インバウンドコラム

【コロナ:世界の動きまとめ】UNWTO旅行再開を宣言。米エアビーCEO「かつての旅行は二度と戻らない」。観光を再開させた欧州の予約状況は?

2020.07.14

外島 美紀子

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UNWTOが旅行再開を世界に呼び掛ける中、日本では観光業需要喚起のため7月22日より『Go To トラベル』がスタートするが、日本より一歩先に旅行を再開させている欧州などの状況はどうなっているのだろうか。「かつての旅行は二度と戻らない」という、米エアビーCEOが考える新しい旅のスタイルとは。観光業支援のためイギリス政府が実施する付加価値税大幅減税などと合わせてお届けする。

 

UNWTOが、「今こそ、その明日だ」と旅行の再開を呼び掛ける

3月に「今は家にいよう、旅は明日にしよう」と呼びかけたUNWTO(国連世界観光機関)は7月8日、新たな宣言を出し「Tomorrow is now here.(今こそ、その明日だ)」と、旅行の再開を呼びかけた。

UNWTOの調査によると、新型コロナウイルスの大流行により閉ざされた国境は徐々に開かれ始めており、6月15日時点で世界の22%に当たる48の目的地で何らかの入国制限の緩和が行われ、同時に65%に当たる141の目的地は、いまだに国境を完全に封鎖し続けていたという。UNWTOは、旅行の制限解除に際し、責任を持って、安全、安心を提供することが観光業者に必要であることを強調している。

 

米エアビーCEO「国立公園やアウトドア旅行の人気が高まる」

米エアービーアンドビー(Airbnb)のCEOブライアン・チェスキー氏はブルームバーグTVに出演し、各国が国境を再開し始めたことで旅行需要の回復の兆しは見られていることなどを受け、「人々は旅行に必ず戻ってくるが、かつての旅行は戻らないことは確か。これまでとは違う形態になると考えている」とコメントした。

「旅行業界が受けているダメージは、リーマンショックの数回分に相当する」とも語り、エアビーは、3月末に予定していた上場に向け準備を進めていたが、「12年の功績がわずか4週間で失われることとなった」とも言及。同社は新型コロナウイルスのパンデミックにより甚大な損失を被っており、インタビュー中で10億ドル分のキャンセルや社員25%の人員削減についても触れている。

米国ではすでにエアビーの需要が戻ってきており「非常に好調」だという。ただし、それが一時的な需要なのか、継続的な回復となるかは、まだ見えていないという。欧州でも回復傾向にあり、特にフランス、イタリア、スペイン、ドイツで強い回復が見えること。一方、アジアではまだ回復の兆しは見られないと説明した。

アフターコロナの旅行は、ズーム会議の活用によってビジネスでの出張が減少し、アウトドア旅行の人気が高まるとし、「米国には400の国立公園があり、そのほとんどは近くに住む住民にも認識されていないが今後は国立公園へ行く人が増え、アウトドアの旅が増える」とコメントした。

 

世界各地で観光再開も、予想を下回る結果に

欧州では国境を再開し始めたが、アジア太平洋地域の観光客を今夏に誘致することは難しくなりそうだ。調査によると、アジア太平洋地域の観光客が今夏選ぶ旅行先は近場が多く、ヨーロッパの主要観光都市は含まれていない。富裕層の観光客を多く抱える中国と米国に関しても、中国からの渡航者受け入れは相互協定(EUからの旅行者の中国入国が認められること)が条件とされており、米国は感染者数が依然として急上昇しているため渡航者受け入れの対象外となっている。そのため、観光客の流入がコロナ前に戻るまでには何カ月もの歳月を要するとの見方もある。

 

ギリシャ:観光客受け入れを再開させたものの道のりは長く

ギリシャへの旅行を検討している人々は、新型コロナウイルスへの感染を懸念しているという。ギリシャの観光マーケティング戦略会社が行なった、2020年に海外旅行を計画している米国、英国、フランス、ドイツ、イタリア人を対象とした調査によると、大部分の人々が秋前にギリシャへの旅行を計画していないと回答した。今年7月〜9月に海外旅行をすると回答した人も全体の25%以下にとどまった。ギリシャは新型コロナ対策で一定の評価を得ているため魅力的な旅行先として挙げる人が多い一方、依然として新型コロナウイルスへの懸念は残されており、観光回復までの道のりは長くなりそうだ。

 

米国:オーランド、期待ほど売上伸びず

米フロリダ州オーランドでは、観光が再開したものの、思うように売上が伸びていないという。オーランドにあるテーマパーク「ファンスポット・アメリカ」でマーケティング・ディレクターを務めるジョン・チデスター氏は、フロリダ州では観光回復が予想よりも遅れていると述べ、同テーマパークでのビジネスも予想以上の不振が続いていると明かしている。また、同地のホテル「ローゼンホテルズ & リゾーツ」も、前例のない規模でのレイオフ(一時解雇)を発表。同社社長でCEOを務めるハリス・ローゼン氏は、6月にはビジネスが通常通り回復すると期待していたが実現しなかったと述べ、無念さをにじませた。

 

スペイン:コスタ・デル・ソルでは予約が少しずつ復活

スペイン南部の観光地コスタ・デル・ソルへのフライト予約は、前週(7月6日時点)と比較して55%増加した。インバウンドでは、イギリスとドイツからの観光客が最も多かったという。コスタ・デル・ソル観光局は、7月のホテルの稼働率は昨年比35〜40%、その他の宿泊施設(ホリデーアパートメントなど)では50%になると予測している。コスタ・デル・ソルでは約70%のホスピタリティ企業がすでに再開している。

 

豪州とスペイン、新型コロナ第2波で再びロックダウンの動き

そのスペインでは、新型コロナウイルス第2波への対応として再ロックダウンの動きが出てきている。スペイン北東部のカタルーニャ州は、新型コロナウイルスの第2波を受け、7月4日より一部地域で再びロックダウンを実施。同州では4日に新規感染者が400人確認されている。欧州でいち早く国境を再開したスペインでの再ロックダウンとあって、観光回復に影響しかねない事態となっている。

オーストラリア・メルボルンでも再びロックダウンを実施することを、オーストラリア南東部ビクトリア州のアンドルーズ州首相は7日発表した。これにより、メルボルン都市部の住民は6週間にわたって通勤、通学、運動、医療・介護、日用品の買い出し以外での外出が禁止される。メルボルンでは7日に新規感染者数が191人となり、過去最高を更新した。

 

イギリス、観光業界のサービスにかかる付加価値税を20%から5%に引き下げ

イギリスのリシ・スナーク財務省は8日、新型コロナウイルスのパンデミックにより打撃を受けた観光業界およびホスピタリティ業界の回復を促す刺激策を発表した。7月15日からの6カ月間、これらの業界のサービスや商品にかかる付加価値税(VAT)を20%から5%に引き下げるほか、8月の月曜日から水曜日に「Eat Out to Help Out」プロジェクトに参加した飲食店で外食すると、最大で1人10ポンドの割引が受けられるという。

(やまとごころ編集部:外島美紀子、深谷昌代)

 

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