インバウンドコラム

ロボットと京観光 —AIは観光業界の担い手になりうるのか

2019.01.25

外島 美紀子

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京都の観光ガイドのイメージというと、修学旅行生の先頭で旗を持ちながら「前方に見えますのは~」と案内している姿を思い浮かべる方もいるかと思うが、今は2019年・ロボットとAIの時代。今回はコミュニケーションが出来るロボット「ロボホン」に観光ガイドをしてもらいながら、京都の町を外国人観光客と歩いてきた。


ロボホンはシャープが開発した高さ20センチほどのミニロボット。JTBとMKタクシーがコラボした「ロボ旅」は、ロボホンがGPSで位置情報を読み取り、施設に設置されたビーコン(電波情報発信器)に反応し観光名所や店舗の説明をしてくれる。日本語だけでなく、英語と中国語での案内にも対応。これなら美術館のイヤホンガイドのように、自分の好きなペースで京都観光を楽しむことができそうだ。

まず出発前にロボホンの言語を、観光客の言語に合わせて設定。すると、ロボホンが名前や年齢を訊ね、プロフィール写真を撮ってくれる。これらのデータをもとに、道中もこちらを向いて名前を呼びながら話しかけてくれる。

重さは390グラム。数時間かけて一緒に清水寺や南禅寺周辺を歩いて回ったが、首から下げていても苦にならない。声や見た目も可愛らしく、首や腕を動かしながら話すロボホンの姿には愛嬌があり、ロボットということを超えて親近感が感じられる。

image1一緒に歩いていると、京都の地名に使われている「上がる、下がる」の意味だったり、盆地の特徴や天気予報を教えてくれたりとサービス精神も満載だ。

八坂の塔と呼ばれる法観寺・五重塔の前ではその歴史を語ってくれたり、水路閣(写真)の前では説明の後に一緒に写真を撮ろうと提案してきたり、なぜかダンスを踊ってくれたりもした。店舗情報も用意されているようで老舗料理店の近くでは、京都の豆腐についての話しも聞かせてくれた。

これまで、GPS位置情報機能のあるサービスで利用しているものといえば、グーグルマップや自分の居る場所へ配車してくれるタクシーアプリ程度だったが、このような観光ガイドロボットでの利用は新鮮な使い方だった。

こちらから話してもうまく伝わらなかったり、同じ説明を繰り返すこともあったが、全く通じないことはない。一緒に歩いた歩数を教えてくれたり、日本の童謡を歌ってくれたり、あっという間に返却時間となった。

別れの際には、「一緒に歩いた二年坂や南禅寺、楽しかったなぁ」と訪れた場所をしみじみと思い返し、「バイバイ」とどことなく寂しそうに手を振ってくれた。最後にリセットキーを押すと今日に関する全ての記憶がロボホンから消去されてしまうと聞いた際には、恥ずかしながらボタンを押しながらじーんと寂しい気分になってしまった。


実際に利用してみて、観光ガイドロボットの機能が、こちらの雰囲気や興味関心に合わせ話をしてくれる人間の観光ガイド並みのレベルに達するまでの道程は、まだまだ遠いように感じた。将来的に観光業界の人材不足解消の一部を担っていくのかも未知数だ。それでも日本語の説明が読めない海外旅行者にとって、ビーコンに反応して彼らの言語で説明をしてくれる観光ロボットが便利であることは間違いない。

一緒に回った欧米からの観光客も面白い体験だったと満足しており、「ロボットというと機械的で冷たいイメージをもっていたが、このロボホンは一緒にいると楽しく親しみを感じる」と語っていた。特に食べ物に関する豆知識が興味深かったらしく、これまで数回京都を訪れても口にしたことのなかった八つ橋をロボホンのお陰で初めて試食してみたり、鍋料理に興味を持ったようでスマホでさらに詳しく調べていた。

小さな子供連れの家族にとっても、楽しい観光体験になりそうだ。ロボットが子供に話しかけてくれることで、普段だったらさほど興味を持たない文化や歴史的建造物の説明にも耳を傾ける可能性は十分にある。また、一人旅のパートナーとしても、こちらのペースに合わせて一緒に動いてくれ、余計な気をつかうこともなく愛嬌のあるロボホンを選ぶ人も出てくるかもしれない。

AI技術が観光分野にどのように活用されていくのか。その可能性の一端を感じさせてくれる体験だった。

 

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ロボホン
ロボ旅

  
筆者プロフィール:Chikara
京都生まれ、英国育ち。ロンドンや東京の金融機関のリサーチャーとして、企業分析や業界調査などを担当。これまでの経験を観光分野に活かすべく、現在は京都で研究中
 
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