インバウンドコラム

【海外メディアななめ読み】欧州で進むイベントや観光再開に向けた実験、イギリスでマスクなし音楽祭に5000人 ドイツで陰性証明提出等のルールで旅行解禁

2021.05.24

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イギリスでマスクとソーシャルディスタンスなしの音楽祭開催実験に5000人

イギリスのリバプールにあるセフトン・パークで5月2日、マスクとソーシャルディスタンスなしの音楽祭が開催され5000人が集まりました。このイベントは、イギリス政府のイベントリサーチプログラム(ERP)の研究の一環として開催されたもので、集団の新型コロナウィルス感染症拡大の影響についてのデータ収集が目的です。

チケットを持っている人々は、イベントの24時間前にラテラルフロー法の新型コロナウイルステストを、地元の検査施設で受け、入場の際に陰性証明を見せなければなりません。さらに、イベント当日と、5日後に自宅でPCR検査を受けます。自宅でのPCR検査は、イベントのリサーチデータ用に、研究者の求めにより実施されています。

イギリス政府主導の実験データが規制緩和などの政策に直結

ERPは、イベントへ参加による新型コロナウィルスへの感染のリスクを調査し、人々が安全にイベントに参加できる方法を探ることを目指しています。イギリス政府は、テストイベントとして、この音楽祭の他にサッカーの試合やビジネスイベントなど、様々な動員数、屋外室内、違ったレイアウトでのイベントを選んでおり、5月12日にロンドンで開催された、英国レコード産業協会によるブリット・アワードもその一つです。ERPによる調査実験は4月から5月にかけて行われ、結果は首相に報告されると言います。政策の策定に速やかに取り入れられ、今後の規制緩和に向けての議論と決断に活用されるとのことです。

全国一律でロックダウンが続くドイツで、モデル地域が実験的に旅行者受け入れ

ドイツでは、4月24日から全国一律のロックダウンが続いており、5月中に規制解除の見込みはありません。そのドイツの4つの地域で、観光客を迎える実験プロジェクトが行われています。4月9日に観光大臣のブッフホルツ氏が発表したもので、観光地として有名なジルト島を含むドイツの最北端の地区ノルドフリースラント、北海沿岸のビューズム、ドイツ北部の観光都市エッカーンフェルデ、バルト海南西部にある湾リューベック湾の4地域で、科学的な観察のもと、観光が解禁されています。

4地域の中で最初に観光客を迎えたのはエッカーンフェルデで4月19日に始まりました。続いて5月1日にノルドフリースラントで、リューベック湾で8日に、ビューズムでは5月10日に始まっています。

チェックイン時はもちろん、滞在中は48時間毎に証明を提出

このモデル地域の宿泊を予約するには、ゲストは到着前に、広範囲なルールに従うことを書面で了承しなければならなりません。例えば、チェックイン時に新型コロナウィルスのラピッド抗原テストの陰性証明を見せること、検査結果と個人情報が記録されることに同意すること、48時間毎に新しい陰性証明を提出することなどを含みます。レストランで食事をするには、48時間以内の陰性証明が必須です。ワクチン接種を完了した人は、テストは不要です。

ドイツの他の地域が厳しいロックダウン中である中、観光が再開されるとあって、観光客は喜んでいますが、保健当局と医療の専門家は、北海とバルト海の状況を毎日慎重にモニタリングしています。もし、この地域で感染者数が3日連続で100人以上増えたら、このプロジェクトは中止され、観光客は家に帰らなければなりません。実際北海沿岸のビューズムでは、感染者の増加により、プロジェクト開始の1週間の延期を余儀なくされました。

ロックダウンが続く中、しばし新鮮な空気を求めて

国際公共放送ドイチェ・ヴェレD Wのインターネット記事によると、ドイツで海辺の温泉地として有名な場所であるザンクト・ペーター=オルディングにある、シュトランドグートリゾートホテルの経営者は「みんなが注目しているモデル地域なので、失敗はできない。我々みんなにとって挑戦」と語っています。

観光客の声として、ワクチン接種が完了した夫婦は、キャンプサイトに宿泊しながら、2週間北海沿岸をサイクリングするといい、束の間の自由を楽しんでいるとマスク姿でもリラックスした様子の写真が載っています。5月の初めの日曜日を北海のビーチチェアで楽しんでいたハンブルグからのカップルは、大都市の厳しいロックダウンから一息つくためにやってきたといいます。

実験の安全性を疑問視する声も

一方、北ドイツ放送(NDR)の報道では、ザンクト・ペーター=オルディングの観光局長の「ようやく地域が動き出します。すべての事業者は綿密に準備をして、お客様を迎えられることを喜んでいます」というコメントの他に、医療関係者による「ホテルの宿泊客でなくセカンドハウスに滞在する人々がテストを受けているかどうかの証明はどう取るのか」「この地域で暮らす人や働く人が集団免疫をつけまるで、プロジェクトの開始は待つべきだ」という意見も報じられています。

どうしたらパンデミックのなかイベントや観光を安全に再開できるのか。実験にもリスクを伴うため、賛否両論ありますが、果敢に動き出す努力をしている点は見習いたいです。

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