第36回 通訳案内士インタビュー 相沢久美子氏

ログイン・登録

Guide Interview 第36回 通訳案内士インタビュー 相沢久美子氏 中国語通訳案内士

Q2.はとバス以外には、どのようなお仕事をしていらっしゃるのですか?

政府関係のアテンド通訳を多く担当しています。中国の将来を担う中国社会科学院の若手研究者、メディア関係者などの訪日研修に同行すると、皆さんの研修活動に対する熱意、積極性に驚きます。中国がこうした人材の下で、更なる発展を遂げるだろうと強く感じます。

また企業のインセンティブツアーのお客様をご案内することも多いです。日本企業は中国でのシェアを伸ばすためにできる限りの接待を展開しており、その活動の一助となれるよう私たちガイドも第一線で精一杯のおもてなしをさせて頂いています。

外務省で講義の通訳

最近はまた、個人旅行をなさる富裕層のお客様が増える傾向があります。
昨日までは中国から母娘でいらしたお客様と一緒に1週間でゴールデンルートを回り、今日大阪から帰ってきたばかりです。

また中国語通訳者養成学校で講師もしております。私自身もこの学校で受講生として7年以上も学習を続けました。その後、講師に抜擢して頂いたため、受講生の気持ちを理解しながら授業を進めることができ、教材準備は自己学習にもなっています。

企業で中国語を教えることもあります。円滑な交流には相手国の言葉や国情を理解することが基本です。言葉のみならず、中華圏の方との付き合い方などにも重点を置いて授業を進めています。

人的往来が活発化するにつれ、結婚式のバイリンガル司会という仕事も増えつつあります。国外からお越しのご親族からは日本特有の式次第に戸惑うことなく、心から感動できたといって頂き、また日本側出席者の皆様からも国際的で思い出深い結婚式になりましたと喜んで頂いております。私自身も幸せの中で働ける至福のときです。
それ以外に法廷通訳など非常に神経を使うお仕事を受けるときもあります。

 

台湾の人たちの台湾人としての意識に配慮

Q3.中国人のお客様と台湾人のお客様では、違っているのはどのようなところですか?

台湾の方には「自分たちは中国人ではなく、台湾人である」という意識をもっている方も少なくありません。そうしたお客様には、中国語の発音や言葉の使い方も台湾風にするよう気を配っています。

一方、中国大陸の方は台湾を中国の一部だと考えていらっしゃるので、台湾風の発音に対して特に不快感はないようです。また、パンフレットにも台湾人向けの繁体字と大陸中国人向けの簡体字のバージョンがありますが、私は繁体字バージョンを多用しています。台湾のお客様の中には簡体字に慣れていない方も多いです。

食事に関しても習慣の違いを感じます。台湾のお客様は生もの、冷たい飲み物を平気で召し上がる方が多いですが、中国大陸からのお客様は苦手な方がまだ少なくありません。

また台湾の方は畳の上での正座や胡坐、裸で温泉に入るなど日本の習慣も自然に受け入れていますが、中国大陸のお客様は抵抗のある方もいらっしゃいます。やはり歴史の影響を深く感じます。

 

Q4.いままでのお仕事で大変だったのはどんなことですか?

終わってしまうと大変だったことは忘れてしまう性格です。しかし、いくつか忘れ難いこともありました。どんなお仕事でも極力、下見を心がけています。新人の頃、札幌、函館、小樽を含むツアーが組まれました。そこで2泊3日の下見を決行、最後に小樽の下見を終え帰路につこうとしていたそのとき、担当者からツアーキャンセルの電話を受けたときのことは今でも忘れられません。

また数々のお客様の中で忘れられない方がいらっしゃいます。そのお客様からは、とにかく不条理な難題を突き付けられる毎日、特に食事に関するリクエストが多く、毎日、昼食、夕食のアレンジに奔走しました。
当初の行程表にあった食事箇所はほぼキャンセルです。臨機応変な対応、エージェント担当者の支援、レストラン側からの協力を取り付け、何とか胃袋を満たして帰って頂きました。

無茶な要求と分かっていても先ずは受け入れ、極力それを叶えるために尽くす努力、そして関係各所との連携が必要だと思い知りました。行程作成の事前準備をして下さったエージェント担当者の努力を実らせるか否か、すべてが自分にかかっていることを再認識するよい機会にもなりました。

 

Q5.お仕事で心がけていることは何ですか?

常に言葉の勉強を続けるように心がけています。ガイドの話す中国語が耳に障るようでは本末転倒です。常にネイティブに近づく努力を怠らないよう、マイクを通しての声や発音に気を使います時間があれば音読などを励行しています。また新しい用語や流行語を取り入れて話題を膨らませられるよう気を付けています。

そして常に「おもてなしの心」を忘れないことです。そうした気持ちで接すれば、自然と行動に表れると信じています。繊細なおもてなしの心は日本人としてのアピールポイントだと思っています。

インタビュー一覧一覧へ戻る