インバウンドコラム

【世界の動きまとめ】世界の観光業が考える、アフターコロナの新しい旅の基準とは? 上海ディズニーランド再開

2020.05.11

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外出自粛や休業要請が求められている現在の日本で、観光業界では深刻な状況が続いている。規制が緩和された後の観光業のあり方はどのように変化していくのだろうか。今回は、アフターコロナにおける観光業の新基準となり得る海外の動きを紹介する。

 

上海ディスニーランドが再開。健康コードや体温検査などで安全対策

新型コロナウイルスの感染防止のために1月25日から休園していた上海ディズニーランドは、5月11日より約3カ月半ぶりに再開された。通常8万人の入場者数を3分の1に制限。再開に先立ち事前に発売されたチケットは、わずか数分で完売した。

中国では、政府の要請でIT大手のアリババ集団などが開発を進めた「健康コード」というシステムが導入されている。身分証番号などの個人情報をスマホのアプリに登録すると、その人が新型コロナウイルスに感染しているリスクが緑、黄、赤の3段階で示されるシステムとなっている。

上海ディズニーランドでは新型コロナの感染防止のために、入場時にこの健康コードの提示や体温検査、園内でのマスクの着用も求めるなどの安全対策をとるという。

 

全米旅行産業協会が、旅行業界の新しい基準を公開

US Travel Association(全米旅行産業協会)の発表によると、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、アメリカにおける旅行関連の失業者が800万人(5月1日時点)を超えた。また、今回のパンデミックによる旅行業界への経済的影響は、9.11アメリカ同時多発テロの時より9倍も悪い状況になると予想されている。

しかし、現在は徐々に規制が緩和されつつあり、同協会は旅行関連ビジネスの再開に向けて米国疾病予防管理センター(CDC)と連携してガイドライン「旅行業界の新常態(Travel in the New Normal)」をまとめ、ウェブサイトで発表した。このガイドラインには、コロナ後の一変した新しい状況に対応して事業を再開する上で航空、クルーズ、宿泊、飲食、MICEなどの各産業が取り組むべき衛生上の課題や対処などが列挙されている。

そのガイドラインで示されているキーポイントしてあげているのは、できる限り人と人との接触を減らすこと。新常態の中でビジネスを再開するには旅行者の信頼回復が何よりも重要と強調している。

 

アメリカのホテル協会が考える、安全な滞在のためのスタンダード

ヒルトン、ハイアット、マリオット、ラディソンなどの大手ホテルグループも所属しているアメリカン・ホテル&ロッジング協会(AHLA:American Hotel & Lodging Association)は、新たな衛生安全基準となるガイドライン「セーフ・スティSafe Stay」を公表した。

このガイドラインは、衛生的で安全なホテルだと安心して滞在をしてもらうためには、業界として取り組んでいく必要があるとして、公衆衛生の専門家、科学者、医療リーダーらと協力して、CDCが定める基準に沿って作成。これをベースに、各ホテルが定めた安全な滞在のための取り組みを、AHLAのサイトに掲載していくという。

ALHAのガイドラインには、以下のような内容が掲げられている。
宿泊客、従業員の健康管理
・徹底した手洗いと消毒
・体温の確認
・各客室や公共エリアに消毒液の設置

従業員としての責任
・感染拡大防止のためのトレーニングの実施

衛生基準
・専門機関などと連携した清掃、衛生用品の利用
・ボールペンやメモ用紙など客室内の備品の撤去
・スイッチ類など手が頻繁に触れる場所のこまめな消毒
・フィットネスセンターの定時消毒

・ビュッフェ方式の食事の見直し

ソーシャル・ディスタンスをとったサービスの提供
・ロビーなどの公共エリアの家具の配置

・人とコンタクトしないチェックイン
・キャッシュレスでの支払い

このガイドラインを基に、各ホテルが安全な滞在のためのプロセスを明確にし、完了するとAHLAのサイトに公開される流れとなっており、業界内の衛生安全基準を向上させていく狙いがある。

例えば、ハイアットホテルでは独自に取り入れている感染症防止プログラムの一環として、徹底的に掃除してから部屋にアクセスしていないことを示す「クリーン ステイ シール」を部屋の入り口のドアに貼っておくことや、紫外線などの新しい殺菌技術を利用した消毒システムを導入。ハイアットが全世界で運営している900以上のホテルでのトレーニング方法などについても公表。ハイアットの社長兼CEOであるマーク・ホプラマジアン氏は「すべてのハイアットを訪れるゲストと従業員が、ハイアットが安全に運営されていることを確信できるようにしていきたい」とコメントしている。

アフターコロナのホテル業界では、より徹底した清掃や衛生対策が行われ、デジタル化によって人と人との接触を最低限にするなど、従来の概念を覆すような接客のあり方が求められるようになるだろう。そしてさらに、そのように運営しているホテルであることを国内外に公表していくことが、安心して予約をしてもらい、宿泊してもらうには不可欠となってくる。

 

旅行者は、「衛生と安全」を求め、静かな場所を選ぶ

インドネシアの英字新聞『The Jakarta Post』は、新型コロナウイルスによる観光業界への影響はパンデミック終息後も長く続くだろうと報じた。インドネシア中央統計庁(BPS)の発表によると、3月時点での外国人観光客数は前年同期比で30.6%程度減少している。

今後、回復期に向かう観光業ではワクチンが開発されるまでの間に「新常態」が生まれ、旅行者からは衛生や健康、ソーシャルディスタンスへの対策が求められるようになると指摘。実際、同国にとって最大のインバウンド市場である中国人を対象とした調査では、旅行における主な関心事が「衛生と安全」へと変化している。そのため、観光客は混雑した場所を避け、より静かな場所を選ぶようになり、自然の観光や野外活動を好むだろうと示唆している。

(やまとごころ編集部 外島美紀子)

 

やまとごころでは、重点20市場における入国規制の状況を一覧にまとめています。
詳細はダウンロードしてご覧ください。

各国・地域の入国規制まとめ 2020.05.11更新

 

※最新版も更新されました。
5/31 更新【新型コロナ:各国入国規制まとめ 】

 

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