インバウンドコラム

タイ国際旅行博(TITF2018)に見るタイ人旅行者の最新傾向

2018.03.01

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毎年2月と8月に開催されるタイ国際旅行博(Thai International Travel Fair)。
第22回となった今回、2018年2月7日〜11日に開催された会場の模様をレポートします。個人旅行化に拍車がかかったといわれるタイ人旅行者の最新動向が垣間見えました。

 

■日本からの出展ブースが人気

TITFは世界各国からの観光事業者が出展、来場者が30万人〜50万人ともいわれるBtoCの旅行博覧会です。会場であるバンコクのクイーンシリキット国際会議場は、MRTの駅に直結。10時〜21時までオープンし、誰でも無料で入場できます。2月に開催される今回は、タイの正月である4月のソンクラーンに向けての旅行情報の発信、航空券やホテルの宿泊券、パッケージツアーなどが特別価格で販売されています。

会場は各国の政府観光局や自治体、エアラインといった展示と情報発信がメインのブースと旅行会社や旅行関連グッズの即売会のブースと分かれています。

観光局のゾーンの一番多くを占めるのは、桜のモチーフをメインにした日本のゾーン。JNTO(日本政府観光局)を中心に、日本各地から自治体やDMO、観光協会、ホテルや鉄道、小売店関連のブースが70以上並びます。私が訪問したのは2月8日(木)の午前中で、まだ来場者はさほど多くないものの、やはり日本ブースが一番人気。アンケートにプレゼントをつけたり、パンフレットを配布したりしながら質問への回答やアピールを懸命に行っています。

 

※週末の盛り上がりは、通路を人が埋め尽くして身動きできないほど。TITFの公式ホームページでその写真も掲載されています。
http://www.titf-ttaa.com/?lang=en

 

1_Japanarea平日の昼間でも賑わうジャパンブース

 

2_jntoboothenqueteJNTOのアンケートブース

 

■リピーター増の影響か、穴場や詳細情報を求めている

出展者やタイ人の来場者にヒアリングしたところ、タイ人旅行者の最新の傾向が見えてきました。

 

①キラーコンテンツは桜、雪、花などの四季の風景、グルメ

これだけ書くと「今までと変わらない」という印象をもたれるかもしれません。

もともと日本の情報をよく知っているタイ人ですが、知りたい情報の細かさや具体性がさらに進化してきたといえます。
「桜を追いかけて、日本を移動したいのだけど、東北エリアではいつ?」
「うなぎの美味しい店の具体的な場所を教えてほしい」

特に、グルメに関しては、店名や位置などを確認する人も多いそう。ブース出展者も各地の名物グルメに関する情報を盛んにアピール。手応えを感じていました。

タイからのアウトバウンドで最も成功しているといえるH.I.Sのブースでも、各地の格安パッケージのほか、日本の雪体験、桜をテーマにした商品も目立ちました。また、JTBの一部コーナーでは、北部九州のラーメンを食べ歩くモデルルート情報もあり、グルメへの関心の高さをうかがわせました。

 

3_hisbooth日本の商品が並ぶHISブース

 

4_northkyushuramenJTBのコーナーには北部九州のラーメンを食べ歩く企画展示も

 

②王道、有名なエリア、パスだけでなく周辺や穴場の情報が人気

 TITFでは、お得にエリアを周遊するパスが売れる傾向にありました。引き続き人気はあるのですが、
「関西だったら大阪、京都の情報ではなく、三重や和歌山、徳島などの情報をよくきかれる」
「東北は桜やわんこそばなど好感触。旅行会社との商談会でも、いい商品造成が進んだ。宿や体験プログラムなど具体的な情報が喜ばれる」と、ブース担当者。王道やゴールデンルート以外の情報を求めている人が増加傾向にあることがわかります。

そういえば、旅行博会場ではありませんが、HISがバンコクオフィスを構えるスクンビット駅の大画面スクリーンには、千葉の観光情報が大々的に映し出されていました。
「日本ではそこまでではないが、タイ人には有名」なディスティネーションは実はたくさん出てくるかもしれません。

 

③タイ語による、タイ人のための情報発信

私がはじめてTITFに足を運んだのは2013年2月。その当時は、英語のパンフレットが主で、「写真でもわかれば」と日本語の情報も少なくありませんでした。

それから5年。タイ語によるパンフレットがあふれ、補足情報分として英語情報が出されるほど、タイ人にダイレクトに響く情報が発信されています。ガイドブックともいえるほど厚いパンフレットには、個店が入った情報を掲載。沖縄のブースでは、タイ語による(レンタカー)ドライブガイドも登場しています。

ステージでは、北九州、下関で映画ロケを行った「Love Song」のPRタイムも人気でした。タイ人の嗜好性を反映したプロモーションやモデルコースが今まさに花開いている様相です。

 

5_tahipanhJNTOのブースに並んだタイ語パンフレットの数々

 

■日本人気はいつまで? これからの課題

「日本のためのTITF」といっても過言ではないほどの人気ですが、これに慢心しては危険ではないかと思っています。たしかに、他の観光局のブースよりは断然人手が多いのはJAPANブース。旅行会社の商品も多いです。

しかし、ブースの全体デザインとして韓国はデザイン的にも非常に洗練されていて、何が目玉なのか、ひとめでわかりやすい構成になっています。「韓国で美しくなろう(美容医療)」と言い切るコンテンツを絞る潔さは「なんでもあるよ」と言ってしまいがちなプロモーションのあり方への指針を示しているといえます。

 

6_koreaboothデザイン的に統一感がある韓国ブース

また、韓国ブースでは、タイ南部に多いといわれるムスリムのための「ムスリムフレンドリーガイド」も地方別に作られており、必要な情報がきちんと準備されています。

ここ最近、タイ人のアウトバウンドにおいて、やはりヨーロッパなどの商品の価格帯が日本の高価格商品と並ぶほどになってきており、勢いを感じます。また、スタークルーズをはじめクルーズ商品のPRもよく目にするようになりました。旅行のリピーターが多くなるとそれだけタイ人の目も肥え、多くのディスティネーションが競合になってきます。

日本へ、もっとまだ見ぬ地方へ足を運んでもらうには、しっかりとタイ人が求めることに向き合うこと、タイ人を理解することを地道に続けていくことしかないと思います。そのためには観光立国として大先輩であるタイへ行くことも重要。インとアウト、双方向で交流することによってより深化していくものだと感じたTITFでした。

 

 

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