インバウンドコラム

2020年4月スタートの免税手続きの電子化とは? 小売店がとるべきステップをわかりやすく解説

2019.12.02

印刷用ページを表示する



外国人旅行者の日本での旅行消費を拡大し、地域経済の活性化を図ることを目的に2014年より段階的に制度緩和されている外国人旅行者向けの消費税免税制度。免税の対象商品の拡大や、免税対象となる最低購入金額の引き下げ、複雑な免税手続き業務の負担軽減に向け第三者への委託を可能とするなど、変化する環境に応じた改正が行われてきました。

そのような中、東京オリンピック・パラリンピック大会開催を控えた2020年4月には、免税販売手続きの電子化がスタートします。

今回は、この免税販売手続きの電子化とは何か、これまでと何がどう変化するのかなど、小売・流通など免税にかかわる事業者の皆様が最低限知っておいたほうがいいことをわかりやすく解説します。

 

免税販売手続きの電子化って? 具体的にこれまでと何がどう変わるのか?

—2020年4月から始まる免税販売手続きの電子化ですが、具体的に何がどう変わるのでしょうか。

 これまでの消費税免税制度では、購入した外国人旅行者のパスポートに、購入品などを記した購入記録票という書面をホッチキスなどで貼り付け、割印を受けることが義務付けられていました。

しかしながら、「爆買い」という言葉に象徴されるように、日本で相当な量の買い物をされた旅行者のパスポートは購入記録票で分厚くなったり、ホッチキスの穴などで破れなどが目立つようになったり、また免税手続きの現場からも「時間がかかる」といった不満の声が多数ありました。こういった問題を解決し、旅行客や免税手続き現場の利便性向上をすべく

・書面による購入記録票作成などの手続きの廃止
・代わりに、購入記録票の記載内容を、インターネットを通じて国税庁に提供する

という運用に変更されるというものです。

▲一般社団法人ジャパンショッピングツーリズム協会提供

 

免税手続きの電子化によって、免税店側は何をする必要があるのか?

—それでは、免税手続きの電子化によって、免税店が具体的にすることはどんなことでしょうか。

小売店側に求められることは、大きく以下の2つです。

・紙の購入記録票を作成する代わりに、電子データを作成し、国税庁のデータベースへ送信
・作成した電子データを約7年2カ月間保存(紙保存でも可)

免税品の購入情報の保存は現行の制度にもあるので、大きな変更点ではありません。また、このデータの保存は電子データでなく紙保存でも可能です。ただし、「整理されていること」「免税店ごとに保存されていること」が要件となっているので、電子データで保存する方が望ましいといえそうです。

免税店側の対応としてハードルが高いのは、国税庁へのデータ送信。国税庁が持つデータベースの仕様や規格に沿ったシステムが必要です。また、送信するデータは個人情報が含まれているので、セキュリティ対策も必須です。ただし、多くの店舗ではこういった技術を持ち合わせていません。そこで、技術を持たない店舗も免税販売の電子手続きができるよう、代行事業者を使うことが認められています。店舗を運営する事業者に代わってこういったデータを国税庁に送信する事業者を「承認送信事業者」といいます。

 

免税販売の電子手続きを代行してくれる「承認送信事業者」って?

—承認送信事業者を使えば、免税販売の電子手続きができることはわかりましたが、どうやってその事業者を探せばいいのでしょうか。

これまで免税手続きを円滑に行うサービスを提供してきた、免税ソリューション会社の多くは、免税販売の電子手続きにも対応することが予想されます。さらに、こういった企業は、すでにデータを電子化して保存しているケースが多く、免税店側が電子化にあたって対応すべきことは、そう多くないでしょう。

すでに免税店として登録済みで、免税ソリューションを導入している企業は、サービスを提供する企業に問い合わせるのが一番の近道でしょう。どのようなことが必要か、現状にあった適切なソリューションを提案してくれるでしょう。

これから免税店登録をする予定、あるいはすでに免税店だが、免税ソリューション会社のサービスを使わずに、手書きで手続きを行っている企業は、電子手続きに対応したサービスの導入が必要です。

参考に、観光庁のHP内にある免税販売手続の電子化の特設サイトでは、免税の電子化に対応したソリューションを提供する事業者が載っています。掲載企業に問い合わせて比較検討し、自社にあったサービスの導入が必要となります。

▲一般社団法人ジャパンショッピングツーリズム協会提供

参考:免税販売手続き電子化特設サイト

 

電子化の対応に必要な事前準備とは? 免税店がすべきステップを整理

すでに述べた通り、免税販売の電子手続きは、承認送信事業者と呼ばれる代行企業が提供するサービスを活用することで可能になります。

では、これまで説明したことも含めて、免税店の皆様が電子化の対応にあたってとるべきステップを整理します。

STEP1:免税販売の電子手続きを自社で行うか、他社で行うかを決定する
STEP2:他社で行う場合は、承認送信事業者と呼ばれる電子手続き代行企業を選定する
STEP3:「輸出物品販売場における購入記録情報などの届出書」という書類に必要事項を記入して、管轄の税務署に提出する。

※書類は、国税庁HPからダウンロード可能:https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shohi/annai/3108_41.htm
※電子手続きを他社で行う場合は、利用する承認送信事業者情報を記入する必要あり

STEP4:税務署から、輸出物品販売場ごとに識別符号(21桁の数字)が記載された書面を受領する

※2週間程度かかるので、要注意!

STEP4で税務署から受領する識別符号は、国税庁に免税の電子データを送付する際に記載が必要になるので、すべての免税店で取得が必須です。

なお、電子手続きを他社に依頼せず自社で行う場合は、更なるステップが必要なのでご注意ください。

 

最後に…

2020年4月から始まる免税販売の電子手続きの概要や、制度変更に伴い免税店がすべきことをわかりやすくまとめました。

複雑な仕組みをわかりやすくまとめたものなので、細かい部分まで触れていません。実際に手続きをする際は、国税局や観光庁のHPもあわせてご確認ください。

国税庁:輸出物品販売場の免税販売手続電子化について

観光庁:免税手続き電子化特設サイト

免税販売手続きの電子化に関する届出手続きなどに関する疑問点は、最寄りの税務署までお問い合わせください。

また、11月より免税販売手続きの電子化対策セミナーを開催しています。直近では、12/4(金)に京都で開催されるほか、今後も全国主要都市で開催が予定されていますので、ぜひ足を運んではいかがでしょうか。

今回の免税販売の電子手続きは2020年4月から開始しますが、2021年9月末までは、経過措置として従来の方法でも免税販売は可能です。ただし、2021年10月以降は、従来の免税手続きの方法が無効になりますので、ご注意ください。また、管轄の税務署に届けて得る識別符号の取得には、最低でも2週間程度要すると考えておいてください。税務署の繁忙期には更に時間を要するので、早めに準備を始めることをお勧めします。

また、免税に関する情報を総合的に掲載する免税のポータルサイト「免税店.jp」では、これから免税店になる方、すでに免税店になっている方へ有益な情報を届けています。最新情報をメールマガジンでお届けしているほか、今回の免税販売手続き電子化に関する情報も、2020年2月以降更新予定です。

 

編集部おすすめ関連記事:

国内の免税店数4%増の5万2222店、地方免税店は目標2万店まであと117店

インバウンドの現場における外国人人材の活用  —多慶屋がタイQRコード決済導入の日本第一号店となった理由

最新記事