現役通訳案内士インタビュー第1回 高宮暖子氏(英語通訳案内士)

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現役通訳案内士インタビュー第1回

Q4.高宮さんはどのように仕事を獲得なさっているのでしょうか?

通訳案内士 高宮暖子氏私は大きく分けて2つの経由でお仕事をいただいています。1つは旅行会社様から、そしてもうひとつが人的ネットワークです。具体的にはガイド仲間や業界の知人友人、出身大学のネットワークなどを通して、ご紹介いただくことが多いです。

私自身も、他のガイドさんに仕事を紹介させていただくことがよくあります。自分のスケジュールが合わない場合だけでなく、私よりも○○さんのほうが適していると思った時も紹介します。なぜ自分で仕事を取ってしまわず人に渡してしまうのか、と尋ねられることもあるのですが、最終的にお客様にとって何が一番よいかを考える、それだけです。

お客様によってニーズや条件は様々です。ガイドさんも、得意分野や個性がそれぞれ違います。そのお客様にとってベストなガイドさんと出会えて、お客様にとってベストな旅ができれば、通訳案内士全体の評価も上がると思います。

☆人的ネットワークはたからもの
こうした人的ネットワーク、いわゆる人脈については、講演等でよくお話させていただくのですが、'同のネットワーク'と'異のネットワーク'の両方が、同じように大切だと思っています。'同のネットワーク'とは、たとえば通訳案内士同士のネットワークです。あるいは同じ言語、同じ地域、同じ年代・・・と共通項が増えれば増えるほど、共有できる情報が増えます。

'異のネットワーク'とは、たとえば異業種の方とのネットワークです。異業種のネットワークに入ると、通訳案内士でいること、あるいは英語ができること自体が特徴になります。異世代のネットワークにいれば自分の年齢が個性になりますし、東京がメインの組織に入れば地方在住であることが大きな魅力になるのです。

私は九州に越した当時、家族以外の知り合いが全くいなかったので、地域活性化や観光関係の集まりに積極的に参加するようにしました。そして、観光カリスマの山田桂一郎氏元JNTO理事の安田彰氏をはじめ、業界のさまざまな方と出会い、出会いが出会いを生み、人の輪も仕事も広がり始めました。通訳案内士の世界から、インバウンド、地域振興、メディア・・・と周辺のネットワークが広がっていったのです。

Q5.成功談・失敗談について教えてください。

成功談ですね、できることなら是非お披露目したいのですが、無事できて当たり前の世界なので...ごめんなさい、ありません。まだまだ毎回が精いっぱいなのです。
敢えて言うなら...そうですね、お客様に笑っていただけると嬉しいです(笑)。それから歌ですね。「涙そうそう」などを歌うのですが、カメラとビデオを向けられ、撮影大会になっています(笑)。

失敗談でしたらいろいろとあります(笑)。一つ目はコンタクト付け忘れ事件。朝早い仕事で外はまだ暗く、出かけたときは気づきませんでした。その日は空港のお迎え後、車でホテルにお送りし、いったん自宅に戻る時間があったので助かりました。また福岡空港はコンパクトで慣れていますし、お客様がアメリカ人の方だったので見分けやすかった・・・(笑)

次に、遅刻です。寝坊してしまいました。携帯電話を機種変したばかりでアラームの設定が間違っていたのと、目覚まし時計の電池が外れていた、その2つの悪条件が重なってしまいまして・・・。しかも普段なら勝手に目覚めるところが、連日の寝不足で起きられませんでした。気づいたらツアー出発30分前。とても焦りましたが、エージェントさんや先輩ガイドさんがフォローくださいました。電話をしたら、逆に心配してくださって・・・。謝りに駆け付けましたら、先輩ガイドさんは、「誰にでもあること。さぁ、切り替えて、次、次!」と励ましてくださいました。いやぁ、ないです。私だけです、きっと。でも、これを教訓にヨドバシで最強の目覚まし時計を追加購入しましたので、ここで誓います、もう遅刻はしません!(笑)。

もうひとつ最近の失敗ですが、コートを駅に置き忘れてしまいまして・・・お客様に配る英文マップを観光案内所で集めたりして、駅構内を駆け回っているうちに暑くなって、脱いでどこかに置いてしまいまして。いったん旅館に泊まり、翌朝は寒い山頂に行く予定でした。浴衣の上に着る羽織を旅館の方にお借りしてガイドしましたところ、お客様が"Nice coat!"と、おもしろがって笑っていらっしゃいました(笑)。

本当にいろいろありますが、通訳案内士として大切なのは、何よりもまず健康な心と身体、そしてお客様本位のホスピタリティです。お客様の安全を確保し、安心して心地よく旅していただく、無事お帰りいただく...。通訳案内士の試験勉強をしていたころは、日本の歴史文化の知識や語学力のことばかり考えていましたから、これは大きな意識の変化でした。

Q6.勉強方法を教えてください。

英語に関して言えば、シンプル&クリアなわかりやすい英語を身につけること、それから、アウトプットの訓練が大切だと思います。相手に心地よく、わかりやすく伝わるよう、日本語英語を問わず、日頃から人との会話を繰り返し、コミュニケーション能力を高めることだと思います。それからコンテンツの充実・・・日頃から'触角'を鍛え、好奇心旺盛でいることでしょうか。

英語力をいちばん鍛えてくれるのは、何よりも現場の仕事なのですが、それ以外に私は映画によく行きます。幸い、近所に映画館が幾つもあるので、ふと時間が空いたら入ってしまいます。海外の映画だけでなく、日本の作品もいいです。世界を広げてくれます。「崖の上のポニョ」は娘と2度も観ました(笑)。

子供と過ごす時間から思いがけず学べることも、意外とあるものです。たとえば英語の絵本は、リズミカルで美しい表現が厳選されていますし、英語でなくても子供向けのコンテンツはわかりやすく工夫されていて、咀嚼しやすいのです。

今はiPodを活用する等、ありとあらゆる勉強方法があると思いますので、自分に合った手段を見つけるのがいちばん良いと思います。

地域の情報に関しては、人の力が大きいです。九州各地はもちろん、沖縄、東京...国内外の知人友人から、本当によく助けていただいています。私も自分が知っている情報は全て提供します。ガイド同士で教え合うことも多いです。「この通りは夕方交通量が多いから移動に時間がかかる」といった情報は、地元の人にリアルタイムに教えてもらわないとわかりません。

ネットは情報の宝庫ですが、ケース・バイ・ケースにカスタマイズされた情報となると、限られます。ネットに文字で残せない情報は、結構たくさんあります。私もブログを書いていますが、いろいろな制約がありますので、ネットに流せるのはごく一部。「実はね・・・」みたいなホンネの情報は結局のところ、対面のコミュニケーションで、信頼関係をベースに伝わるような気がします。

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