第26回 通訳案内士インタビュー鄭 紅星(ていこうせい)氏

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Guide Interview 第26回 通訳案内士インタビュー 鄭 紅星(ていこうせい)氏 中国語・韓国語通訳案内士

細部にこだわる日本文化の長所を見せる

Q1中国語と韓国語の通訳案内士の資格を取られたのはいつですか?また、通訳案内士の資格を取られたのはなぜですか?

2003年に中国語の通訳案内士の資格を取りました。通訳案内士試験は中国語に関する唯一の国家試験なので、この資格を持っていれば通訳ができる証明になると思ったからです。当時は、ガイドの仕事をすることは考えていませんでした。
通訳案内士試験の前には、図書館で小中学生向きの歴史の本を借りて連日深夜まで勉強しました。
当時は、青森の八戸で会社勤めのかたわら中国語と日本語の通訳の仕事もしていました。通訳の数が少ない八戸では資格の有無よりも信頼が重視され、この資格がなくても通訳の仕事はありましたが、資格を取ったからといって仕事が増えるわけでもありませんでした。

2008年に会社を辞めて東京に移りました。ここでも通訳の仕事をしようと思ったのですが、東京は人材が豊富で、仕事を得るにはステップを踏んで上がって行かなければなりませんでした。そこで、中国語と韓国語の通訳養成学校に通い始めました。この頃に同級生から中国語通訳案内士会(CGO)のことを聞いて入会し、研修に参加しました。ここで知り合った人たちに、資格があるのなら通訳案内士の仕事をしてみたらと勧められ、2009年からガイドの仕事を始めました。通訳案内士の資格を活かして仕事を得られることがわかったので、2010年には韓国語の資格も取りました。今ではこの仕事が大好きで、私の天職だと思っています。中国と日本で長年暮らしてきた経験を活かせる、本当に魅力のある仕事です。

Q2. これまでに、どのようなお仕事をなさっていらしたのですか?

八戸の会社では、中国人研修生の中小企業への受け入れに関する仕事をしていました。ここでは、添乗員のような仕事をすることもありました。そのほか通訳や中国語を教える仕事もしたので、この時期にたくさんのキャリアを積むことができました。

東京で通訳案内士の仕事を始めてから半年ほどは募集型ツアーの仕事を依頼されることが多かったのですが、その後、政府関係の団体の視察旅行やインセンティブなどの仕事が多くなりました。現在はツアーの全期間を受け持ち、通訳、ガイド、添乗員の仕事を兼務しています。中国語の仕事が9割を占め、韓国語の仕事はたまに入る程度です。シンポジウムやフォーラムで私が依頼を受けるのは、中国語と韓国語の間を通訳する仕事が多いです。

震災直後は、ほとんど仕事はありませんでしたが、昨年5月末の温家宝首相の訪日を機に旅行会社の方々が来日するようになり、仕事量も回復しました。

震災後しばらくは、観光ガイドの仕事はほとんどなかったそうですが、私の場合は政府や自治体の招待旅行の通訳をすることが多かったため、むしろ震災後に仕事量は増えました。日本の各機関が熱心に観光PRをして中国の広報担当者などを日本に招待してくださったおかげです。
その一方で、尖閣諸島のような政治的な問題が起きた時には、政府関係者が来日しなくなるため仕事の依頼は減ります。

Q3.お仕事では、どんな点に工夫されているのですか?

ガイドが誘導することで、お客様が気づかないところを見ていただくようにしています。 お客様は、自国の良いところと旅行先の国の悪いところを比べ、表面的な部分に注意が向きがちです。雄大な中国からいらしたお客様は、日本のホテルの部屋が狭いと不満を漏らされます。
そこでガイドとして、日本ではバスルームの鏡の一部が曇らないように作られていることや、備品のシャンプーなどにも一流メーカーの製品が使われていることなどを例にあげ、細部まで気を配りお金をかけているところを見ていただいています。お客様が支払ったお金がどこに使われているかを説明し、納得していただくのです。

マイナスの情報は早めにお伝えしています。中国人のお客様は、日本の温泉に箱根のユネッサンのような広々としたイメージを持っているため、伝統的な小さな温泉を狭いと感じます。 お客様から不満が出ないよう、日本の温泉は中国の銭湯やスパのように広くはないということを予めお伝えしておきます。

その一方で、日本では温泉のロケーションにもこだわり、月や海を眺めながら入浴できること、泉質の良さ、掛流しの温泉であることなど、中国にはない長所も説明します。

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