インバウンドコラム

【オーストラリア編】世界の国・地域別、新型コロナ最新情報:自国民の出国を原則禁止。国境閉鎖は2021年後半まで続くとの見通しも

2020.12.03

外島 美紀子

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これまでの世界全体での感染者数が6440万人を超すなど、世界中で猛威を振るう新型コロナウイルス。ワクチン承認のニュースが聞こえてくるものの、世界各国は新型コロナ感染拡大防止と経済回復の両輪を回すために苦悩しています。国・地域ごとに新型コロナウイルスに関連する情報をまとめた記事、今回は8月の新型コロナウイルス第2波を受け、厳格なロックダウンや入州制限などの措置を実施するなど、厳しい規制によって感染拡大を抑え込んでいるオーストラリア編です。第1弾の台湾情報まとめ、第2弾の香港情報まとめも合わせてご覧ください。

 

オーストラリアの出入国制限について

オーストラリアは3月20日以降、オーストラリア国民および永住権保持者、そしてその直接の家族以外の入国を禁止しました。現在もその措置は続いており、海外から入国する場合は、指定されたホテルで14日間の強制隔離が行われます。また、強制隔離中の費用3000オーストラリアドル(約24万円)は自己負担となります。オーストラリア国外からの到着においては、水際対策を徹底するため、1週間あたりの入国者を6000人に制限しています。

 

オーストラリア国民の出国について

オーストラリアは3月25日より、オーストラリア国民および永住権保持者の出国を原則禁止しています。やむを得ない理由で出国しなければならない場合は事前に申請することが可能ですが、厳格な免除基準を満たす必要があります。この出国禁止措置は当初10月24日までとなっていましたが、現在も続いています。

 

国境再開に向けた動きについて

ニュージーランドとのトラベル・バブルを一部の州で実施

オーストラリア政府は10月16日より、ニュージーランドからオーストラリアの一部の州への観光目的での入国を受け入れており、ニュージーランドからの渡航者は14日間のホテル隔離なしでオーストラリアへ入国することができます。一方でニュージーランドはオーストラリアからの自由な入国を認めておらず、到着後には14日間の隔離が義務付けられています。

オーストラリアのモリソン首相は、ヨーロッパやアメリカとの国境再開はまだ厳しいとした上で、台湾、中国、日本、韓国、シンガポールなど、アジア地域とのトラベル・バブルについても話し合いを進めていると語っています。しかし、ジョシュ・フライデンバーグ財務相はオーストラリアの国境閉鎖は2021年後半まで続く可能性があるとの見通しを発表しており、国境再開は当分先になると考えられます。

 

海外留学生の受け入れ「パイロット・プログラム」は先送り

オーストラリア政府は一時的に国外へ出ていた留学生のオーストラリア帰国を許可する「パイロット・プログラム」を実施すると発表していましたが、11月13日にこの計画を先送りするとの方針を明らかにしました。入国後14日間の強制隔離を行う施設が不足しているという理由から、当面は海外から帰国する自国民を優先して受け入れていく考えです。

 

「日本=オーストラリア」間の国際線情報

現在、日本とオーストラリアを結ぶ直行便は、ANAが「羽田=シドニー」線を往復週5便で運航しています。JALも「羽田=シドニー」線を往復週3便、「成田→メルボルン」線を片道週1便で運航しています。
ANAの「成田=パース」便、JALの「成田=メルボルン」便、オーストラリアのカンタス航空、ジェットスターは引き続き運休となっています。

 

オーストラリアの新型コロナウイルス感染者数

(2020年12月2日、オーストラリア政府発表

【累計感染者数】2万8,198人

【死亡者数】908人

【回復者数】2万5,486人

オーストラリアの新規感染者は8月にピークを迎えて以降、厳しい規制を導入したことで減少してきています。ロイターの「Covid-19 Tracker」によると、現在の1日の新規感染者は平均で22人に抑えられており、ピーク時(8月5日)の4%となっています。

 

段階的な規制緩和

オーストラリアのモリソン首相は、感染防止に伴う規制を3段階に分けて、経済活動を再開していく計画で、「3 STEP FRAMEWORK FOR A COVIDSAFE AUSTRALIA」を発表しています。ステップ1から3で緩和される主な内容は以下の通りです。

[ステップ1]

・自分の家族を除き、5名のゲストを家に招くことができる

・リモートワークが可能であれば継続する

・屋外では10名までの集会を許可

・レストランおよびカフェの店内飲食の再開、ただし1度の受け入れは10名まで(バーなどはステップ3まで閉店を継続)

・図書館、公園、公立のプール、ゴルフコースなどの再開

・日帰りの移動は150km以内まで可能

 

[ステップ2]

・スポーツジムや映画館、ギャラリーなどの営業再開、ただし顧客数は最大20名まで

・各州間の一部移動を認める

 

[ステップ3]

・最大100名までの集会を許可

・オフィスへの通勤を許可

・ナイトクラブなどの営業再開を許可

・州間の移動を許可

・ニュージーランドなど一部の海外渡航を許可

※現在は、ステップ3へ移行中となっています。

 

これまでのオーストラリアの動きまとめ

●3月20日、オーストラリア政府は国境を閉鎖

オーストラリアは、 3月20日21時から国境を閉鎖。オーストラリア国民と永住者、並びに、配偶者、法定後見人及び扶養者を含む直近の家族のみ除外して入国禁止措置を施行。ただし、オーストラリアに居住するニュージーランド国民、ニュージーランドに向けて乗り継ぎを行うニュージーランド国民も適用が除外される。また、自国に向けて乗り継ぎを行う太平洋島嶼国の国民は引き続き適用が除外された。ただし、これら入国制限の適用除外となる者がオーストラリアへ入国した際には、厳格な14日間の隔離が求められる。

 

●3月25日より、オーストラリア国民および永住権保持者の出国を原則禁止

オーストラリア政府は、オーストラリア国民または永住者の国外への出国を原則禁止した。やむを得ない理由で出国しなければばらない場合は、事前にオンラインで国境警備隊に申請が必要になり、厳格な免除基準を満たさない限り出国は許可されていない。

ニュージーランドやシンガポールなど、新型コロナウイルスの対応として国外へ出ないことを強く推奨してる国はあるが、永住者の出国を原則禁止しているのは、世界の民主主義国家の中でもオーストラリアのみ。

 

●4月1日:クルーズ船乗客を島で隔離

オーストラリアではパンデミック以降、すべての外国人の入国を禁止していたが、海外からの帰国者への強制隔離がスタート。帰国者は航空機が到着地したホテルでの2週間の隔離が義務付けられることになった。クルーズ船「ヴァスコ・ダ・ガマ」が、西オーストラリア州の州都パースに停泊する予定だったが、当局がこれを拒否したため、乗客約800人はパースに近いロットネスト島で14日の隔離を受けることに。同島に滞在している観光客などに対し、隔離施設の準備のために島を離れるよう指示が出された。(詳しくはこちら

 

●4月9日:600人の感染者を出したクルーズ船を警察が捜査

3月19日にシドニー港に到着したクルーズ船「ルビー・プリンセス」では、約2700人の乗客の多くが咳などをしていたものの、新型コロナへの感染のリスクは低いと判断され、およそ2700人の乗客全員の下船が認められた。ルビー・プリンセスに関連した感染者は少なくとも900人に上り、28人が死亡している。ニューサウスウェールズ州の警察は、同クルーズ船の感染問題について、刑事事件として捜査した。(詳しくはこちら

 

●4月17日:「海外旅行規制は2021年まで長引く可能性」を示す

オーストラリアのサイモン・バーミンガム観光大臣は「感染リスクの高い活動である海外への渡航規制への解除は最後になる」と発言。ニュース番組にも出演し、海外への渡航制限が解除できる時期の見通しは立っていないこと、クリスマス休暇に海外旅行に行けるようになっていると予測することは難しく、さらに長引く可能性もあることを示唆した。(詳しくはこちら

 

●4月21日:経営破綻した豪ヴァージン航空の買収に、中国勢などが名乗り

オーストラリア第2位の航空会社ヴァージン・オーストラリアは21日、任意管理手続き(日本の民事再生法に相当)に入ったと発表し、事実上、経営破綻した。LCCなどとの競争激化により業績不振に陥っていた同社に、新型コロナウイルスによる需要急減が追い討ちをかけた。ヴァージン・オーストラリアは買収先を探し始め、中国国際航空など10社以上が名乗りを上げた。(詳しくはこちら

 

●5月7日:ニュージーランドとの「トラベルバブル」検討開始

オーストラリアとニュージーランドは、両国間のみで渡航を再開するための最初のステップとなる「トラベルバブル」の検討を開始。ニュージーランド観光局のクリス・ロバーツ氏は、オーストラリアとの渡航規制が解除されるには、12カ月から18カ月掛かる可能性があることを示唆するとともに、台湾や香港、中国、韓国のような低リスク国・地域も、「トラベルバブル」を広げていく場所として注目していると述べた。(詳しくはこちら

 

●5月8日:経済再生のため、3段階の規制緩和を発表

モリソン首相は、1日当たりの新規感染者数が20人を下回ってきたことを受け、感染防止に伴う規制を3段階に分けて経済活動を再開する計画「3 STEP FRAMEWORK FOR A COVIDSAFE AUSTRALIA」を発表。7月までに完全に復活させるとした。

 

●6月16日:日本などからの入国者への自己隔離要請期間を7日間へ

オーストラリア政府は、海外旅行再開への措置の一環として、低リスク国・地域からの留学生およびビジネスでの入国者に対し、新型コロナウイルスの自己隔離期間を短縮することを示唆した。シンガポール、日本、香港、韓国などの感染率が低い国・地域がリストアップされていると報じられ、14日間の自己隔離期間を半分の7日間に縮める計画があることを明らかにした。(詳しくはこちら

 

●6月17日:政府観光局が国内向けに情報を発信

オーストラリア政府観光局は、国内の旅行需要を回復させるための施策として、国内旅行をナビゲートするオンラインサイト『CATCH UP ON LIVE FROM AUS』をスタート。オーストラリアの魅力を再発見し、国内旅行者が訪れたくなるような情報を発信した。(詳しくはこちら

 

●6月30日:7月下旬から国境再開の方針

モリソン首相は、国境の再開が雇用確保につながるとの見解を示し、南オーストラリア州とタスマニア州で、7月下旬に国境を再開すると発表した。(詳しくはこちら

 

●7月1日:EU、オーストラリアを含む15カ国からの入国を受け入れの方向

欧州委員会は6月30日にブリュッセルで会議を開き、7月1日よりオーストラリアを含む15カ国からEU(欧州連合)への渡航制限を解除し、観光客やビジネスでの入国を受け入れる方針を明らかにした。(詳しくはこちら

 

●7月23日:2021年1月から国境制限を段階に解除?

オーストラリア政府財務省の発表した連邦予算見通しでは、新型コロナウイルス感染拡大防止のため実施している国境制限を、2021年1月から「段階的に」解除すると仮定していることが明らかに。その場合も2021年6月30日まで14日間の隔離措置は続くと財務省は想定している。

 

●8月2日:新たなロックダウンがスタート

新型コロナウイルスの第2波の影響で、ビクトリア州を中心に新規感染者が増加。州政府は8月2日〜9月13日までの6週間、州都メルボルンに住む約500万人に対して、日中の買い物に行く際は1家族1人、外での運動は1人1時間に限定。夜8時〜翌朝5時までの時間帯を外出禁止とした。(詳しくはこちら

 

●8月16日:「オーストラリア=ニュージーランド」間のトラベルバブルが延期に

オーストラリア=ニュージーランド間で予定されていた「トラベルバブル」は、オーストラリアのビクトリア州で再び感染が拡大していることを受け、少なくとも年末まで延期されることが決まった。ニュージーランドのアーダーン首相はオーストラリアとのトラベルバブルについて、「数カ月後に延期されるだろう」との見解を示した。(詳しくはこちら

 

●9月16日:海外旅行とクルーズ船の禁止をさらに3カ月延長

オーストラリア政府は、海外旅行とクルーズ船の禁止をさらに3カ月延長すると発表した。オーストラリア人は少なくとも2020年12月17日まで、原則海外に向けて出国することができず、乗客100人以上のクルーズ船の出航も引き続き禁止される。(詳しくはこちら

 

●出国禁止措置、12月17日まで延長

3月25日より自国民に対して実施している出国禁止措置。10月24日に終了予定だったが、12月17日まで延期することを発表した。

 

●10月7日、国境閉鎖が2021年後半まで続く見通しを示唆

連邦財務長官のジョシュ・フライデンバーグはプレスクラブ演説で、オーストラリアの国境閉鎖は、2021年後半まで続く可能性があるという見通しを明らかにした。

 

●10月16日より、オーストラリア=ニュージーランド間でトラベル・バブル

ニュージーランドからオーストラリアの一部の州への入国を、14日間の検疫期間無しで受け入れを開始。ニュージーランドからの訪問者は、当初はニューサウスウェールズ州(シドニー等)とノーザンテリトリー準州(エアーズロック、ダーウィン等)、南オーストラリア州(アデレード等)に限られた。入国制限緩和はニュージーランドからオーストラリアへの入国のみの措置となり、ニュージーランド人が帰国した際には引き続き管理隔離を受ける必要がある。
日本などその他の国や地域との往来再開についてはまだ具体的になっていない。

 

●10月26日:ビクトリア州新規感染者ゼロ

オーストラリアのビクトリア州は10月26日、新規感染者がゼロになったことを発表した。ビクトリア州当局は7月初旬に1日あたりの新規感染者が100人を超えたことを受け、メルボルンで再びロックダウンの措置を導入。その約1カ月後にピークを迎えて以降、感染者数が減少の一途をたどっていた。(詳しくはこちら

 

●11月13日:自国民を優先的に受け入れる方針

オーストラリアのモリソン首相は13日、留学目的で同国に滞在していた外国人留学生への入国制限の解除を先送りし、海外から帰国する自国民の受け入れを優先する方針を明らかにした。豪政府は現在、1週間あたりの帰国人数に上限を設けており、帰国後は2週間ホテルで隔離している。しかし、多くの自国民が帰国を希望していることを受け、隔離施設が不足していることを指摘。2021年から徐々に留学生の再入国を受け入れる方向で検討していたが、今後の見通しが立っていない。(詳しくはこちら

 

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