インバウンドコラム

【海外メディアななめ読み】読書の秋 日本を夢見る外国人目線で選ぶ一冊

2020.10.14

清水陽子

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10月と言えば、アメリカで最も権威のある旅行雑誌の一つ「コンデ・ナスト・トラベラー」の読者投票ランキングが発表される月です。ここ数年は京都と東京が最も魅力的な都市「The Best Cities in the World」の常連で、毎年結果が気になります。今年の順位はというと、東京が6位で京都がなんとトップに輝きました。海外からの観光客が入国できない今でも、旅先として日本の人気は健在です。

同誌から、読書の秋にふさわしい記事をもう一つご紹介します。2020年の3月に掲載された記事で、「日本を夢見る人に最適の本」というものです。海外で人気の翻訳本から、外国人によって書かれた日本についての本まで、『ニューヨーク・マガジン』(New York Magazine)のコンサルティングエディターでもあるハルパーン氏厳選の7冊です。

ボブ・ディランが、この本からの言葉を歌詞に借用?

1冊目は、佐賀純一著『浅草博徒一代』の翻訳本『Confessions of a Yakuza』です。日本の医師で作家の佐野氏が、患者だった伊地知栄治氏の語りを本にまとめたノンフィクションです。2016年にノーベル文学賞を受賞したアメリカのミュージシャン、ボブ・ディランが、この本にある言葉を歌詞に借用したのではないかと話題になったことで世界中で知名度が上がりました。

2冊目は、『WA: The Essence of Japanese Design』という本です。塗の箸、弁当箱、ステンレスのティーポット、書道の筆、障子、柳宗理のバタフライスツールや三宅一生の着物からキッコーマンの醤油挿しまで、ミラノ大学の准教授ロッセッラ・メネガッツォ氏が選出した、250点の日本のデザインが紹介されています。

3冊目は、英国生まれの随筆家で小説家、ピコ・アイヤー氏による2019年の書『A Beginner’s Guide to Japan』です。オックスフォードで生まれ、奈良在住のアイヤー氏は32年間を日本で過ごしています。日本人の友人や他の「ガイジン」との会話から、アイヤー氏が、現代日本を定義する独特の逆説的文化について明らかにしていると紹介されています。

吉本ばなな氏の本も選出

4冊目は、韓国系米国人イ・ミンジン氏の著書『pachinko』です。2017年に発表されたこの作品は、ニューヨーク・タイムズ紙のベストセラーとなり、ナショナルブックアワードのファイナリストにも選ばれるなど、アメリカで大きな反響を読んだ作品です。20世紀の日本を4世代に渡って、貧しい在日朝鮮人の目を通して見ることができます。池田真紀子氏の日本語翻訳本が『パチンコ』上下巻として出版されています。

5冊目は、吉本ばなな氏を「日本の現代文学の最も優れた作家の一人」とした上で、『キッチン』が紹介されています。

6冊目は、米国の食品ジャーナリスト、マット・グールディング氏による『Rice Noodle Fish: Deep Travels Through Japan’s Food Culture』です。福岡から北海道まで、ラーメンやお好み焼きから懐石料理まで、一つの料理や調理法を極める事に人生を捧げる多くの食の職人たちとの出会いが描かれているそうです。写真も素晴らしく、それだけでも一読の価値があるとのこと。

7冊目は、『Daido Moriyama: How I Take Photographs』で、著者仲本剛氏によって日本で最も有名なストリート写真家である森山大道氏の頭の中を覗いて見ることができるとされています。森山大道氏は2019年に写真界のノーベル賞とも呼ばれる「ハッセルブラッド国際写真賞」を受賞しており、2021年4月には、その姿を追った『過去はいつも新しく、未来はつねに懐かしい 写真家 森山大道』というドキュメンタリー映画の公開が決まっています。

この記事を読んだだけでも、ニューヨークの旅行記者の興味の広さに圧倒されると同時に、日本の眺め方にも色々な角度があることに改めて気づかされました。2020年秋、いつもより多めのおうち時間に、「日本を夢見る外国人」の目線から日本を眺めてみてはいかがでしょうか。

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