現役通訳案内士インタビュー第2回 萩村昌代(スペイン語通訳案内士)

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現役通訳案内士インタビュー第2回

Q11.日本固有の言葉はどのように伝えていらっしゃいますか?

たとえ訳語があってもお客様が理解するとは限らないです。ですから無理に難しい訳語を見つけるよりは、お客様の国に似たものがあれば、それに似たものと言った方がお客様もわかりやすいようです。だれでも自分が見たことのないものは想像できないですよね。お魚の名前でも、日本人はお魚をよく食べるので、多くの種類のお魚の名前を知っていますが、そのお魚を知らない人にたとえスペイン語で言ってもわからないわけです。

あとはなるべくビジュアルで見せるようにし、例えば旅館に泊まったときのお風呂の入り方などはお客様にとって未知の世界なのでイラストを使って説明します。

Q12.通訳案内士になるための勉強方法を教えてください。

語学はやはり皆さん得意でいらっしゃると思うので、自分で頑張るしかない、覚えるしかないですね。私は通訳学校にずっと通っていますし、スペイン語で仕事もしていますので常日頃から時事用語に気をつけています。

面接については、スペイン語の場合、英語のような学校は当時ありませんでしたので、スペイン語圏の友達にお願いして練習しました。その時に言葉だけじゃないんだ、と思いました。正しい文法、正しい発音で答えることも大切ですが、外国の方の目線、感性で理解できるように答えてあげることが大切なんじゃないかな、とその頃から思いました。スペイン語が正しくても、その友達に「私達だったらそれは何だかよく分からないよ。」と言われたことがあって、外国人のお客様の視点に沿ったお答えをしないとだめなのかな、と思いました。

最近ではスペイン語の筆記試験のための学校は2校ほどありますが、私の場合は、英語の予備校の情報をすべてスペイン語に訳して勉強しました。中国語、韓国語の事情はわかりませんが、英語以外の言語をやる場合、プラスひと手間かかるのを覚悟する必要があります。

Q13.経済危機の影響で外国人旅行者は減っていますが、仕事を通してその影響をお感じになりますか?

去年の後半からキャンセルが続きました。円高の影響は強いです。それについてはどうしようもなく、ガイドだけでなく、エージェントさん、バス会社さん、ホテルさん、全部に影響が出てしまします。

Q14.通訳案内士のほか、いろいろな仕事をなさるうえで、プライベート生活との両立はどのようにしていらっしゃいますか。

あまりちゃんと両立していないような気もします(笑)。自分自身でも課題です。ただ家族の理解、協力が必要で、ある程度家族に我慢してもらうことも時には必要かもしれないと思います。私よりもっともっとお忙しい方、たくさんいらっしゃるので、お話を伺いたいといつも思っています。

☆家族の理解と協力
前に一度スペイン人の都内ウオーキング・ツアーにエージェントさんからの了解をとって夫についてきてもらったことがあります。その時は別の事情でついてきてもらったのですが、家族が外でどういう仕事をしているかというのはお互い見る機会はあまりないので、その時にある程度夫が理解してくれたかな、という気がします。仕事の話を家庭でする人もしない人もいますが、私の場合は自分が楽しんでやっていることを家族に話したりすることで、家族も納得してくれていると思っています。

ガイドの仕事に限ることではなく、女性が仕事を持つということはそういうことだと思います。自宅でずっと翻訳の仕事をやっていても、ご家族のいらっしゃる方はご家族の協力はすごく必要です。一人でいらっしゃる方は逆に誰も見てくれないわけなので、健康の自己管理を人一倍しなくてはならないと思います。

私も富士山・箱根の泊りがけのツアーに行っている時に主人が入院してしまったことがあって、その時はどうしようかと思いましたけれど、お客様が20数人いて勿論帰るわけにもいかず、お客様には一切話をせず、普通にしていました。それでもお客様が満足して帰っていただければ、「よかったね。」って家族も理解してくれると思うんですね。

Q15.萩村さんにとって通訳案内士の仕事はどういうものですか?

楽しい旅のお手伝い役だと思います。自分が前に出るのではなく、お客様に楽しかったと思ってもらえるようにお手伝いする仕事だと思います。 また、勉強の場でもあると思います。外国人のお客様と一日一緒にいることで、そのお客様の国や地方の習慣を日本にいながらにして勉強させていただいていると思います。こうしたことは、通訳、翻訳、日本語講師といった他の仕事でも、相乗効果的にとても役立ちます。

ガイディングの様子(旅館にて)
通訳案内士 萩村昌代氏

Q16.通訳案内士をめざす方に一言お願いします。

月並みかもしれませんが外国語が好きで、旅が好きで、外国人とおしゃべりするのが好きという方には天職じゃないかなと思いますので、是非そういうお仲間が増えるのを期待しています。

データを今持ち合わせていないのではっきりしませんが、スペイン語ガイドの割合は英語、中国語、フランス語、に次ぐのではないかと思います。スペイン語ガイドのネットワークとしては、複数台口のバスを使う場合は一緒に仕事をしますし、たとえば東京と京都で別のガイドが担当する場合、引継ぎの連絡をすることもあり、ネットワークは大切です。また、ツアーの中に自由食がある場合のレストランはどこにお連れすればいいか、といった情報交換は言語に関係なく、どのガイドさんともしています。

Q17.もしも、1週間プライベートで一人旅するならどこに行きどんな過ごし方をしたいですか。(前回のインタビューをお願いした通訳案内士高宮暖子氏からの質問です。)

難しい質問ですね・・・。一度南極に行ってみたいと思っています。なかなか日本では見られない風景ばかりだと思うので・・・。でも、南極はお金がかかるし・・・(笑)、もし国内であれば、あまり人のいないところで、動物が好きなので、動物園まわりとか牧場まわりとかして、いろんな動物にあってみたいですね。それに温泉がついたらいいな・・・みたいな(笑)。今でしたら、お相撲が好きなものですから、一週間毎日国技館に行きたいと思います。


取材を終えて
仕事と私生活のバランスにも気を配りながら、付加価値をつけて信頼を得ることを心がけていらっしゃる萩村氏。穏やかで温かみのあるお話ぶりからも誠実なお人柄が感じられました。
お体に気をつけて、ますます多くの方々に日本の魅力を伝えていってください。
ご協力誠にありがとうございました。

(編集:加瀬、倉持)

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