インバウンドコラム

流れに乗るか、乗らないか。日本版キャッシュレス時代の幕開け

2018.12.10

外島 美紀子

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訪日外国人旅行者は日本滞在中、どういったことを面倒と感じたのだろう。日本語でのコミュニケーション? それともネットアクセス?
2017年観光庁が実施した『訪日外国人旅行者の国内における受入環境整備に関するアンケートによると、「クレジットカードの利用や両替」が上位に挙げられていた。

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海外ではキャッシュレス化が進んでいる。2018年5月経済産業省が発表した『キャッシュレスの現状と今後の取組に掲載されている資料によると、お隣りの韓国では既に89%、中国は60%、イギリスは55%と日常の買い物の大半はカードや電子マネー決済となっている。スウェーデンの首都ストックホルムの公共交通機関ではもはや現金が利用できないそうだ。

Apple Pay(アップルペイ)やAlipay(アリペイ)などのスマホを使った決済方法は早くて手軽、見慣れない通貨の小銭が財布にじゃらじゃらといった面倒もないので、旅行者は気軽に海外でのショッピングを楽しむことができる。

ところが、日本におけるキャッシュレス化は18%と低く、日本はすっかりキャッシュレス後進国になってしまっている。特に地方部では、現金でしか利用できない宿泊施設や店舗がいまだに多く存在する。

タクシーや土産店などは決済方法を限定することで、実は海外からの旅行者が気軽に利用することを妨げたり、さらに多くのお金を日本で使ってもらう機会を逃しているのかもしれない。

店舗がキャッシュレス化できない理由として、端末負担コストや加盟店手数料の問題などが挙げられるが、実際には端末は無償で提供されていたり、手数料は売上がアップすることで賄えるといった統計データも公表されている。

日本でもキャッシュレス化を推進しようと、今年4月に経済産業省は『キャッシュレス・ビジョンを公表。2025年の大阪・関西万博に向けて、キャッシュレス決済比率40%の目標を提言した。

政府は来年10月に予定されている消費増税への経済対策として、クレジットカードや電子マネー、QRコードなどの決済時に5%のポイント還元を検討する考えも表明している。

 

日本の電子マネー決済のシェアを握るのはどこだ?!

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▲この記事を書くにあたりPayPayの登録をしアップルウォッチなど64,573円分購入したところ、12,914円が還元されることになった

そんな電子マネー後進国の日本における市場シェアを握るべく、LINE株式会社が提供するLINE Pay(ラインペイ)や、楽天株式会社の楽天ペイ、株式会社AmazonのAmazon Pay(アマゾンペイ)など、多くの企業がスマホ決済サービスに参入し始めているが、まだ抜きん出た一社は表れていない。

そんな12月4日、ソフトバンクとヤフー両社によって2018年6月に設立されたPayPay(ペイペイ)株式会社によるスマホ決済サービスPayPayの「100億円あげちゃうキャンペーン」がスタート。1人あたり25万円以内の買い物で2割が還元されるというキャンペーンが大きな話題となった。

PayPayは、先発のスマホ決済サービスと同じくキャッシュレスで支払いができる、いわば中国のAlipay(アリペイ)の日本版のサービス。決済方法はいたってシンプルで、スマホを使って提示されたQRコード、あるいはバーコードを読み取り、あとは金額を確認し承認するのみで支払いが完了する。何を買ったのかもアプリ内にリスト化して保存されるので、現金より支出の管理ができそうだ。100億円という大きな金額で一気に利用者も増えたが、果たしてこのシステムが日本版キャッシュレスを牽引するものとして定着していくのだろうか。

日本人がキャッシュ決済を好む理由として偽札の流通が少ないといった現金に対する信頼感や、財布を盗まれても戻ってくる盗難の少なさなどが考えられるが、キャッシュレス化は近い将来、確実にやってくる。

そうであれば、今のうちにキャッシュレスに移行し、還元ポイントを楽しんだ方がいいかもしれない。何よりインバウンド業界に携わるものとして、キャッシュレス決済を体験しておく方がいいだろう。

 

※PayPayの「100億円あげちゃうキャンペーン」は、還元の総額が100億円分に達するか、来年の3月末まで続けるとしていたが、開始わずか10日目の12月13日に還元総額が100億円に達したために終了した。

 

プロフィール:Chikara
京都生まれ、英国育ち。ロンドンや東京の金融機関のリサーチャーとして、企業分析や業界調査などを担当。これまでの経験を観光分野に活かすべく、現在は京都で研究中

 

 

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