インバウンドコラム

【世界の動きまとめ】 欧州で新型コロナ第2波。スペイン、フランス一部地域で行動制限 イギリス新規感染者5万人と警告

2020.09.22

外島 美紀子

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バカンス明けの欧州で新型コロナウイルスの感染者が再び増加し、各国が警戒を強めている。とはいえ、第1波のような厳しいロックダウンを行うのではなく、地域を限定したローカル・ロックダウンや、企業や学校を継続したままでのソフト・ロックダウンを模索している。

 

ヨーロッパで再び感染が拡大

世界保健機関(WHO)のハンス・クルーゲ欧州事務局長は、ヨーロッパで新型コロナウイルスの感染者数が再び増加しており、先週の新規感染者数が30万人を超えたと発表した。この数字は3月上旬に発表されたピーク時を上回っている。クルーゲ事務局長は、スペインやフランスなどの国が第2波に見舞われる中、ヨーロッパ諸国の半数以上の国で新規感染者数が過去2週間で10%以上増加し、このうちの7カ国では同期間に倍増していると述べた。

ヨーロッパ諸国では厳格なロックダウンにより感染者数が一時期減少し、6月には新規感染者数が激減したが、英国、フランス、スペインなどではそれ以降、右肩上がりで増加を続けている。クルーゲ事務局長は「これから始まるパンデミックは我々の手中にあります。私たちはすでに闘った経験があるので、それに再び反撃することができるでしょう」と語り、引き続き感染防止対策を行うと同時に経済とメンタルヘルスのために楽しむことが重要だと述べた。

新型コロナウイルスの世界的流行が始まって以来、ヨーロッパでは480万人以上の感染者と、22万6524人の死亡が確認されている。

 

スペイン:首都マドリードで2週間の移動制限

欧州疾病予防管理センター(ECDC)発表の、過去14日間の10万人あたりの感染者数が300人と欧州で最多となっているスペイン。非常事態宣言を解除した6月下旬の1日の新規感染者数は200人未満だったが、最近は4000人を超えている。

感染拡大を防ぐための対策も地域によって再び始まっている。北部カタルーニャ州では10人以上が1カ所に集まることを禁じる措置が3週間とられている。

首都を含むマドリード自治州政府は18日、これまで10人までとしていた一度に集まれる人数を最大6名までに制限。さらに、新型コロナウイルスの感染が再び広がっている37地区に対しては、21日から2週間、移動制限や飲食店などの営業を22時までとする措置などの実施を発表した。州人口の13%に当たる約85万人に影響する。しかし、今回の措置は、3月に中央政府が非常事態を出して実施された外出制限よりも緩やかなもので、飲食店の営業も22時まで許可されており、通勤や通学、病院への通院などのための移動はできる。ただし、各地区の出入りについては、約60カ所の検問所が設けられ、警察が許可証を確認している。

▲外出制限が始まる前日の週末、繁華街では多くの人で賑わった

 

フランス:リヨン、ニースなどもレッドゾーンに追加

フランスでも新型コロナウイルスの感染者が再び増加している。フランスの保健相は17日、これまでに新型コロナウイルスの流行レベルを示す「レッドゾーン(危険区域)に指定した3地域(マルセイユ/ボルドー/海外県グアドループ)に加え、リヨンとニースでも感染拡大抑制策を実施すると発表した。

フランス政府は以前のような「全面ロックダウンを回避する」とし、社会的距離の設定やマスクの着用、PCR検査の強化を通じてウイルスとの共存を成功させたいと述べている。そのため、大規模な国家的措置を避け、感染リスクの高い地域に絞って対策を行なっていく方針だ。

フランスではこれまでに44万2000人以上の感染者が確認されており、死者数も3万人を超えている。3月17日から厳しいロックダウンを全土で2カ月あまり続けることで、感染者数は減少したが、6月のバカンスシーズンに多くの人が出掛けたことで、再び急増。9月19日、1日の新規感染者数が1万3498人と、これまでの最多となった。パリ、ボルドー、マルセーユなどの大都市圏では入院患者が急増しており、病院は、長期化を見据えて態勢を整えつつある。

リヨンでは、屋外イベントの入場者数をこれまでの許可してきた5000人から1000人に制限、20時以降の屋外での酒類販売と飲酒も禁止された。レストランやバーの店内での飲食も着席のみとなり、バーでの立ち飲みやダンスなどは禁止される。同様の措置がマルセーユやボルドー、ニースでも取られている。

 

オーストリア:周辺国もウィーンへの警戒強める

オーストリアでは、1日に確認される新規感染者の数が、3月下旬のピーク時の最多の992人に近づいてきている。これによりオーストリア政府は、屋外や市場、レストランでのマスク着用を求め、屋内で一度に集まれる人数を10人までとするなど、さらなる措置を発表した。

オーストリアでの感染者の増加を受け、周辺国も警戒を強めている。ドイツ政府は、16日よりウィーン州を新型コロナウイルスの危険地域に指定。これにより、ウィーン州からドイツへの入国者に対して48時間以内の陰性証明書の提示、または14日間の自己隔離が義務付けられる。ベルギーも同日、ウィーン州を危険地域に指定。ウィーン州からの入国者に対してベルギーにおける検査及び14日間の自己隔離を義務付けた。

さらに、デンマークもオーストリアを危険国に指定し、19日からは留学や出張などは認められるものの、特段の事情がある場合以外、オーストリアからデンマークへの入国は認められないようになった。

オーストリアに対しては、すでにスイスがウィーン州を危険地域に。イギリス、ノルウェー、キプロス、フィンランドなどもオーストリアを危険国に指定し、ウィーン州またはオーストリアからの入国を規制している。オーストリアではこれまで累計で3万6000人の感染が確認され、758人が死亡している。

 

イギリス:飲食店の深夜営業禁止や在宅勤務を再推奨

新規感染者が再び急増しているイギリスでは、政府は22日にイングランドでの規制の再強化を発表した。イギリスでは9月になり新規感染者が再増加しており、21日の新規感染者は4368人、死者は11人に上っている。21日、政府の首席科学顧問と首席医学顧問は首相官邸で声明を出し、このまま新規感染者が週ごとに倍増する状況が続けば、10月半ばには1日の新規感染者が5万人に達するとの見通しを示している。

ボリス・ジョンソン首相は22日の議会で「危険な転換点に達した。行動を起こさねばならない時だ」と規制を再強化することを明言。午後にはテレビを通じて国民にも理解を求めた。再度の制限措置は前回とは異なり、できる限りのテレワークが推奨されるものの、レストランやパブも22時までは営業が認められる。

これまでにイギリスで確認された感染者は39万人。その内、4万1759人(9月19日時点)が亡くなっている。第1波の際、イギリス政府は当初、「集団免疫」を作り出す方針をとっており、他のヨーロッパ諸国に比べロックダウンなどの対応が遅れ、新型コロナウイルスによるイギリスの死者数は世界第5位、ヨーロッパでは最悪の数字となった。その二の舞を防ぐため第2波においては、イギリスでは早めの措置をとったとみられる。

イギリス政府は、すでにイングランドで屋内外問わず集まれる人数を6人までにするなどの制限行動制限を実施していた。感染率がイングランドで最も高いとされる北西部のボルトンでは「ローカル・ロックダウン」の措置が取られ、レストラン店内での食事が禁じられている。バーミンガムやマンチェスター周辺、ニューカッスル、イングランド北東部では、世帯間交流の禁止、レストランやパブの深夜営業禁止などの措置が導入されている。ロンドンでも、2週間ごとに感染者数が倍増しているとの報告があり、ジョンソン首相は「(家族や友人と過ごす)クリスマスを守る」ため規則に従おうと国民に呼び掛けている。

新規感染者が増加しているイギリスでは、病床確保に追われている。病床が逼迫する前に、回復期にある患者を病院から移動させ、隔離するための施設を確保しようと、利用されていない介護施設などを活用する方針を示した。また、4月に新型コロナウイルス専用の仮設病院としてバーミンガムに開設された「ナイチンゲール病院」でも、現状500人の病床数を拡大させる計画を立てている。

イスラエル:全土で再びロックダウン

イスラエルでは18日から3週間の予定で、全土ロックダウン(都市封鎖)が行われている。学校やレストラン、ショッピングモールなども閉鎖。スーパーマーケットは営業されているが、市民の外出は原則、自宅から500メートル以内に制限されている。イスラエルでは3〜5月にかけ約1カ月ロックダウンを実施することで感染が下火になったが、9月になって再拡大。人口当たりでみると世界でも最も深刻なレベルとなっている。

 

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各国・地域の入国規制まとめ

 

 

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