インバウンドコラム

【コロナ:世界の動き】ハワイ、日本人観光客の隔離免除。第2波に見舞われる欧州、規制強化。UNWTO、世界の観光業70%ダウンを予測

2020.10.28

外島 美紀子

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UNWTO(国連世界観光機関)は、2020年世界の観光業は70%減少するとの予測を発表。何百万もの雇用と企業の危機を訴えた。新型コロナウイルス感染者が再び急増している欧米。とはいえ、多くの国では、経済へのダメージを少しでも軽減するために、できるだけ全面的なロックダウン(都市封鎖)を回避した対策をとっている。ハワイ州では、日本人観光客がハワイへ到着後2週間の隔離措置を11月6日から免除することを発表した。

 

UNWTO、世界の観光業の損失はリーマンショック後の8倍以上

UNWTOの調査によると、海外から到着する人の数は前年同月比7月に81%、8月に79%急落した。例年ならば夏の旅行シーズンに当たるこの2カ月は、一年でもっとも海外旅行へ出掛ける人が多く、北半球における旅行シーズンのピークとなっている8月までの減少は、2019年の同時期と比較して7億人の減少となっており、7300億米ドル損失したこととなるこれは2009年のリーマンショック後の損失の8倍以上の損失額となる見込み。UNWTO事務総長のズラブ・ポロリカシビリは「前例のない衰退は多大なる経済的影響を及ぼしており、何百万人の雇用と企業が危機に直面している」と警告。観光を安全に再開する緊急の必要性も強調した。

世界のすべての地域で、今年8カ月の海外からの到着数が大幅に減少しているが、新型コロナウイルスがはじめに拡大した地域であるアジア太平洋地域では、到着数がこれまでに79%減少。アフリカと中東はいずれも69%減、欧州68%減、南北アメリカ68%となっている。欧州では、夏のバカンスシーズン前に国境が徐々に再開され、海外旅行へ行く人もいたため7月72%減、8月69%減と、減少は比較的小さくなった。しかしその後、感染者数が再び増加する中で旅行制限と勧告が再導入されはじめている。

UNWTOは2020年全体で70%近くの低下を予測。国際観光の回復についてUNWTOの専門家は、2021年の第3四半期になるのではないかと予測している。

 

フランス:全土で30日から1カ月、都市封鎖

フランス政府は22日、パリなどの主要都市に発令していた夜間外出禁止令を全国38カ所以上の地域に拡大すると発表した。これにより、フランスの人口の約3分の2に値する4600万人の生活に影響が及ぶ。フランスでは25日の新規感染者が5万2000人に達し、過去最多を記録。これまでの累計感染者は100万人を突破している。

フランスのマクロン大統領は28日、10月30日から12月1日までの約1カ月、再び全土で都市封鎖(ロックダウン)を実施することを発表した。生活必需品の購入や病院、運動のための1日1時間の外出以外は自宅待機が命じられる。外出時には証明書の携帯が義務付けられる。(29日更新)

 

スペイン全土に非常事態宣言。とはいえ町中の雰囲気は

▲試合観戦中、マスクを着用する姿は見られない

スペイン政府は25日、全土を対象に非常事態を宣言した。これに伴い、国内ほぼすべての地域で夜11時から翌朝6時までの夜間外出が禁じられる。ただし、地域の実情に応じて各自治体が規制時間を最大1時間変更できるとした。スペインの憲法で非常事態の期間は当初15日間と定められているが、サンチェス首相は6カ月間に延期するよう議会に提案する意向を示した。スペインの新型コロナ感染者は累計で100万人を突破し、死者は累計で3万4752人(日本時間10月27日現在)となっている。

非常事態宣言が出されているものの、夜間外出禁止に限定されているため、市内の雰囲気には春のロックダウン時のような緊張感はない。マドリード在住の日本人駐在員によると現地の状況は「立食のバーカウンターは禁止されているので、これまでよりはお客さんの数は少ないですが、それでも皆さん外出しています。とはいえ、スペインでは夕食のピークが21時なので、外出禁止の時間の前に帰宅するために、ラストオーダー22時というのは、飲食店に取っては死活問題です」と語る。

 

イタリア、シチリア州パレルモでは、立ち話禁止令

イタリア政府は25日、全土で映画館、劇場、プール、スポーツジムを26日より閉鎖し、バー、レストラン、カフェの客席でのサービス提供を18時までに制限するなどの新たな条例を承認した。25日お昼にはコンテ首相が会見をし、感染が急速に増加傾向にあるイタリアにおける新型コロナウイルスの状況と新条例の導入の背景を説明。影響を受ける業界への経済援助を約束し、「クリスマスを平穏な気持ちで迎えるために」と国民に理解を求めた。飲食店の18時閉店の規制に関しては、イタリア各地で抗議デモも勃発している。

州政府による対策も導入されており、感染が拡がる北部ロンバルディア州や南部のカンパーニア州は、外出禁止令を導入。ピエモンテ州は週末にショッピングセンターを閉鎖する措置を講じている。シチリア州パレルモでは23日より、立ち話好きなシチリア人に合わせた対策として「金、土、日の21時〜翌朝5時までの指定エリア内での立ち話禁止令」を開始。シチリア州全体での導入も決定した。

イタリアでは25日の感染者が2万1272人に上り、過去最多を記録した。

 

ドイツ、1カ月の部分的ロックダウンへ

ドイツでも22日、1日の新規感染者が過去最多の1万1287人に上った。同政府はスイス、アイルランド、ポーランド、オーストリアの大半、ローマを含むイタリアの複数地域を新型コロナの高リスク地域に指定し、24日以降、当該国への不要不急の旅行を控えるよう求めた。

28日、ドイツのメルケル首相は会見を行い、11月2日から30日まで、部分的なロックダウン措置をとることを発表した。集会は2家族、10人以下に制限。不要不急の旅行を自粛し、ホテルに宿泊できるのはビジネス目的の出張者に限定される。レストラン、バー、ジム、映画館などは閉鎖、コンサートも中止されるが、サッカーなどのプロスポーツは観客なしで開催される。

同時に、今回の措置で損失を受ける企業などへの100億ユーロ(約1兆2000億円)の支援策を実施することも発表。従業員が50人以下の中小企業へ昨年11月の売上高の75%分が補填される。

ドイツでは先週以降、1日あたりの新規感染者が1万人を超える日が続き、28日には1万4964人とこれまでで最多を記録した。(29日更新)

 

イギリス、3つのレベルで地域ごとに対策

イギリスでは感染警戒レベルを3段階(中程度、高い、非常に高い)に分け、その度合いに応じた地域ごとの対策を進めている。「中程度」から「高い」に引き上げられた首都ロンドンでは、16日深夜より厳格なロックダウン措置が講じられている。これにより、原則として屋内での別世帯との交流や集まりが禁止され、大人数で会合を行なった場合は最高で6400ポンド(約87万円)の罰金が科せられる。このほか、パブやバー、レストランの営業も夜10時までに規制。こうした措置の影響もあってか、26日には新規感染者が2万890人となり、前週から11%減少。同日の死者は102人となり、前週から35%減少した。

 

コスタリカ、全世界からの渡航者に国境を再開

これから観光シーズンを迎えるコスタリカは10月26日、これまで入国時に義務付けられていた新型コロナウイルスの陰性証明書の提出を解除した。また、11月1日以降は全世界からの渡航者に対して国境を再開する。コスタリカへ入国するには、「ヘルスパス(Health Pass)」と呼ばれるフォームに記入するほか、海外またはコスタリア国内で旅行保険に加入する必要がある。

 

オーストラリア、ビクトリア州新規感染者ゼロ

オーストラリアのビクトリア州は26日、新規感染者がゼロになったことを発表した。ビクトリア州当局は7月初旬に1日あたりの新規感染者が100人を超えたことを受け、メルボルンで再びロックダウンの措置を導入した。その約1カ月後にピークを迎えて以降、感染者数が減少の一途をたどってきた。ビクトリア州当局は、メルボルンでの制限措置を間もなく緩和するとみられている。

 

アメリカ、新規感染者数8万3700人、過去最多

米ジョンズ・ホプキンス大学の発表によると、アメリカの新型コロナウイルス新規感染者が23日、8万3700人となり、過去最多を記録した。アメリカの新規感染者数は7月に1度目のピークを迎え、9月半ばまでは4万人前後で推移していたが、10月に入ってからは右肩上がりで増加してきた。現在はミシガン州やノースダコタ州、ウィスコンシン州など、中西部が新型コロナ感染の震源地となっている。

 

ハワイ、11月6日から日本人観光客受け入れへ

ハワイ州のイゲ知事は、日本からの渡航者について、出発72時間以内の新型コロナウイルス検査が陰性であれば、ハワイへ到着後2週間の隔離措置を 11月6日から免除することを発表した。検査は日本国内21カ所の指定医療機関で受ける必要がある。ハワイでは日本からの観光客が再び訪れることに期待が高まっている。

ただし、日本政府はアメリカから日本へ入国した人に対して、新型コロナウイルスの検査と到着後2週間の自宅などでの待機を求めているため、ハワイ州から日本へ戻った際も同様の扱いとなる。

現在、ハワイへは全日空、日本航空ともに月2往復の臨時便を運航させているが、ハワイ州の発表を受け、需要の回復を見ながら、運航本数を増やすことも検討するとしている。

 

星野リゾート代表、「オリンピック需要には期待していない」

アメリカの旅行業界専門のウェブメディア「skift」は、同社が先週開催した「Skift Forum Asia」にスピーカーとして参加した星野リゾート代表の星野佳路氏の発言を掲載。星野氏は、来年の夏に予定されている東京オリンピッックの開催について、「たった2、3週間のイベントなので、私たちにとって大きな需要ではない」「ホテルの年間パフォーマンスを向上させるためにオリンピックの需要を実際に期待していない」とし、その代わりに国内旅行者をできるだけ多く獲得することに目を向けていると語った。同氏は、2018年の日本の観光市場は2580億ドルのうち、2040億ドルが国内旅行者によるものだったと説明した上で、国内旅行者の顧客を獲得すると同時に、海外旅行ができなくなった日本人、つまりアウトバウンド市場をターゲットにした戦略を進めていると発言している。

 

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