インバウンドコラム
アメリカの富裕層向けの旅行雑誌「コンデ・ナスト・トラベラー(Condé Nast Traveler)」が毎年10月に発表する読者投票ランキングで、東京が3年連続で1位を獲得しました。2015年に京都が初めてトップテン入りして以来、東京と京都はすっかりこのランキングの常連です。今年は京都が2位、大阪が12位と、上位20位の中に、1カ国では最多の3都市が選ばれ、 ラグジュアリーな旅を提案するアメリカのサイト「LUXURY TRAVEL MAGAZINE」でも、日本の3都市が最も魅力的な都市にランクインしたことが記事として掲載されました。
優雅な旅を求める英語圏の人々の旅先として安定した人気を見せる日本について、海外メディアの一歩踏み込んだ記事をいくつかご紹介します。
一歩踏み込んだ日本らしさを海外メディアが紹介
イギリスのBBCが「100の偉大な外国語映画」を発表し、黒澤明監督の長編「七人の侍」が1位に選ばれました。それを受け「七人の侍」についての記事が掲載され、1951年にヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞した「羅生門」はじめ、日本よりもむしろ世界で高く評価されてきた黒澤作品の魅力を紹介しています。欧米でのクロサワ監督の知名度は日本人の想像以上で、日本ルーツの欧米人で「アキラさん」というお名前の方を何人か知っていますが、黒澤監督の影響であると聞いています。
同じくBBCのトラベル版では「ちょっと変わった、日本の世界の見方」という記事で、日本の「侘び寂び(Wabi-sabi)」について説明しています。完璧でないものの中に意味と美を見る意識として、現代社会の過剰な完璧主義からの逃げ場を提供すると紹介しています。侘び寂びを理解する一例として、古い木造の銀閣寺には、金色に輝く金閣寺にはない魅力があるということが、関連づけて書かれています。
ゴルフの目的地として過小評価される日本
アメリカのゴルフメディアGOLF.comには、日本はゴルフ旅行の目的地として世界で過小評価されているという記事が掲載されました。日本には2200ほどのゴルフコースがあり、この数はイギリスとアイルランドを合わせたほどだとか。ところが、北米からの訪日旅行者で、滞在中にゴルフをする人はほとんどいないと伝えています。例えば、ニュージーランドでは、旅行者の2-3%が滞在中にゴルフを楽しんでいるそうです。同記事によると2017年には北米から160万人が日本を訪れたとのこと。そのうちの2%でも日本でゴルフ場に足を運んだらと考えると、ゴルフツーリズムのポテンシャルを感じます。
魅力的な旅行先として認知され、リピーターも増えてくると、日本への興味もスタンダードなものから、より深く、より多様化して行きます。海外メディアがどんな切り口で日本を伝えるのか、今後も注目して行きたいです。
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