インバウンドコラム

中国の11月11日は「独身の日」。1日で5兆円を売り上げる一大ECセールイベントとは?

2018.10.29

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最近、中国の「独身の日」という言葉を日本でも耳にすることが増えてきました。とはいえ、実際には「なんとなく知っているけれど、具体的にどんな日かは知らない」という方も多いかもしれません。ここでは、独身の日についてわかりやすく説明していきます。

独身の日とは?

もともと中国の11月11日は「光棍節(こうこんせつ)」と呼ばれており、日付の1人を連想させる「1」が並ぶことから一般的に独身の日という意味合いが広まりました。中国語で「光棍」とは独身者を意味します。1993年に南京大学の学生たちが始めた記念日でしたが、メディアを通じて一般の人々へも広まり、独身の若者たちが集まってパーティーを開いたり、独身者が結婚相手を探す日となり、贈り物をすることも流行しました。

 

独身の日が1年で最大のセール日となった理由

2009年、そこに目をつけたアリババグループ(以下アリババ)は、同年11月11日に中国でECサイトの大規模な販促イベントを開催。第1回目の売上高は予想以上の数値をたたき出し、以降、独身の日(双11、ダブルイレブン)として中国全土に広がり、アリババを筆頭に、各大手ECサイトが一斉に大規模な販促イベントを行うようになりました。独身の日の規模は拡大の一途を辿り、現在ではECサイトのみならず百貨店やスーパーなどでもセールが行われる一大商戦の日となっています。

 

アリババの独身の日の取引額は8年間で3200倍!

アリババが運営するECサイト天猫(Tmall)の、2017年における独身の日の取引額は、1683億元(約2兆8594億円、1元17円換算)に達しました。セールを始めた2009年の取引額0.52億元(約8.8億円)から急速に成長し、およそ3,200倍もの数字を記録しています。また、取引額は11月11日に日付が変わってから2分で約1,130億円に達し、2時間で総取引額の約半数を超えたそうです。アリババに続くECサイトシェア第2位の京東(シンドン、JD.com)が運営するECサイトの取引額も、独身の日1日で1271億元(約2兆1600億円)に上っています。上位2社(シェア8割以上)の取引額だけで約5兆円に達しているのです。

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▲アリババが運営するECサイト天猫

 

日本国内のECサイトと比較すると、例えば、楽天の2017年の国内EC流通総額は約3兆3912億円、Amazonの日本事業における2017年の国内EC流通総額は約1兆3335億円です。これら1年間の数字と、アリババの独身の日の取引額(約2兆8594億円)を比べると、いかにこの1日の数字が大きいかが見えてきます。

 

昨年の独身の日セールでは、中国ブランドが大健闘

アリババでは、前夜からカウントダウンイベントを始め、お祭りムードを盛り上げます。ストリーミング中継では海外から著名人を招き、過去にはニコール・キッドマンやベッカム夫妻、ケイティ・ペリーなども登場し、視聴者数は1億5000人から2億を記録したといいます。また、独身の日の直前にはクーポン券や紅包(ホンバオ)と呼ばれるお年玉を事前に配布して、消費者の購買意欲を掻き立てます。Tmallでは中国企業の健闘も目立ちます。近年では中国ブランドも信頼を得るようになってきており、独身の日の粉ミルク部門ではビーイングメイトやジュンラーバオ、紙オムツ部門ではチャオスやレルヒ、化粧品部門では百雀羚といった国産ブランドが上位にランクイン。家電部門ではミデアとハイアールが日本のシャープ(3位)をおさえて1、2位を獲得し、トップ10に中国ブランドが8社ランクインするなど、国産ブランドへの人気が高まってきています。

 

独身の日セールで人気の日本ブランドは?

2017年、アリババの独身の日セールに参加したのは14万件の会社やブランドで、そのうち6万件は海外ブランドです。越境EC(天猫国際)の国別ランキングでは、1位が日本、2位がアメリカ、3位がオーストラリア、4位がドイツ、5位が韓国の順となりました。

ブランド売り上げ総合ランキングでは、日本のユニクロが6位にランクイン。ユニクロは女性服部門で1位、男性服部門で2位と健闘しています。商品をネットで購入し、全国のユニクロ実店舗で商品を受け取る場合、10元(約170円)を値引きするというO2O(Online to Offline)サービスが人気の引き金となったようです。

一方、カネボウは独身の日に化粧品ブランド「KATE」の看板を渋谷109に打ち出すなど、大がかりなキャンペーンを展開して訪日中国人を驚かせました。また、天猫国際で独身の日に最も人気が高かった日本製品は、MTGの美顔器「ReFa」、2位以下の商品にはメリーズ、ウテナ、ドクターシーラボ、ムーニー、メリーズと続き、化粧品や紙オムツの人気が目立ちます。

■2017年天猫国際「独身の日」売り上げ高TOP10ブランド

1位 Suning蘇寧 (中国/デジタル製品)
2位 Xiaomi小米 (中国/総合家電)
3位 Huawei (中国/通信家電)
4位 Haierハイアル (中国/家電)
5位 Nike(アメリカ/スポーツ製品)
6位 Uniqloユニクロ(日本/衣料品)
7位 Sanzhisongshu.Tmall.com(中国/食品)
8位 Meizu(中国/電気機器)
9位 Midea(中国/総合家電)
10位 Adidas(ドイツ/スポーツ製品)

 

日本国内でも、独身の日にセールを行う動きが活発化しています。例えば流通最大手のイオンでは、この独身の日に合わせたECの大型セールを昨年より開始しました。「サイバー“e”セール」と銘打ち11月10日〜17日までの8日間、11万1111円の化粧品セット、1万1111円の紳士スーツ4点セットを売り出すなど「1」にちなんだ価格で販売しています。

 

越境ECとインバウンドの密接な関係

多く中国の消費者は、アリババなどが運営する越境ECサイトを使って日本の商品を購入しています。JETROが2017年12月に発表した「中国の消費者の日本製品等意識調査」によると、越境ECで日本の商品を購入する理由として、「日本に旅行をしたときに購入して気に入った製品だから」が40.4%を占める2位となっています。訪日経験が自国に戻ってからの日本製品の購入につながり、その評判が周りにも広まって、訪日経験のない人も日本への旅行や日本製品に関心を持つ。こうした点からも、越境ECとインバウンドは密接な関係にあることがわかります。


まとめ
 

中国では一大セールイベントとして盛り上がりを見せる独身の日。日本の大企業もこぞってTmallへの進出を果たし、大きく売り上げを伸ばしています。今後、日本でもますます存在感を高めていくと考えられる独身の日は、インバウンド関係者にとっても意識しておきたい1日となりそうです。

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