インバウンドコラム

訪日消費額が平均の約4倍!富裕層市場「中東」のハブ、ドバイで訪日観光セミナーが開催

2019.12.23

外島 美紀子

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JNTOは今年10月、アラブ首長国連邦の2大キャリアであるエミレーツ航空およびエティハド航空と連携し、首都ドバイで訪日観光セミナー「JAPAN TOURISM SEMINAR IN UAE Autumn 2019」を開催した。JNTOは今年4月から5月にかけてもドバイで開催された商談会「アラブ・トラベル・マーケット2019(以下ATM)」に日本ブースを初出展するなど、中東地域からの訪日市場拡大を目指している。ATM出展に次ぐ第2ステップとなった今回の訪日セミナーの様子日本政府観光局(JNTO)・市場横断プロモーション部の小林大祐氏に話を聞きながら、中東市場の実態を紹介する。

 

中東からの訪日旅行者の平均消費額は全体平均の約4倍

なぜJNTOはこれまで未開拓だった中東市場に力を入れようとしているのか。その最大の理由には、富裕層が多く存在することにある。中東を牽引するGCC加盟6カ国UAE(アラブ首長国連邦)、バーレーン、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラビアを合算した総人口でも約5700万人であるため規模はさほど大きくはない。しかし、中東からの訪日旅行者の平均消費額は約67万円(JNTO中東市場調査より)で、全体の平均の約15万円をはるかに上回っている。実際、UAEの初任給は1000万円以上で、40歳や50歳で定年を迎えて時間に余裕もでき、たっぷりと年金ももらえ、年に何度も海外旅行に出かけているそうだ。イスラム教が国教となっているため、国内にいる際には厳しい戒律に従った生活をしているが、海外にいくのを楽しみにしている人が多いそうだ。

中東には親日家が多いと言われており、日本への関心も高い。JNTO の小林氏によると「中東に暮らす彼らから見ると日本は未知の国。まるで別の惑星のように独特の文化、歴史のある国として興味を持ってくれているのがわかります。彼らと日本は歴史的軋轢もなく、友好的に感じてくれているようです」という言葉からもその親日ぶりが見て取れる。

しかし、これまで彼らの旅行先は地理的に近い中東域内や欧州諸国が中心で、日本旅行の情報はほとんどなく、訪れたらどんな観光地やコンテンツが日本にあるのかを把握することすらできなかったそうだ。「漠然とした日本への興味関心を、観光目的地としての日本に昇華させる」という目標のもと、JNTOは今年3月から中東を訪日旅行の誘客プロモーション活動を強化する「準重点市場」に選定した。

 

活発な商談も交わされたドバイでの訪日観光セミナー

今年4月にドバイで開催された『アラブ・トラベル・マーケット2019(ATM)』では、日本ブースへは予想をはるかに超える盛況ぶりだったという。連日、現地旅行会社の人々でごった返し、数多くの現地メディアが取材に訪れたことで日本の存在を知らしめ、中東市場への進出開始を現地に強くアピールできたという。その第2ステップとして実施された今回の訪日観光セミナーには、大手や訪日商品の販売に意欲的なドバイの旅行会社を招待し、31社が参加した。現地の旅行会社からは、「日本の旅行業界とのコネクションが全くなかったため、ネットワーク構築の良い機会となった。今後は積極的に訪日商品を販売していきたい」「日本の観光情報が不足しており、販売スタッフの知識・ノウハウも不十分。今後のJNTOによる支援・連携を大いに期待する」といった声が聞かれた。 

 

 

一方、日本からは10団体(自治体、ホテル、旅行会社、飲食、アミューズメントパーク)が参加して現地旅行会社との商談をそれぞれ行い、情報発信とネットワーク構築を図った。日本の団体からは「中東市場のポテンシャルを感じさせる素晴らしい機会だった。次回も是非参加したい」「単独では進出が難しい市場なだけに、JNTOが旗を振ってこのような機会を提供してくれるのは非常にありがたかった」といった声が上がった。これまで未開拓だった市場なだけに、 今回のイベントによって第一歩を踏み出すことができ、中東市場のポテンシャルの高さも実感できたようだ。

 

「ホップ・ステップ・ジャンプ」の三段階で中東地域の訪日市場拡大を目指す

ATMに出展した際は、「日本はいいところだよね」「UAE人はみんな日本に一度は行ってみたいと思っている」という、友好的ながらも漠然とした日本への関心を抱いていた程度だった。しかし今回の訪日セミナーは、JNTOのプレゼンテーションと具体的な商談会とがセットになっていたこともあり、「日本でどんなことができるのか」「契約を結ぶとどんなオファーを提供してもらえるのか」といった具体的な会話が活発に交わされ、現地旅行会社も今後のビジネスに繋がる実感を少しずつ持ち始めた。ホップ・ステップ・ジャンプの三段階に例えるとATMへの出展が「ホップ」、今回の訪日セミナーが「ステップ」という形で、彼らの訪日商品造成への意識が徐々に高まってきたそうだ。

 

今回のセミナー開催時には亀山理事長代理が現地に赴き、エミレーツ航空と観光促進を目的とした協力覚書を締結した。共同プロモーションを推進していくことで、UAEもしくはドバイ経由で訪日するヨーロッパ諸国からのインバウンド増に期待が寄せられる。JNTOは2020年を目標にドバイ事務所を開設し、「ジャンプ」のフェーズに向けた取り組みを加速していくという。 

 

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