インバウンドコラム

世界の富裕層が注目するガストロノミー 福岡は世界に名だたる「食の都」になれるのか

2018.11.16

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「どんな小さな村でもエリアでも有名になる」可能性を秘めているのが『ガストロノミーツーリズム』。定義はさまざまだが「その土地の気候や風土によって育まれた独自の食、食文化を楽しむ旅」と言えよう。ユネスコの世界無形文化遺産に登録された「和食」はもちろんだが、全国いたるところに独自の食文化がある日本は、ガストロノミーツーリズムにとって「宝の山」なのだ。

今回のコラムでは東京で10月3日、福岡で10月5日に開催されたイベント「Open to the New Shade  Feel Thai diversity ~アユタヤ絆駅伝参加ツアー告知記念イベント~」を通して、今後の福岡で起こるガストロノミーツーリズムの可能性を考える。

 

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▲10月5日 福岡でのイベント開催の模様

 

タイと日本がチームを組んでタスキをつなぐ「絆駅伝」

今回のイベントによって告知された『アユタヤ絆駅伝』は、日タイ修好130年を記念してタイの古都アユタヤの世界遺産公園を走るユニークな駅伝大会として2017年3月に初開催。来年の1月に第3回目が開催となる。両国から400チーム1,600人以上が参加し、タイ人と日本人が一つのチームとなりタスキをつないで走る駅伝は、まさに絆EKIDENNとなっており、日本と同じくランニング熱が高まるタイでも注目を集めている。
(アユタヤ絆駅伝 日本語詳細はこちら

今回、東京と福岡で開催された絆駅伝の告知イベントは、タイでミシュランガイドが発刊されたことにちなみ、 “ガストロノミー”に焦点をあてたイベントとなり、タイの有名レストラン「Gaggan」のオーナーシェフ、ガガン・アナンド氏も参加した。

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▲左:2017年 アユタヤ絆駅伝のスタート付近 右:日本人とタイ人が4人1組になって走る。メダルをあわせると1つに

 

タイの「Gaggan」と福岡の「Goh」が、福岡でコラボ店を2021年にオープン

ご存知のように、タイは世界からの観光客が集い、2017年の外国人訪問者数では世界第10位、3,538万人となっている(日本は世界第12位、2,863万人)。首都バンコクは、多様な世界各国の有名店が揃う、グルメの都市でもある。

そんなタイ・バンコクでレストランを営むオーナーシェフのガガン・アナンド氏は、“世界一予約が取れないレストラン”といわれたスペインの「エル・ブジ」の出身。バンコクにあるインドレストラン「Gaggan」は、「Asia’s 50 Best Restaurants(アジアンべストレストラン50)で2015年から4年連続でNo.1を受賞、「The World’s 50 Best Rstaurants(ワールドベストレストラン50)2018年」でも5位に選ばれている名店だ。数カ月先まで予約がとれず、世界各国のゲストがテーブルを埋め尽くし、いろんな言語で話をしながら料理に舌鼓を打つ。

ガガン氏がインド出身ということもあり、インド料理をベースにしているが、様々な要素が含まれた革新的な料理で、最初に渡されるコース料理のメニューは絵文字のみというのも有名だ。つまり、出される料理にどのような素材が使われているのか、食事中には分からないこともある。なお、食後に説明付きのメニューが渡されるため、その時に初めて食べた料理の素材を知ることもある。これは「いろんな国の人たちが集う中で、さまざまな素材が含まれているけれど、それを目に見えない形で表現していく」という思想からという。

「自分のレストランでは、ゲストは平均800ドルを使ってくれます。ホテルの宿泊費や観光に使う金額よりも遥かに高い金額を1回の『食』に費やすのです。それだけの価値のある体験を求めています」

 

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▲イベントでは、両氏合作のスペシャルカレーも振る舞われた

そんなガガン氏が、福岡で開催された絆駅伝のPRイベントに登場。福岡のフレンチレストランで、2016年のアジアンベストレストラン50に九州から唯一入賞した「La Maison de la Nature Goh」のオーナーシェフ・福山剛(Goh)氏とのトークショーが行われた。

トークショーでは、「2021年にはお互いの店、タイのGogganと、福岡のGohを閉じて、福岡に”Gohgan”という二人の店を出す」という2017年に発表された計画が、順調に進行中という発表もあった。福岡にとっては、大変うれしいニュースである。

 

世界から「Gohgan」「九州」の味を求めて食通がやってくる日も近い

ガガン氏と福山氏が出会うきっかけは、友人のすすめだったという。ガガン氏は「中国の友人に“どこに行ったらいいか”ときくと、“とにかく九州に行ったらいい”と言われた。それまでは九州がどこにあるかも知らなかった」。

実際に訪れた福岡で、食事をしたのが福山氏のレストラン。「人生が変わった気がした。日本の四季や自然、文化の豊かさをもっと追求したいと考えた」と話す。もともと日本に興味のあったガガン氏が、福山氏にコラボを持ちかけたという。その後、2015年より野外フェスや、イベントなどで2人は度々コラボを実施している。

しかし、なぜ店を閉めてまで新しいレストランを出すのか。その問にガガン氏は自信をみなぎらせて答えてくれた。

「バンコクでやりたいことはやり尽くした。有名な店でなくても屋台や居酒屋など九州の飲食店、食文化はもっと評価されるべきで、世界に広めていくべきもの。Gohgan では、Goh(福山氏)と一緒に、食材などさまざまなものを探求して、みんなで新しいものを作り上げたい。福岡・九州に世界中からこの美食体験を求めて、旅行者がやってくることになる」

「とんこつラーメンの聖地」「海鮮の美味しさ」などでPRしてきた福岡だが、この革新的なレストランがオープンしたら、世界から「Gohganを食べる」ことを目的に旅行者が殺到することになるだろうか。
2021年を楽しみにして待ちたいところである。

 

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▲左からGohの福山剛氏、コラムニストで司会進行の中村孝則氏、ガガン・アナンド氏

 

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