インバウンドコラム

オーストラリア人がもっとも検索しているデスティネーションは?!—在豪30年以上のハイランド真理子が伝えるオーストラリア

2019.04.10

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筆者は、オーストラリアに1984年以来住んでいるが、この処どこにいっても「Are you Japanese?」と聞かれる。
日本人は「汚い住み方をするから」「日本人と戦ったことがあるから」などの理由でアパートの入居を断られた時代や、戦争花嫁が運営していたお店を含め、シドニーに日本食レストランがわずか2店舗だった時代を知っているが、今の日豪関係は全く異なっている。

なぜ「Are you Japanese?」と聞いてくるかというと、私が日本人だったら、彼等には聞きたいことが一杯ある。「日本のどこにいけばいいのか」とか、「何を買ったらいいのか」、「日本に行くシーズンはいつがいいのか」など、日本人にあれこれ直接聞きたいのだ。

それは、かつてネガティブなイメージを持っていた、あるいは、日本は遠いという“間違った”イメージを持っていた時代と完全に変わってきている。そして、さほど変化もないように見えるオーストラリア人市場も、そのトレンドはどんどん様変わりしており、変化のスピードも速い。
どうしたら、そのオーストラリア人市場を的確に捉えることができるのか。これから、当コラムでひも解いていきたいと考えている。

2018年にオーストラリア統計局が発表した調査結果では、オーストラリア人がもっとも多く出かけた外国の1位はニュージーランド、2位インドネシア、3位アメリカの順になっている。ニュージーランド人の10%はオーストラリアに住んでいると言われていることもあり、身近な国である隣国ニュージーランドや、オーストラリア人にとって異文化体験ができるインドネシアのバリは、長年人気のデスティネーションとなっている。
しかし、オーストラリアの著名な旅行ウェブサイトTraveller.com.auが発表した、『2018年デスティネーション検索数ランキング』からは、全く違うオーストラリア人の動向が見えてくる。

Traveller.com.au 2018年デスティネーション検索数ランキング
1位 日本
2位 シンガポール
3位 バリ
4位 ベトナム
5位 ロンドン
6位 スリランカ
7位 ハワイ
8位 香港
9位 イタリア
10位 ニューヨーク

南半球に位置するオーストラリアと日本の季節はちょうど反対。オーストラリアの夏の長期休暇シーズンが日本の冬となっており、夏は40度を越すこともある灼熱のオーストラリアに暮らすオージーにとって恰好の避暑地となっている。オーストラリア人はスポーツ好きな人が多いが、真夏に冬のスポーツが楽しめるデスティネーションとして、日本は注目を浴びているのだ。前出のオーストラリア統計局の発表によると、2018年に日本へ旅行したオーストラリア人の数は、460,700人(※)で出国先としては第7位であったが、渡航数の多いバリよりも検索数としては上位になっている。オーストラリアから日本への旅行者はここ10年間上昇し続けており、年間に訪日するオーストラリア人の数は10年前に比べると340%増となっている。

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筆者は、オーストラリアの老舗スキー雑誌『Snow Action』のディレクターも務めているので、次回はオーストラリア人とスキーについても話をしていきたい。ところで、オーストラリア人が日本へ初めて行く場合、スキー目的で行くことが多いが、最近では一度スキーで訪日した人たちが、日本の別のシーズンにリピートするケースも増えている。こちらについても、今後紹介していきたい。

※JNTO発表の訪日外客数によると、2018年日本を訪れたオーストラリア人は552,440人となっている。数字の差は、中国やシンガポールなど他の東南アジアの国に住んでいるオーストラリア人が日本を訪れたからと推測される。

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『ハイランド真理子のオーストラリア入門』:過去のコラムはこちら

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