現役通訳案内士インタビュー 中楚ひとみ氏(ドイツ語通訳案内士)

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中楚ひとみ氏(ドイツ語通訳案内士)

Q3. お客様は日本の何に魅力を感じ、どのような体験を希望されるか?

「居酒屋店員の接客に感動!日本人の親切は大きな魅力」

日本人との触れ合いを求める方が多いですね。座禅や茶道体験を楽しみ、住職さんや茶道の先生とコミュニケーションを積極的に取り、交流を楽しんでいらっしゃいます。

お客様からよく、「日本人はとても親切だ」という言葉をいただきます。居酒屋などで掘りごたつの席に座ると、客と目線を合わせるために店員さんが傍に来て中腰でかがんでくれますよね?その接客にお客様は大変感動されます。ドイツでは絶対に見られない、日本の親切な接客は、大変好評です。

Q4. お客様との信頼関係を築くコツは何か?

「最初に自分の弱みを披露しちゃいます(笑)」

通訳案内士の方はよく言われることだと思いますが、ツアーの最初2日間をしっかりこなすことです。自分をアピールし、多くの情報をお客様と共有することで、「このガイドで安心だ」と思ってもらえるよう工夫しています。特にツアー開始時の正確な基本情報提供は必須です。でも、逆説的に聞こえるかも知れませんが、話しかけやすい雰囲気をつくるために、他方で自分のドイツ語勉強中の失敗談などを披露します。間違いなく笑いの取れる失敗ネタがあるので。すると「おもろいやっちゃ」と思っていただけ、「私の知人のアメリカ人もこんなミスをしたのよ!」と場が盛り上がり、また、ツアー中に私がトドイツ語のミスをしようものなら、皆さんそれは嬉しそうに指摘してくださいます(笑)。

「お客様を子供扱いしない」

ドイツ人のお客様は旅慣れた方が多いので、逐一「大丈夫ですか?お一人でできますか?」と確認はしません。ホテルで何かトラブルがあった時でも、まずお客様自身が大抵フロントと英語で話して解決を図られます。でも、それで解決出来ない時が私の出番ですし、その手間は厭いません。

「お客様の顔を潰さないよう、ミスは未然にカバー」

ドイツの食べ物は味付けの濃いものが多く、その味付けに慣れた方々には日本のお吸い物の旨みや、白米のほのかな甘みは分かっていただけません。そのため、「味がしない!」と白米に醤油を大量にかけてしまう方も・・・ これは日本人からしてみれば、絶対に見たくない光景ですよね(笑)。でも「それはダメ」と、その時点で間違った食べ方を指摘すると、お客様の顔を潰すことになります。なので、日本で最初の食事の前に!(笑)空港迎えのバスの中で、一般的な日本の説明と一緒に、日本食に関する話をします。メインのおかずや漬物を白米に少しずつ載せ、一緒に口の中に入れて食べても良いと事前に説明するんです。ナイフとフォークの食文化の方は、肉とパンを同時に口へ運ばれません。その違いを理解し、「・・・してはダメ」ではなく「・・・していい」とヒントを与えて、より和食文化を楽しんでいただこうということです。お客様の傍にいるガイドの重要任務と考えています。

お客様の大半が自分より年齢の高い方なので、年齢も見た目も取るに足りない(笑)私のようなガイドは、初対面で絶対的安心感を与えるのは至難の業です、というか無理です(笑)。なので、その路線は潔く諦め、以上のような自分なりのアプローチで徐々に信頼を得られるように努力しています。

中楚ひとみ

「ご飯の甘みがわからはる?いやあ、上品なええ舌ですねえ!」
お客様を持ち上げつつ、和食ファンを増やします。
あ、これちなみに京都人の嫌味=「いけず」ではないですよ!

Q5. 何か失敗談やハプニング談がありましたら、お教えください。

「おみくじを前に、日本とドイツの歴史観の違いをレクチャーする羽目に・・・」

まだ新人の頃、お寺でおみくじの説明をする際、「ホロスコープのようなものです。」と言うつもりが、口が滑って「ホロコースト」と!もちろんお客様はその場で凍りついてしまいました・・・。これから楽しもうとしていたものを前に、ドイツの歴史上最大の過ちを耳にしてしまったのですから、無理もないですよね(苦笑)。そのフォローをするため、日独の歴史観の違いや日本の歴史教育などについて、冷や汗と闘いつつ延々とその場でレクチャーをする羽目になりました。結果的には喜んでいただけたので、良かったのですが・・・LとRの違いもあるのに、何故あんな言い間違いをしたのか、自分でも不思議です。今では、ホロスコープという言葉は極力避けています!(笑)

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