インバウンドコラム

【コロナ:世界の動きまとめ】日本政府、中国、韓国、香港などの上陸拒否解除、入国拒否対象は152の国と地域へ。台湾、国際観光再開は2021年後半か

2020.11.06

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欧米諸国が再び厳しいロックダウン措置に入る中、新型コロナウイルスの感染状況がある程度抑制できているとされるアジアでは少しずつではあるが、往来再開の動きが出始めている。日本ではこれまで159だった上陸拒否対象が152の国と地域へと緩和された。14日間の隔離免除の対象を広げたシンガポールや香港など、アジアの動きを中心にお伝えする。

 

日本政府、 9カ国・地域からの上陸拒否解除

日本政府は、11月1日より中国(含む香港、マカオ)、韓国、ベトナム、オーストラリア、シンガポール、タイ、ニュージーランド、ブルネイ、台湾の9カ国・地域の渡航中止勧告を解除した。これに伴い、これらの国は日本への上陸拒否の対象指定からも解除された。

それぞれの国と地域の在外公館において新規査証(ビザ)の申請受付がスタートした。査証の発給を受け取る際に、新型コロナの防疫措置に関し受入企業・団体による誓約書を提出が必要となる。ただし、日本人や永住者の配偶者などの、人道上の配慮の必要性がある場合は誓約書不要とされる。いずれも日本へ入国後、14日間の自宅等待機・公共交通機関を使わないことが要請される。

9カ国・地域の渡航中止勧告が解除されたことにより、日本が上陸拒否の対象とする国と地域は、152の国と地域になった。

 

台湾、国際観光の再開は2021年後半で検討

台湾交通部観光局は2日、海外との観光目的の往来が来年2021年の第4半期(10月〜12月)に再開されるとの見通しを発表した。まずは「低感染リスク国・地域」や「中低感染リスク国・地域」を対象に往来を再開する可能性もあるとし、日本、韓国、香港、マカオ、ベトナム、ニュージーランドなどが、その特定の国・地域となる可能性もあるとしている。

台湾当局は今年5月に観光関連の規制を3段階に分けて緩和していくとの方針を示し、当初の予定では今年10月〜12月にかけて国際観光の解禁を目指すとしていたが、今回の交通部観光局の発表が現実かする場合は、少なくとも1年後にずれ込む形となる。

ビジネス関係者においても、台湾入境後の隔離期間を短縮する「ビジネス・バブル」についての協議を日本政府との間に進めているが、年内に導入できる見通しは立っていない。

 

台湾最大の旅行博、ハイブリッドで開催

そんな中、10月30日には台湾最大規模を誇る旅行博「ITF台北国際旅展2020」が開幕した。例年よりも出展企業が少なく入場者数も激減したが、感染拡大が抑制されている台湾域内の旅行は人気が高く、中には初日の売り上げが昨年の倍以上に増えた企業もあったという。日本からはJR東日本や近畿グループ、愛媛県、岐阜県、日本観光振興協会など多くの企業や自治体、団体が出展。今回初出展となった静岡県熱海市は、ライブストリーミングサービス「NKB LIVE!」を活用して市の様子をライブ配信したほか、日本酒親善大使によるトークショーを迎えて熱海の魅力を発信した。

国境が再開していない今年は海外企業が販売できる旅行商品はないが、国際旅行が回復した後のインバウンド誘致を見越して各国の出展者がこぞってPRした。今年唯一航空会社として出展したカナダ航空は、コロナ対策への取り組みを台湾の人々にPRなど、安心安全なブランドイメージを発信している。

 

中国、日本からの渡航者に2種類の検査を義務付け

在日中国大使館は2日、日本から中国へ渡航する旅客が空港でチェックインする際、2日以内に実施した新型コロナウイルスのPCR検査と抗体検査の陰性証明書を提出するよう求めると発表した。感染拡大を防ぐための水際対策として行われるこの措置は、8日から適用される。そのため、8日以降に日本から直行便で中国へ行く場合は、事前に在日中国大使館指定の検査機関で2種類の検査を受け、指定のフォーマットにまとめた陰性証明書を取得。チェックイン時に原本とコピーを提示する必要がある。

 

香港、中国本土から入境する市民に対し、14日間の隔離免除

香港政府は10月27日、中国本土から香港に戻る香港市民に対し、11月より14日間の隔離を免除する方針を明らかにした。また同政府は1日、シンガポールとの間で相互往来をする際の隔離措置を免除する「トラベル・バブル」についても発表。詳細は11月半ばに公表するとした上で、今後航空券の販売をスタートし、11月末から毎日1往復の運航を再開するとの見通しを示した。一方で11月3日には、外国からの入境者に対する検疫強化策を発表。13日より、中国本土、マカオ、台湾以外の国・地域から入境するすべての渡航者に対し、ホテルでの14日間の隔離を義務付ける。この措置は香港市民も対象となる。

 

シンガポール、14日間の隔離免除を5カ国に拡大

シンガポール民間航空庁は10月29日、11月6日から中国と豪ビクトリア州からの渡航者に対し、14日間の隔離措置を免除すると発表した。これにより、当該国・地域に過去14日間以上滞在していた人は、短期滞在を認める査証「エア・トラベル・パス」の申請をした上で、6日からシンガポールに入国することができる。入国時には空港で新型コロナウイルスの検査が義務付けられるが、陰性であれば隔離措置なしで自由に行動できるようになる。滞在中は新型コロナの感染経路追跡アプリ「トレーストゥギャザー」の利用をはじめとする、同国のルールに従う必要がある。

シンガポールはこれまでにビクトリア州以外のオーストラリア、ニュージーランド、ブルネイ、ベトナムに対してこの措置を適用しており、今回中国が加わって全5カ国が対象となった。

 

韓国、社会的距離の確保レベルを5段階に細分化、全施設でマスク義務付け

韓国政府は1日、新型コロナウイルスの感染拡大防止に向け、「社会的距離の確保」のレベルを現行の3段階から5段階に細分化し、全ての施設でマスク着用を義務付けると発表した。3段階では防疫措置の差が大きく、各施設の実情に合わない例があったとした上で、細分化することにより防疫規則の順守率を引き上げたいとの見解を示した。マスクの着用は高リスク施設のみに限定していたが、この対象を全施設に拡大する。韓国では過去数日間で徐々に新規感染者数が増加しており、政府が何らかの措置を取るべきとの声が上がっていた。

韓国政府は、新型コロナウイルスの感染再拡大で配布を中断していた宿泊・旅行・外食割引券を10月30日から再び配布している。韓国の中央災難安全対策本部によると、まず1112の旅行商品の価格を30%割引する旅行割引券を提供する。また、週末(金曜日午後4時以降から日曜日まで)に3回外食し、毎回2万ウォン(約1840円)以上支払った場合は、4回目の外食で1万ウォン(約920円)を還元するキャンペーンも実施。さらに今月4日からは旅行者100万人に3万ウォン(約2760円)または4万ウォン(約3680円)の宿泊割引券を提供している。

韓国関税庁は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で営業不振に陥っている韓国の免税店に対し、在庫販売をオンラインやデパートで販売できる措置を無期限延長すると発表した。関税庁は4月末に免税品の国内販売を認め、期限は10月29日までとなっていた。

 

タイ「特別観光ビザ」取得の観光客、年内受け入れ

タイ国政府観光庁は、最長270日間の滞在が認められる「特別観光ビザ(STV)」を取得した欧州の観光客120人が年内に訪タイ予定であることを明らかにした。また、同ビザで訪れる観光客向けに向けて特別パッケージ「アメージング・タイランド・プラス」を提供するなど、来年の欧州からの観光客受け入れ拡大を視野に準備を進めている。

また、タイ政府は一定の条件を満たしたクルーズ船の乗客・乗員に対し、特別観光ビザでの入国・滞在を認める方針を発表している。

 

やまとごころでは、重点20市場における入国規制の状況を一覧にまとめています。
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各国・地域の入国規制まとめ

 

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