第19回 通訳案内士インタビュー 石井礼子氏

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Guide Interview 第19回 通訳案内士インタビュー 石井礼子氏 スペイン語通訳案内士

お客様には平等に、平常心で臨む

Q7.お仕事に際して工夫していらっしゃることはなんですか?

自由時間後に再集合する時には集合場所を示した地図をお見せして説明します。

東京をご案内する時には、お客様のグループごとに都内の地図を1枚ずつ用意してお渡ししています。この地図には、ツアーでの訪問先ばかりでなく、自由時間にお客様だけで出かけていただけるようモデルコースを手書きで記入してあります。

ご高齢のお客様は、複雑な地下鉄の路線図を見ただけで怖気づいてしまわれることも珍しくありませんが、モデルコースと交通機関の乗り継ぎ方法をグループごとに説明して励まします。

バスの中では和式のトイレとお風呂の使い方、日本語での数の数え方などいろいろなテーマについてイラストや写真を使って説明します。
日本式のお風呂に入りたがらないお客様もいらっしゃいますが、できれば入っていただきたいので、宿泊する旅館のお風呂の写真をお見せするとともに、旅館到着後は必ず希望者と待ち合わせてお風呂ツアーをします。

Q8.震災後に訪日なさるお客様はどのような方々ですか?

学会や日本人との結婚式に出席するなどの特別な事情のある方々が目立ちます。また、震災のころに予定していた旅行の時期を変更して来日なさる方もいらっしゃいます。

お客様は原子力アレルギーをかなり強くお持ちのようです。日本の状況に関する海外での誇張された報道も影響しているのかもしれません。そうした一方で2009年に豚インフルエンザによる風評被害の影響を強く受けたメキシコからのお客様が、日本の場合も現地の状況は海外での風評ほど深刻ではないだろうと考えて訪日してくださったこともありました。

Q9.震災後のガイディングで震災前と変えたことはありますか?また、お客様の様子に変化はありますか?

震災後間もないころは、放射能の数値などを聞かれればお答えしましたが、今ではお客様の様子に震災前と変わったところは見受けられず、皆様楽しんでいらっしゃいます。

ただ、余震に対する注意として、多くのお客様が宿泊なさる高層ホテルでは建物が揺れても耐震構造になっているので、落ち着いてホテルの指示に従うようお伝えしています。

震災後は、私が担当している日光のツアーは中止になったままです。催行されているツアーでも参加者数が減り、グループツアーでも個人旅行なみの人数になることも珍しくないので、交通手段もバスではなく公共機関を利用するようになりました。
こんな時、私がお客様にお渡しする地図を活用していただく機会が増えているようです。

Q10.海外のお客様に日本に来ていただくためには、どうしたらよいとお考えですか?

これからの時代は日本に来られるお客様を待っているだけではいけないと思い、スペイン語、英語のフェイスブックを利用してありのままの日本の生活を発信しています。

スペイン語圏の方々の関心事も引き出すことができるので、お客様と最も近く触れ合うことができるガイドの立場から、新規ツアーのヒントをエージェントさんにご提案するということにも努めております。

フェイスブック:http://www.facebook.com/profile.php?id=100000859910908

日本に来てくださったお客様には日本での滞在を100%楽しんでいただきたいので、お客様の地位やガイドとしてご一緒する時間の長短などにかかわらず、どなたに対しても平等に接することをモットーにしています。

「無事是貴人」という禅の言葉がありますが、お客様をお迎えするにあたっては、ひとつひとつのことを精一杯やり、平常心で臨むことが大切だと考えています。そうすれば、必ず心が通じて喜んでいただけます。国籍や世代を越えての心の交流を第一とできる、この仕事を誇りに思い、それに携わらせていただけることに幸せを感じております。

<取材後記>
石井氏のお話を伺っていると、手間や時間を惜しまず周到な準備でお客様を迎えておられる様子があちこちに感じられました。日本でインフルエンザが流行しマスクが品薄になった時には、お客様のためにガーゼのマスクをひとつひとつ手作りされたそうです。お客様からの支持を集めておられる理由はこんな一面にもありそうです。

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