第17回 現役通訳案内士インタビュー 皆川彩(みながわ あや)氏

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Guide Interview 第17回 通訳案内士インタビュー 皆川彩(みながわ あや)氏 イタリア語・英語通訳案内士

幅広い仕事と勉強で震災後を乗り切る

Q5.東日本大震災の前と後でお仕事にどのような変化がありましたか?

震災までの数年間は長期、短期を問わずツアーの仕事が増えていました。その背景には、政府のビジット・ジャパン・キャンペーンやガイドの努力ばかりでなく、インターネットの普及によりイタリア人が入手できる日本の情報が増えたこともあると思います。
特にイタリア人は8月を中心に前後の月にかけてバカンスを取るので、昨年までの夏は通訳案内士の人手が不足していたと思います。

けれども、震災を機にツアーはほとんどキャンセルされ、現在は個人のお客様の案内の仕事が少し入る以外は、翻訳、通訳、アテンドといった仕事をすることが多くなりました。

こうした状況ですので、イタリア語や英語での翻訳の仕事の依頼を受たり、長年おつきあいのある通訳エージェントさんから仕事の依頼を受け、7月中旬にはイタリアのファッション関係の商談通訳の仕事をしました。この商談会は、20年近くにわたり年2回日本で行なわれています。

7月下旬にはコンサートツアーのアテンド通訳をしました。オーケストラや歌手の方々のお世話や観光の案内も含まれます。このコンサートツアーは、2年に1度催され今年で4回目になりますが、毎回観客が多いこともツアーがキャンセルされなかった要因だと思います。
8月はイタリア人とアメリカ人の個人のお客様をご案内する予定です。

ツアーの数が減っている今の時期には、語学を勉強し研修会にも出席して、学ぶチャンスを逃さずに過ごそうと思っています。

イタリア人は伝統文化とエスプレッソが好き

Q6.イタリア人のお客様に一番喜ばれる場所はどこですか?その理由も教えてください。

高山が好評です。江戸時代からの史跡が残り、徒歩で観光できるので、早く町になじめます。屋台やお祭り、木造建築物、神社など伝統的なものが豊富で料理もおいしいことが人気の理由だと思います。お客様は日本ならではの伝統的なものへの関心が強く、京都・奈良はもちろんですが、白川郷、金沢、馬籠、妻籠、倉敷なども人気があります。

その一方で、長崎のようなキリスト教となじみが深く、日本と西洋との交流があったところも歴史を感じられるので関心を持たれるようです。

近頃は、イタリア人に限らず外国人のお客様から茶道、華道、相撲部屋見学、和紙づくりなどの日本文化体験のリクエストが増えてきました。

Q7.仕事の必需品や工夫なさっていることを教えてください。

仕事に持って行くのは、バスの中で説明するためのテーマごとに自作したファイルです。テーマはお茶、樹木、皇族などなど訪問先やお客様の関心に合わせたものを用意します。

ご案内している時にお客様が私を見つけやすいように、先端に指がついている指示棒を使い、雨の日は大きめの水玉の傘をさすなど、小物や服装にも気を配っています。
エスプレッソが好きなお客様のため、液体状のエスプレッソが入ったチョコレートも持参します。

以前行ったことのある場所でも、季節やお客様の人数、年齢によって条件が違うことを頭に入れ、お客様に快適なご旅行をしていただけるよう、ツアー全体の旅程管理やガイディングの内容を工夫しています。そのためには案内する場所の下見は欠かせません。また、体力を維持するために水泳やダンスをしています。

Q8.(前回インタビューに応じていただいた新井由美子氏からの質問です)イタリア人気質を強烈に感じるシチュエイションはどんな時でしょう?

食事の後にエスプレッソを飲みたいと言われる時です。イタリア人の生活にはエスプレッソは欠かせません。添乗員さんの中にはイタリアからエスプレッソマシーンを持ってくる方もいらっしゃるほどです。近年では日本でもイタリアンスタイルのバール(コーヒーショップの)や本格派エスプレッソが味わえるお店が増えましたので探すのがかなり楽になりました。
そのほか、個人のお客様のリクエストでカトリック教会にミサに行きたいと言われる時もイタリア人らしさを感じます。

<取材後記>
これまで長年にわたりひとつひとつの仕事を大切にしてキャリアを積み上げてきたことが、皆川氏の現在につながっているようです。また、常に前向きな努力を重ね、いろいろな仕事に対応できる力をつけておくことが、いざという時に役立つことを実感しました。

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