インバウンドコラム

観光庁長官会見:2020年1月インバウンド市場動向、新型コロナの影響 欧米豪市場へのインパクトはいかに?

2020.03.05

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2月19日、観光庁長官の田端浩氏による定例会見が行われた。国内で新型コロナウイルスの感染が拡大する中、報道陣からはインバウンドへの影響に関する質問が多数投げかけられた。今年のインバウンド目標である4,000万人達成などへの影響が懸念されるなか、観光庁はどのような対策を検討しているのか、長官の発言をもとにまとめた。

 

2020年1月の訪日客数は対前年同月1.1%減の266.1万人に

まずは冒頭、2020年1月の訪日外国人旅行者の動向として、下記のポイントをあげた。

・2020年1月の訪日外国人旅行者数は、対前年同月比マイナス1.1%の266.1万人。
・韓国では訪日旅行控えや冬ダイヤにおける航空便数の大幅な減少等により、対前年同月比マイナス59.4%となった。
・1月27日以降、中国で新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、中国国内外への団体旅行等が禁止になったことで、訪日外国人旅行者数全体の伸率が押し下げられる要因になった。
・一方で、冬ダイヤにおける航空便数の増加や、昨年は2月であった春節の休暇が今年は1月に移行したこと等により、幅広い市場で対前年同月比二桁の伸。
・国・地域別では、豪州で単月として過去最高を記録したほか、韓国、ドイツを除く18市場で1月として過去最高となった。
・新型コロナウイルスの感染が拡大により観光業を取り巻く現状は厳しいものはあるが、引き続き2020年4000万人等の目標達成に向けて、国際観光旅客税の税収等も活用しながら、政府一丸、官民一体となって高次元の観光施策に取り組んでいく。

 

日中航空路線は、新型コロナウイルス感染拡大前に比べ7割減少

その後、報道陣との質疑応答において、2020年1月の訪日客数が前年同月比1.1%減の266万1000人となったとの説明に対し、中国の団体旅行は1月27日から禁止されたため、2月以降の数字に影響するのではないかとの質問が出た。それに対し田端長官は「ご指摘の通り、2月はその状況が続いているので、影響が出てくると思う。(中国人旅行者の)45%が団体旅行で、55%は個人旅行であると理解しており、そういうところも含め2月以降も注視している」と回答した。

また、日中の航空路線は、新型コロナウイルスの感染拡大前と比べ「約7割減少しており、その影響が2月以降に出てくると考えている。需要次第では減便が拡大することも考えられる」とし、「他地域でも旅行控えの動きが出てきているので、注視しながら考えていきたい」と述べた。

 

観光庁も、新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策で措置

新型コロナウイルスの感染が国内で拡大していることに対し、観光庁としての対応策について問われると「我々としてはまずは今の状態を把握し、色々な対策を取ろうとしている。各地方運輸局に特別相談窓口を設けており、そこで色々なご相談を受けるとともに、独自に聞き取りもしている」「観光庁の対策としては新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策が2月13日にとりまとめた。

この対応策では、セーフティネット貸付制度の要件緩和等による資金繰りの支援、また雇用調整助成金制度の要件緩和等による雇用確保などに取り組むことをとりまとめている。これらを関係する事業者に案内し、仕組みを活用していただきたいと考えている」と回答した。

そのほかには、「宿泊事業者などの観光関係事業者や公共交通機関に対しては、改めて、マスク着用や手洗いなどの感染予防対策の徹底について要請を行っている。風評被害の発生防止に全力を尽くし、正確な情報発信に努める」と述べた上で、事業者のニーズに耳を傾けながら対応していくとの意向を明らかにした。

 

減便の動きが活発化している中での、2020年目標4000万人はどうなる?

続いて、中国以外の東アジアでも減便の動きが活発化している中で、今年の目標4000万人達成についての見通しを問われると、「韓国に関しては冬ダイヤの期のはじめは前年比37%減となっていたが、2月第1週の前年比は28%減と改善している。そのため、観光庁としてもこうした部分に力を入れていきたい」と述べた。

現状では新型コロナウイルスの予防対策にまずは傾注すると強調した上で、「適切な時期がきたら、そのタイミングできちんとしたプロモーションあるいは実績があるような施策を打っていけるように、観光庁およびJNTOで準備を進めている」と収束後の戦略についても語った。

 

欧米市場における自粛の動きはどう見てる?

欧米市場における自粛の動きに関する質問に対しては、「旅行控えという話は聞くが、まだデータとして出てきていない。全世界のいろいろな報道やSNSでの情報がある中で、よく状況を注視していきたい。特に、欧米の方々は昨年来、好調に日本を訪れていただいて魅力ある市場ということで認知が高まっているので、グローバル・キャンペーンでやってきたような内容に力を入れていきたいと思っている。

明るい話題としては、イギリスの調査会社の発表の中で、最もポテンシャルのある観光市場の1位に日本が出ていた。そうしたこともあり、インバウンド政策にしっかりと取り組んでいきたい。伸ばせるところは伸ばしていきたい」と回答した。

 

発生期、回復の準備期、回復期に分け、過去の事例も分析しながら対策

2009年に新型インフルエンザが流行した時には、当時、国土交通大臣・観光立国担当大臣を務めていた金子氏が安全宣言のメッセージを国内外に向けて発信したが、今回も検討しているのかとの問いに対しては、「SARSや新型インフルエンザなどのときに行った、緊急に防除策をやるレベルである発生期、回復の準備期、回復期など、過去の事例における実態の分析をしている。金子大臣のいわゆる安心メッセージは6月26日に行った。それでしっかりと回復期に需要喚起などをしていこうとした。そうした感染症の実例から勉強をし、準備をし、官民挙げてしっかりと手を打つことを考えていこうと思っている。

大臣メッセージという形になるか今具体的には決めてはいないが、過去に需要回復のため効果的な手を打ってきたということは参考になるので、勉強をしているところ」と語った。

 

東京オリンピック・パラリンピック大会の開催年である今年は、日本各地の魅力を海外に発信する絶好の年となる。観光業界が逆境に立たされる中、観光庁としては適切な時期を見極めてプロモーションを強力に推し進めていく考えを示した。

 

 

 

 

 

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