第38回 通訳案内士インタビュー 小林 恵(こばやし けい)氏

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Guide Interview 第38回 通訳案内士インタビュー 小林 恵(こばやし けい)氏 ドイツ語通訳案内士

安倍政権の下で円安が進み、最近では街角でも欧米からの外国人旅行者も増えたように感じます。
そこで今回は、ドイツ語通訳案内士の小林 恵氏に、旅慣れていることで知られるドイツ人の旅行などについて聞きました。小林氏は、小学校5年生から高校1年生までの5年間を旧西ベルリンで過ごした帰国子女で、その後も日本の大学でドイツ語を専攻されました。これまでドイツ関係一筋にキャリアを重ね、現在は通訳案内士および通訳として多忙なスケジュールで活躍しています。

 

魅力はドイツの森と真面目で論理的なドイツ人

Q1.子どものころから長年ドイツに関わってこられましたが、ドイツあるいはドイツ人の魅力は何ですか?

ドイツの魅力はまず、森だと思います。友達と歩いたり、ピクニックをしたり、ひとりで考えごとをするときなどにドイツ人はよく森に行きます。ドイツでは、都市や町から20~30分ほどのところに森があり、ドイツ人にとって森は身近でとても大きな存在なのです。

一方、ドイツ人の魅力は、まじめで物事をきちんと論理的にとらえるところだと思います。困ったことがあっても、こういう事情だからこうなると事前に説明し、腹を割って話せばわかり合うことができます。真正面から向き合ってくれるので、これまでトラブルを乗り切ってくることができました。
また、時間を厳守してくださるので、ガイドにとっては仕事がしやすいお客様でもあります。

ドイツ人の真面目さは、ガイドが話すことをメモや録音し、写真やビデオを熱心に撮ることにも表れていると思います。日本を訪れるドイツ人は日本という国や文化への好奇心がとても強く、特に、平均賃金、失業率、離婚率など、現在の日本の社会状況に関する数字について、よく質問します。どうやら帰国後に親戚や友人を集めて日本で撮ったビデオの上映会をするようです。そのときにこうした数字を使って説明しているようです。

 

Q2.通訳案内士の資格を取られたのは何年ですか? また、通訳案内士として、これまでどのようなお仕事をなさっていらしたのですか?

1996年に通訳案内士の資格を取りました。以来この仕事を続け、今年で18年目になりますので、幅広くひと通りの経験はしてまいりました。お客様がひとりのときもありますし、バス1台分の45人を担当することもあります。また、ツアーの内容も、観光、インセンティブ(日本の企業が招待する報奨旅行)を含めMICEなどさまざまです。なかでも、長野オリンピック、サッカーワールドカップは今でも強く印象に残っています。

このほか、SIT(Special Interest Tour 特別なテーマを持ったツアー)にも思い出に残っているものが数多くあります。例えば、3週間ほどかけて、ドイツの庭師の方々を、国内各地にある、めぼしい日本庭園にご案内したことがありました。みなさん専門家なので、もちろん日本庭園についてよくご存知でしたが、それでもやはり実物を見て大変喜んでおられました。

また、ドイツの歌劇団や交響楽団の来日に合わせたサポーターのツアーもありました。オペラや交響楽団の現地でのファンの方々が来日公演を楽しむかたわら、日本を観光するというものです。こういうツアーでは音楽に関連したガイディングの話も多くするようにしています。

2010年9月には代々木で世界柔道選手権大会がありました。このときには、ドイツ柔道連盟に加入している方々が、日本観光をしつつその大会を観戦する目的で来日しました。ドイツ柔道連盟の方々の中には、ドイツの元柔道オリンピック選手、ドイツで子どもたちに柔道を指導している方、ドイツの柔道大会の審判をしている方などがいました。

SITの場合、専門的なことに関しては、すでにお客様の方がよくご存じなので、私はむしろその背後にある日本文化といった現地に住んでいる日本人ならではの説明を心がけています。
例えば、柔道では「礼に始まり礼に終わり」ますが、お辞儀ひとつをとってみても、実際には15度、30度、90度とそれぞれの角度で意味合いが異なることを説明したりします。また、日本庭園では剪定や石組みなど人の手が入っているにもかかわらず、それがあたかも自然のように見える工夫がなされていることにふれ、日本人の細やかな心遣いについてお話しします。

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