドルの資金援助へ

アメリカ運輸保安局によると、コロナウイルスのパンデミックの中、飛行機を利用する人は約96%減少。業界団体であるエアラインズ・フォー・アメリカによると、航空会社は稼働率を71%を削減して運行させているなど厳しい状況が続いている。14日、アメリカ財務省は総額250億ドル(約2.7兆円)の資金援助の条件について、航空大手10社と合意したことを発表した。

また現在、ハワイでは州民の健康と安全のため、観光客に対し来訪を控えてもらう措置をとっているいるが、ハワイ州観光局では、政府の在宅勤務や外出自粛の要請により自宅で過ごす時間が多くなっている日本人に向け、自宅でハワイ気分を体感できる『おうちでハワイ』プログラムをハワイ州観光局公式ポータルサイトallhawaiiに開設した。「バーチャルハワイ」「癒しのハワイ」「学ぶハワイ」「音楽でハワイ」「映画でハワイ」「読み物ハワイ」の6つのカテゴリーで構成されており、新型コロナウイルスが終息し、再びハワイ旅行をできる日まで、自宅でハワイを体感できるようなプログラムとなっている。

 

シンガポール、新認証をスタート「終息後、旅行者が求めるものは“清潔さ”」

シンガポール政府観光局では、新型コロナウイルスの感染が終息し、人々が再び旅行へと動き出す際には「清潔さ」がユーザーが最優先で求めるようになるとし、観光地やホテル、小売業に対して、新しい認証マーク「SGクリーン」の認定をスタートさせた。例えばホテルの場合は、室内の衛生状態、温度や消毒の回数、従業員の呼吸器の症状の確認、「SGクリーン」マネージャーを任命するためのプロセスを設けることなどが含まれている。

(執筆:やまとごころ編集部・外島美紀子)

 

やまとごころでは、重点20市場における入国規制の状況を一覧にまとめています。
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各国・地域の入国規制まとめ_2020. 04.17更新

※最新版も更新されました
7/7 更新【新型コロナ:各国入国規制まとめ 】

 

 

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